フリーランスの通信費は経費にできる?家事按分と割合を解説

フリーランス 通信費 経費

フリーランスにとって、スマホ代やネット回線料などの通信費は、毎月必ず発生する身近な経費です。仕事で使っている以上、通信費は経費に計上できます。ただし、プライベートと兼用している場合は「家事按分」で業務利用分だけを計上する必要があり、按分の根拠があいまいだと税務調査で否認されることも。この記事では、通信費として経費にできるもの・家事按分の考え方と計算方法・仕訳・注意点まで、フリーランスが正しく経費計上するためのポイントを解説します。

通信費として経費にできるもの

通信費とは、事業に必要な情報伝達のために支払った費用を処理する勘定科目です。フリーランスが通信費として計上できる主なものは次のとおりです。

  • 携帯電話・スマートフォンの料金
  • 固定電話の料金
  • インターネット回線の利用料・プロバイダ料金
  • モバイルWi-Fi・ポケットWi-Fiの料金
  • 切手・はがき・郵便料金(書類の発送など)
  • サーバー・ドメインの利用料
📌 POINT

これらはいずれも「仕事で使っている分」が経費の対象です。事業専用の回線や事業専用のスマホであれば全額を経費にできますが、プライベートと兼用している場合は、次に解説する「家事按分」が必要になります。

プライベート兼用は「家事按分」が必須

自宅で働くフリーランスの多くは、1台のスマホや1本のネット回線を、仕事とプライベートの両方で使っています。この場合、通信費の全額ではなく、業務で使っている割合だけを経費に計上する必要があります。これを「家事按分(かじあんぶん)」といいます。

📌 計算式

通信費 × 業務利用の割合 = 経費にできる金額
(例)スマホ代 月1万円 × 業務割合60% = 経費6,000円

税務上、経費として認められるのは事業に必要な部分だけです。プライベート分まで含めて全額を経費にすると、税務調査で否認されるリスクがあります。仕事とプライベートが混ざっている通信費は、必ず按分して計上しましょう。

家事按分の割合の決め方

家事按分で最も重要なのは、按分割合を「合理的」な基準で決めることです。合理的とは、税務署に「なぜこの割合にしたのか」を客観的に説明できる、ということです。通信費の按分には、次のような基準がよく使われます。

基準 考え方の例
使用時間 1日のうち仕事で使う時間の割合(例:8時間業務なら24時間中の1/3)
使用日数 週のうち稼働する日数の割合(例:週5日業務なら7日中の5/7)
使用実態 通話履歴・データ使用量などから業務分を見積もる
⚠️ 注意

按分割合の根拠を示す資料は、必ず保管しておきましょう。通話履歴・データ使用量の記録、稼働時間の記録などが根拠になります。根拠があいまいなまま高い割合で経費計上すると、税務調査で指摘され、追徴課税につながるおそれがあります。「なぜこの割合か」を説明できる範囲で計上するのが鉄則です。
※出典:国税庁の家事関連費の取り扱いに基づく。按分の合理性は個別の使用実態で判断されます。

按分割合の目安(働き方別の例)

按分割合に決まった正解はありませんが、働き方に応じたおおよその目安を示すと次のとおりです。あくまで考え方の参考として、自分の使用実態に合わせて調整してください。

働き方の例 業務割合の目安 考え方
在宅中心・ほぼ仕事で使用 70〜80%程度 平日の稼働時間が長く、業務利用が大半
在宅と私用が半々 50%程度 仕事とプライベートの利用がほぼ同等
副業・スポット的に使用 20〜30%程度 業務利用は限定的

この目安はあくまで一例です。重要なのは数字そのものより、その割合にした根拠を説明できること。実態とかけ離れた割合は避けましょう。

通信費の仕訳例

家事按分した通信費の仕訳例を見てみましょう。プライベート分は「事業主貸」という勘定科目で処理するのがポイントです(複式簿記の場合)。

例:インターネット利用料 月1万円を口座から支払い、業務割合が60%の場合

  • 通信費 6,000円(業務利用分・経費になる)
  • 事業主貸 4,000円(プライベート分・経費にならない)
  • (貸方)普通預金 1万円
📌 POINT

毎月按分計算をするのが手間な場合は、まず全額を通信費として記帳しておき、年末(決算)にまとめてプライベート分を「事業主貸」に振り替える方法もあります。会計ソフトを使えば、按分の自動計算機能で毎月の処理を効率化できます。

間違いやすい勘定科目に注意

通信費と混同しやすい勘定科目があります。正しく仕訳しないと、帳簿の整合性が崩れるため注意しましょう。

費用 正しい勘定科目
書類・カタログの郵送代 通信費
商品・製品の発送費(梱包材・配送料) 荷造運賃
10万円未満のスマホ・ルーター本体 消耗品費
10万円以上のスマホ・PC本体 工具器具備品(減価償却)

特に、スマホやルーターの「本体代」は通信費ではない点に注意が必要です。月々の利用料は通信費ですが、端末本体は金額に応じて消耗品費または工具器具備品(減価償却)として処理します。なお、青色申告者は30万円未満の資産を一括経費にできる特例も使えます。

通信費を経費計上するときの注意点

通信費を経費にする際に、特に気をつけたいポイントをまとめました。

① 按分割合は実態に合わせる

業務でほとんど使っていないのに高い割合で計上すると、税務調査で否認されるおそれがあります。実際の使用実態に即した、説明できる割合に設定しましょう。

② 事業専用の回線を分けると管理が楽

仕事用のスマホや回線を別に契約すれば、その全額を通信費にでき、按分の手間もなくなります。通信費が多いフリーランスは、事業専用回線を検討する価値があります。

③ 領収書・明細を保管する

通信費の支払い明細や領収書は、経費の根拠として保管が必要です。クレジットカード払いの場合は利用明細、口座振替の場合は通帳の記録などを残しておきましょう。

④ 按分の根拠を記録しておく

「稼働時間で按分した」「週5日稼働で計算した」など、按分の根拠は記録に残しておきましょう。税務調査の際に説明できるかどうかが、経費計上の正当性を左右します。

通信費の経費に関するよくある質問

フリーランスの通信費について、特に質問の多いポイントをまとめました。

Q. 通信費は全額経費にできますか?

事業専用の回線・スマホであれば全額経費にできます。プライベートと兼用している場合は、業務利用分だけを家事按分して計上します。全額を経費にできるのは、あくまで事業専用で使っている場合に限られます。

Q. 按分割合に決まった基準はありますか?

法律で定まった割合はありません。使用時間・使用日数・使用実態などから、合理的に説明できる割合を自分で設定します。重要なのは「なぜその割合か」を客観的に説明できることです。

Q. スマホ本体の購入代金は通信費ですか?

いいえ。月々の利用料は通信費ですが、本体代金は10万円未満なら消耗品費、10万円以上なら工具器具備品(減価償却)として処理します。利用料と本体代は別の科目になる点に注意しましょう。

Q. 白色申告でも通信費は按分できますか?

できます。家事按分は白色申告でも青色申告でも利用できます。どちらの場合も、業務利用分を合理的な基準で按分し、根拠を保管しておく点は同じです。

まとめ:通信費は「合理的な按分」がカギ

通信費はフリーランスにとって計上しやすい経費ですが、按分の考え方を正しく理解することが大切です。最後に要点を振り返っておきましょう。

✅ この記事のまとめ

① スマホ代・ネット料金・郵便料金などは通信費として経費にできる
② プライベート兼用なら家事按分で業務利用分だけを計上
③ 按分割合は使用時間・日数などで合理的に決め、根拠を保管
④ プライベート分は「事業主貸」で処理(複式簿記)
⑤ 端末本体は通信費でなく消耗品費・工具器具備品。商品発送費は荷造運賃

通信費を正しく経費計上できれば、課税所得が下がり節税につながります。ポイントは「合理的な按分」と「根拠の記録」。実態に即した割合で計上し、説明できる資料を残しておけば、安心して経費にできます。按分が面倒な場合は、事業専用回線を分けるのも有効な選択肢です。

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