フリーランスの所得税の計算方法|4ステップと計算例で解説

フリーランス 所得税 計算

フリーランスの所得税は、会社員のように天引きで完結しないため、自分で計算の仕組みを理解しておく必要があります。「売上にそのまま税率をかける」と思っている人もいますが、それは誤解です。実際は、売上から経費と各種控除を引いた「課税所得」に税率をかけるのが正しい計算方法。この記事では、フリーランスの所得税の計算手順を、具体的な数字を使った計算例つきで、初めての人にもわかりやすく解説します。

フリーランスの所得税の計算は4ステップ

フリーランスの所得税の計算は、次の4ステップで進みます。一見複雑に見えますが、流れを理解すれば難しくありません。

  1. 売上 − 経費 = 所得(事業所得を出す)
  2. 所得 − 所得控除 = 課税所得(税金がかかる金額を出す)
  3. 課税所得 × 税率 − 控除額 = 所得税(速算表を使う)
  4. 所得税 + 復興特別所得税 = 納める税額
📌 POINT

最も大事なのは、税金が「売上」ではなく「課税所得」にかかるという点です。売上が多くても、経費や控除をしっかり差し引けば課税所得は小さくなり、所得税も少なくなります。順番に見ていきましょう。

ステップ1:売上から経費を引いて「所得」を出す

最初のステップは、1年間の売上から経費を差し引いて「所得(事業所得)」を計算することです。

📌 計算式

売上(収入)− 必要経費 = 事業所得

経費とは、仕事のために使った費用のことです。通信費・交通費・消耗品費・地代家賃(自宅兼事務所の家事按分含む)などが該当します。経費をきちんと計上するほど所得が下がり、結果的に所得税も少なくなります。領収書やレシートはしっかり保管しておきましょう。

ステップ2:所得から所得控除を引いて「課税所得」を出す

次に、所得から「所得控除」を差し引いて、実際に税金がかかる「課税所得」を計算します。

📌 計算式

事業所得 − 所得控除 = 課税所得

所得控除には多くの種類があります。フリーランスが使える主な控除は次のとおりです。

  • 基礎控除:ほぼすべての人が対象。令和7年度改正で最大95万円に引き上げ
  • 社会保険料控除:国民年金・国民健康保険料などの全額
  • 青色申告特別控除:青色申告なら最大65万円(所得から差し引ける)
  • 生命保険料控除・地震保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除(iDeCoなど)
  • 医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税など)
⚠️ 注意

基礎控除は令和7年度税制改正で見直され、合計所得金額に応じて最大95万円まで控除されるようになりました(以前は48万円)。フリーランスが支払う国民年金・国民健康保険料も全額控除できるため、これらを漏れなく計上することが節税の基本です。
※出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」。適用は令和7年分(2026年2〜3月申告)以降。

ステップ3:課税所得に税率をかける(速算表)

課税所得が出たら、いよいよ所得税を計算します。所得税は「課税所得 × 税率 − 控除額」で求めます。税率は課税所得が大きいほど上がる超過累進税率(5〜45%の7段階)です。次の速算表を使えば、段階ごとの計算をせずに一発で求められます。

課税所得金額 税率 控除額
1,000円〜194万9,000円 5% 0円
195万円〜329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円〜694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円〜899万9,000円 23% 63万6,000円
900万円〜1,799万9,000円 33% 153万6,000円
1,800万円〜3,999万9,000円 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円
📌 POINT

「超過累進税率」とは、課税所得が一定額を超えた部分にだけ高い税率がかかる仕組みです。たとえば課税所得が200万円でも、全額に10%がかかるのではなく、195万円までは5%、超えた5万円分にだけ10%がかかります。速算表の「控除額」は、この段階計算を一度に行うための調整額です。
※出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」(令和7年4月1日現在法令等)。課税所得は1,000円未満切り捨て。

ステップ4:復興特別所得税を加える

最後に、所得税に「復興特別所得税」を加えます。これは東日本大震災からの復興財源として、令和19年(2037年)までの各年分に課される税金です。

📌 計算式

復興特別所得税 = 所得税額 × 2.1%
納める税額 = 所得税額 + 復興特別所得税

たとえば所得税が10万円なら、復興特別所得税は2,100円。合計10万2,100円が納める税額になります(実際の納付額は100円未満を切り捨て)。

具体例で計算してみよう

ここまでの4ステップを、具体的な数字で計算してみましょう。次のフリーランスを例にします。

  • 年間売上:500万円
  • 必要経費:150万円
  • 社会保険料(国民年金・国保):50万円
  • 基礎控除:95万円
  • 申告方法:白色申告(青色申告特別控除なし)

ステップごとの計算

  1. 所得を出す:500万円 − 150万円 = 事業所得350万円
  2. 課税所得を出す:350万円 − 50万円(社会保険料)− 95万円(基礎控除)= 課税所得205万円
  3. 所得税を出す:課税所得205万円は「195万〜329万9,000円」の区分なので税率10%・控除額9万7,500円。205万円 × 10% − 9万7,500円 = 所得税10万7,500円
  4. 復興特別所得税を加える:10万7,500円 × 2.1% ≒ 2,258円。合計 ≒ 10万9,700円(100円未満切り捨て)

青色申告(65万円控除)ならどうなる?

同じ条件で青色申告の65万円控除を使うと、課税所得は350万円 − 65万円 − 50万円 − 95万円 = 140万円に下がります。課税所得140万円は税率5%・控除0円なので、所得税は140万円 × 5% = 7万円。白色申告より約3.7万円も所得税が少なくなる計算です。

📌 POINT

同じ売上・経費でも、青色申告の65万円控除があるだけで税率の区分が10%から5%に下がり、所得税が大きく減りました。控除をどれだけ積み上げられるかが、所得税の計算結果を左右します。
※住民税は別途かかります。上記は所得税のみの概算例です。

所得税を減らす2つのポイント

所得税の計算式「課税所得 × 税率 − 控除額」からわかるとおり、所得税を減らすには課税所得を小さくするのが基本です。フリーランスができる代表的な方法が次の2つです。

① 経費を漏れなく計上する

事業に関係する支出は、漏れなく経費に計上しましょう。自宅で働く人は、家賃・光熱費・通信費のうち仕事で使う割合を「家事按分」で経費にできます。経費が増えれば、その分だけ所得(=課税所得)が下がります。

② 使える所得控除をフル活用する

青色申告特別控除(最大65万円)、iDeCoや小規模企業共済の掛金、ふるさと納税の寄附金控除など、使える控除を積み上げることで課税所得を圧縮できます。特に青色申告特別控除は節税効果が大きいため、優先的に検討したい控除です。

所得税の計算に関するよくある質問

フリーランスの所得税の計算について、特に質問の多いポイントをQ&A形式でまとめました。

Q. 所得税は売上にかかるのですか?

いいえ。所得税は売上ではなく、売上から経費と所得控除を引いた「課税所得」にかかります。売上が大きくても、経費や控除が多ければ課税所得は小さくなり、所得税も少なくなります。

Q. 住民税はどうやって計算しますか?

住民税は所得税とは別の税金で、確定申告のデータをもとに自治体が計算します。税率はおおむね所得の10%(所得割)+均等割で、所得税の計算とは控除額が一部異なります。確定申告をすれば、別途住民税の申告をする必要は基本的にありません。

Q. 所得税はいくらから発生しますか?

課税所得が1円でもあれば所得税が発生します。逆に、所得控除(基礎控除など)の合計が所得を上回り、課税所得が0円になれば所得税はかかりません。令和7年度改正で基礎控除が最大95万円に引き上げられたため、所得税が発生しないラインも変わっています。

Q. 自分で計算しなくても申告できますか?

できます。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを使えば、売上・経費・控除を入力するだけで所得税額が自動計算されます。仕組みを理解したうえでソフトを使うと、入力ミスにも気づきやすくなります。

まとめ:所得税は「課税所得 × 税率 − 控除額」

フリーランスの所得税の計算は、仕組みさえ理解すればシンプルです。最後に要点を振り返っておきましょう。

✅ この記事のまとめ

① 所得税は売上ではなく「課税所得」にかかる
② 計算は「売上−経費=所得」「所得−控除=課税所得」「課税所得×税率−控除額=所得税」の流れ
③ 税率は5〜45%の7段階(超過累進税率)。速算表で一発計算
④ 最後に復興特別所得税(所得税額×2.1%)を加える
⑤ 経費と所得控除を積み上げれば課税所得が下がり、所得税が減る

所得税の計算の核心は「課税所得 × 税率 − 控除額」という式に集約されます。この式を理解しておけば、自分の税額をおおよそ把握でき、節税の方向性も見えてきます。実際の申告では会計ソフトが自動計算してくれますが、仕組みを知っておくことが、損をしないフリーランスの第一歩です。

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