
フリーランスとして所得が増えてくると、6月中旬ごろに税務署から「予定納税額の通知書」が届くことがあります。「確定申告で払ったばかりなのに、なぜ?」と戸惑う方も多いはずです。結論から言えば、予定納税は所得税の「前払い」で、払った分は翌年の確定申告で精算されるため、税金が増えるわけではありません。対象者・金額・2026年の納付期限・減額申請まで、迷わず対応できるように整理しました。
【結論】予定納税は前年の所得税が15万円以上の人が払う「所得税の前払い」
予定納税とは、前年分の所得税をもとに計算した「予定納税基準額」が15万円以上の人が、その年の所得税の一部を7月と11月に前払いする制度です。通知が届いたら、次の3点を押さえてください。
- 納めるのは予定納税基準額の3分の1ずつ、年2回2026年分は、第1期が7月1日〜31日、第2期が11月1日〜30日です
- 払った分は翌年の確定申告で差し引かれる払いすぎていれば還付され、足りなければ差額だけを納めます。税負担が増えるわけではありません
- 今年の所得が大きく減りそうなら減額申請ができる2026年分の第2期分は、11月16日(月)までに申請します
予定納税は、翌年3月に1年分をまとめて払う負担を、年の途中に分けて支払う仕組みでもあります。慌てる必要はありませんが、7月と11月にまとまったお金が出ていくことだけは、資金繰りに組み込んでおきましょう。
予定納税の対象者は?通知はいつ届く?
対象になるのはどんな人?
前年分の「予定納税基準額」が15万円以上の人です。予定納税基準額は、前年の所得(譲渡所得・一時所得・雑所得・臨時所得などを除く)にかかる所得税額から、その所得について源泉徴収された税額を差し引いたもので、復興特別所得税を含みます。
- 対象になりやすい人事業所得が大きく、報酬から源泉徴収されていないフリーランス(エンジニアの準委任案件など)
- 対象になりにくい人報酬から10.21%の源泉徴収がされているライターやデザイナーなど。源泉徴収分が差し引かれるため、基準額が小さくなりやすい
- ほぼ対象にならない人給与所得だけの会社員。毎月の給与から源泉徴収され、年末調整で精算されるため
通知はいつ、どうやって届く?
6月中旬に、税務署から「予定納税額の通知書」が届きます。確定申告で電子交付を希望した人には、書面の代わりにe-Taxで通知されます(この場合、納付書は送られてきません)。通知が届かなければ、その年は予定納税の対象外で、納める必要はありません。
| 対象 | 予定納税基準額が15万円以上の人 |
|---|---|
| 通知 | 6月中旬に税務署から送付(電子交付を希望した人はe-Tax) |
| 納める額 | 予定納税基準額の3分の1ずつを、第1期と第2期に |
| 精算 | 翌年の確定申告で、年間の所得税額から差し引く |
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いくら・いつ払う?納付額の計算例と精算のしかた
2026年分の納付スケジュール
| 区分 | 納める期間 | 納める額 |
|---|---|---|
| 第1期分 | 2026年7月1日〜7月31日 | 予定納税基準額の3分の1 |
| 第2期分 | 2026年11月1日〜11月30日 | 予定納税基準額の3分の1 |
| 確定申告 | 2027年2月16日〜3月15日 | 年間の税額から予定納税額を差し引いた残り |
前年の所得税が60万円だった場合の例
第1期と第2期に20万円ずつ納め、残りは翌年の確定申告で精算します。
| 今年の所得税が | 予定納税で納めた額 | 確定申告での精算 |
|---|---|---|
| 前年と同じ60万円 | 40万円(20万円×2回) | 残り20万円を納める |
| 増えて80万円 | 40万円 | 残り40万円を納める |
| 減って30万円 | 40万円 | 払いすぎた10万円が還付される |
予定納税で納めた額は、確定申告書の「予定納税額」の欄に記入して差し引きます。書き忘れると、同じ税金を二重に納めることになりかねません。通知書と領収書(または振替の記録)は、確定申告まで保管しておきましょう。
2027年分からの変更点は?
令和8年度税制改正により、2027年分からは所得税に1%の「防衛特別所得税(仮称)」が加わり、復興特別所得税は2.1%から1.1%に引き下げられます。付加税の合計は2.1%で変わりませんが、通知書の名称や記載内容が変わる見込みです。
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予定納税の納付方法は?
確定申告で振替納税を使っている人は、予定納税も自動で口座から引き落とされます。それ以外の人は、次の方法から選んで納めます。
| 納付方法 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 振替納税 | 納期限の最終日に指定口座から引き落とし。納め忘れを防げる | 前日までに残高を確認。領収書は発行されない |
| ダイレクト納付(e-Tax) | 事前に登録した口座から、e-Taxで即時または期日指定で納付 | 事前の届け出が必要 |
| インターネットバンキングなど | 金融機関のサービスから電子納付 | 納付区分番号の確認が必要 |
| クレジットカード納付 | 専用サイトから納付 | 決済手数料がかかる |
| スマホアプリ納付 | 対応する決済アプリで納付 | 利用できる金額に上限がある |
| コンビニ納付 | バーコードやQRコードで納付 | 1回30万円以下 |
| 金融機関・税務署の窓口 | 納付書で現金納付 | 電子交付を選んだ人には納付書が届かない |
期限までに払わないとどうなる?
予定納税も期限を過ぎると延滞税がかかります。2026年中の延滞税の割合は、納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、2か月を過ぎると年9.1%です。資金が厳しい場合は、放置せず早めに税務署へ相談しましょう。申請により納税が猶予される制度もあります。
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所得が減りそうなら「減額申請」を
廃業・休業・業況不振などで、今年の税額の見込みが予定納税基準額より少なくなりそうなときは、減額申請ができます。案件が途切れた、単価が下がった、といったフリーランスにありがちな事情も対象になりえます。
| 申請の区分 | 2026年分の提出期限 | 見積もりの基準日 |
|---|---|---|
| 7月の減額申請(第1期・第2期分) | 2026年7月15日(水) | 6月30日の現況 |
| 11月の減額申請(第2期分のみ) | 2026年11月16日(月) | 10月31日の現況 |
減額申請の手順
今年の所得と税額を見積もる
基準日時点の売上・経費・控除から、年間の所得と税額(申告納税見積額)を計算します。
「予定納税額の減額申請書」を作る
国税庁のサイトから様式を入手し、見積もりの根拠となる試算表などを用意します。
期限までに税務署へ提出する
書面またはe-Taxで提出します。税務署が承認・一部承認・却下を決め、書面かe-Taxで知らせます。
「資金繰りが苦しい」という理由だけでは認められないことがあります。所得が減る見込みを、帳簿や試算表などで合理的に説明できることが大切です。期限を過ぎると申請できないため、案件の終了や単価の低下が分かった時点で準備を始めましょう。判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談してください。
予定納税で困らないための資金の準備
フリーランスの税金は、年間を通じてさまざまな時期に支払いがあります。予定納税だけでなく、全体のカレンダーで資金を準備しておくと慌てません。
| 時期の目安 | 支払うもの | ポイント |
|---|---|---|
| 3月15日ごろ | 所得税の確定申告・納付 | 予定納税額を差し引いた残りを納める |
| 3月31日ごろ | 消費税の確定申告・納付 | 課税事業者(インボイス登録者など)のみ |
| 6月・8月・10月・翌1月 | 住民税(普通徴収) | 期限は自治体によって異なる |
| 7月 | 予定納税 第1期 | 予定納税基準額の3分の1 |
| 8月・11月 | 個人事業税 | 対象業種で所得が一定額を超える人。期限は都道府県で異なる |
| 11月 | 予定納税 第2期 | 予定納税基準額の3分の1 |
資金を準備する3つのコツ
- 入金のたびに一定割合を納税用の口座に分ける売上の一部を毎月取り分けておくと、7月・11月・3月に慌てません
- 振替納税を設定して、納め忘れを防ぐ引き落とし日の前日までに残高を確認する習慣をつけます
- 所得が大きく伸びた翌年は、予定納税を見越しておく前年の税額が15万円以上になった年は、翌年の7月と11月の支払いを先に確保します
課税事業者で、前年の消費税額(国税分)が48万円を超える人は、消費税も年の途中で前払いする「中間申告」が必要になります。インボイス登録をしている人は、所得税の予定納税とあわせて確認しておきましょう。
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予定納税基準額の計算や減額申請の可否、他の税金との関係は、所得の内容や状況によって変わります。本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。判断に迷う場合は、税務署の窓口や税理士などの専門家に相談してください。
よくある質問(FAQ)
● 予定納税は、前年の予定納税基準額が15万円以上の人が払う所得税の前払い。翌年の確定申告で精算される
● 2026年分は7月と11月に3分の1ずつ。第2期分は11月30日まで。確定申告では予定納税額の記入を忘れずに
● 所得が減りそうなら減額申請(第2期分は11月16日まで)。納税資金は毎月取り分けておく

