
青色申告は最大65万円の特別控除など節税の効果が大きい一方で、「やり方が複雑そう」と感じて手を出せずにいるフリーランスも多いはずです。結論から言うと、青色申告は「事前の申請」と「会計ソフトでの記帳」さえ押さえれば、簿記の知識がなくても初めてで完了できます。申請書の出し方から、仕訳の例、決算書の作り方、e-Taxでの提出まで、2026年分の申告に合わせて5つのステップで解説します。
【結論】青色申告は「申請 → 記帳 → 決算 → 申告」の5ステップで完了する
青色申告のやり方は、次の5つのステップです。
- 開業届と青色申告承認申請書を出す申請書は、青色申告をしたい年の3月15日まで(1月16日以後の開業なら開業から2か月以内)
- 事業用の口座とカードを用意し、会計ソフトに連携する私用と分けるだけで、記帳の手間が大きく減ります
- 毎月、取引を記帳する取り込まれた明細を確認し、領収書や請求書を保存します
- 年末に決算を整え、青色申告決算書を作る減価償却や家事按分を反映し、損益計算書と貸借対照表を作ります
- 期限内にe-Taxで申告し、納税する2026年分は、2027年2月16日から3月15日までに提出します
このうち、65万円控除を受けるためには「複式簿記」「決算書の添付」「期限内の申告」「e-Taxでの提出」の4つがそろっていることが必要です。2027年分からは、紙で申告すると控除の上限が原則10万円になるため、最初からe-Taxで進めましょう。
会計ソフトを使えば、仕訳の候補の提示から決算書の作成、e-Taxでの送信まで、ひと続きで進められます。手を動かすのは、毎月の明細の確認と、年末の決算の整理だけです。
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ステップ1|開業届と青色申告承認申請書を出す
青色申告は、事前に申請しないと始められません。確定申告の時期になってから青色にしようと思っても、その年は白色申告になります。
| 書類 | 提出期限 | ポイント |
|---|---|---|
| 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書) | 事業を始めた年分の確定申告期限まで | 青色申告承認申請書とまとめて出すと確実 |
| 青色申告承認申請書 | 青色申告をしたい年の3月15日まで(1月16日以後の開業は開業日から2か月以内) | 記帳の方法は「複式簿記」を選ぶ |
| 青色事業専従者給与に関する届出書 | 給与を経費にしたい年の3月15日まで(同上の特例あり) | 家族に給与を払う場合のみ |
申請書の書き方で迷いやすいところ
- 簿記方式65万円控除を受けるなら「複式簿記」を選びます
- 備え付ける帳簿会計ソフトを使うなら、現金出納帳・預金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳・仕訳帳・総勘定元帳などを選びます
- 青色申告の開始年「令和◯年分以後」の欄に、青色申告を始めたい年を書きます
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ステップ2・3|事業用の口座を用意し、毎月記帳する
記帳を始める前に準備すること
- 事業用の銀行口座とクレジットカードを分ける売上の入金と経費の支払いをまとめると、明細の取り込みだけで記帳が進みます
- 複式簿記に対応した会計ソフトを選ぶ2027年分からの75万円控除に向けて、優良な電子帳簿に対応しているかも確認します
- 口座とカードを会計ソフトに連携する明細が自動で取り込まれ、勘定科目の候補が提示されます
毎月の記帳は何をする?
月に1回、取り込まれた明細を確認して登録し、領収書や請求書を保存するだけです。現金で払った経費は手で入力します。1年分をまとめると2〜3月に作業が集中し、期限に間に合わない原因になります。
- 取り込まれた明細の勘定科目を確認するソフトの候補が合っているかを見て登録します
- 現金払いの経費を入力する領収書を見ながら、日付・金額・内容を入れます
- 請求書を発行したら売上を登録する入金を待たず、請求した時点で売上として記録します
- 領収書・請求書を保存する紙のままでも、スキャンして電子で保存しても構いません
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よく使う仕訳の例と、決算で整えること
フリーランスがよく使う仕訳の例
複式簿記では、1つの取引を「借方(左)」と「貸方(右)」の2つに分けて記録します。会計ソフトが自動で振り分けてくれますが、よく出てくる形を知っておくと確認が楽になります。
| 取引の例 | 借方(左) | 貸方(右) |
|---|---|---|
| 月末に80万円の請求書を発行した | 売掛金 80万円 | 売上高 80万円 |
| 翌月に80万円が口座に入金された | 普通預金 80万円 | 売掛金 80万円 |
| 報酬10万円から源泉徴収され、89,790円が入金された | 普通預金 89,790円/事業主貸 10,210円 | 売掛金 10万円 |
| 事業用カードでソフトの利用料5,000円を払った | 通信費 5,000円 | 未払金 5,000円 |
| 事業用口座から生活費10万円を引き出した | 事業主貸 10万円 | 普通預金 10万円 |
| 個人の財布から事業の備品3,000円を払った | 消耗品費 3,000円 | 事業主借 3,000円 |
年末の決算で整えること
- 売掛金の計上漏れがないか12月分の請求で、入金が翌年になるものも今年の売上です
- 家事按分自宅の家賃・光熱費・通信費などを、事業で使った割合だけ経費にします
- 減価償却10万円以上の資産は原則として耐用年数に応じて経費にします。2026年4月1日以降に取得した40万円未満の資産は、青色申告なら一括で経費にできます(年300万円まで)
- 口座の残高と帳簿の残高が一致しているかずれていれば、登録漏れや二重登録を探します
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ステップ4・5|青色申告決算書を作り、e-Taxで申告する
申告に必要な書類は?
| 確定申告書 | 第一表・第二表。以前の「申告書A・B」の区別はなくなっています |
|---|---|
| 青色申告決算書 | 損益計算書と貸借対照表を含む4ページ。65万円控除には貸借対照表の添付が必須 |
| 控除の証明書 | 国民年金・国民健康保険・iDeCo・生命保険料などの控除証明書(e-Taxでは提出を省略できるものもある) |
| 源泉徴収の資料 | 支払調書や請求書の控えなど、源泉徴収された税額が分かるもの |
e-Taxで申告する流れ
会計ソフトで青色申告決算書を作る
1年分の記帳と決算の整理が終わると、損益計算書と貸借対照表が自動で作られます。
確定申告書を作る
決算書の数字に、社会保険料や生命保険料などの所得控除を加えて、納める税額を計算します。予定納税をした人は、その額も入力します。
マイナンバーカードでe-Taxから送信する
スマホやICカードリーダーでカードを読み取って送信します。カードがない場合は、税務署で発行するIDとパスワードの方式も使えます。
期限までに納税する
2026年分の納付期限は2027年3月15日です。振替納税を選ぶと、4月下旬ごろに口座から引き落とされます。
控除額はどう決まる?
| 控除額 | 2026年分の要件 | 2027年分からの変更 |
|---|---|---|
| 65万円 | 複式簿記+決算書の添付+期限内申告+e-Tax(または要件を満たす電子帳簿の保存) | e-Taxが必須。優良な電子帳簿の保存なども満たせば75万円 |
| 55万円 | 上記を書面で提出した場合 | 区分がなくなり、書面での申告は上限が原則10万円 |
| 10万円 | 簡易簿記、または期限後の申告 | 簡易簿記で前々年の収入が1,000万円を超えると0円 |
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初めての青色申告でつまずきやすい7つの注意点
- 申請書を出し忘れるその年は白色申告になり、さかのぼれません。翌年分に向けて、翌年3月15日までに出します
- 私用と事業の支払いが混ざる仕訳が複雑になり、按分の根拠も説明しにくくなります
- 1年分をまとめて記帳する2〜3月に作業が集中し、期限に遅れる原因になります
- 期限を1日でも過ぎる控除が10万円に下がり、無申告加算税や延滞税がかかることもあります
- 貸借対照表を添付しない損益計算書だけでは、65万円・55万円控除の要件を満たしません
- 書面で提出してしまう2026年分は55万円、2027年分からは原則10万円に下がります
- 帳簿や領収書を捨ててしまう帳簿・決算書類・領収書などは原則7年間(一部の書類は5年間)保存します
青色申告なら、赤字を翌年以降3年間繰り越せます。ただし、赤字の年も期限内に確定申告をしておくことが条件です。独立初年度に機材の購入などで赤字になった場合も、必ず申告しましょう。
家事按分の割合や減価償却の方法、専従者給与の金額などは、状況によって判断が分かれることがあります。本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。迷う場合は、税務署の窓口や税理士などの専門家に相談してください。
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よくある質問(FAQ)
● 青色申告は「申請 → 口座と会計ソフト → 毎月の記帳 → 決算 → e-Tax申告」の5ステップ
● 仕訳は会計ソフトが提示するので、確認と登録だけ。年末は売掛金・家事按分・減価償却を整える
● 2026年分は2027年3月15日が期限。65万円控除にはe-Tax、2027年分からは紙だと原則10万円

