フリーランスの青色申告65万円控除|要件と受け方を解説

フリーランス 青色申告 65万 控除

青色申告の最大の魅力が、所得から最大65万円を差し引ける「青色申告特別控除」です。ただし、65万円控除にはいくつかの要件をすべて満たす必要があり、ひとつでも欠けると控除額が55万円・10万円に下がってしまいます。この記事では、フリーランスが65万円控除を確実に受けるための要件、55万円・10万円との違い、控除額が減ってしまう失敗例、そして令和9年分から予定されている要件変更まで、わかりやすく解説します。

青色申告の65万円控除とは?まず結論

青色申告特別控除とは、青色申告をするフリーランス・個人事業主が、所得から一定額を無条件で差し引ける制度です。控除額は65万円・55万円・10万円の3段階があり、最大が65万円控除です。経費とは別に所得から差し引けるため、その分だけ課税所得が小さくなり、税金が安くなります。

結論から言うと、65万円控除を受けるためのカギは「複式簿記での記帳」と「e-Taxでの電子申告」の2つです。この2つを会計ソフトで自動化すれば、初めてのフリーランスでも65万円控除を狙えます。

📌 POINT

65万円控除は「青色申告をすれば自動的に受けられる」ものではありません。複式簿記・期限内申告・e-Taxなど、すべての要件を満たして初めて適用されます。要件をひとつでも落とすと、控除額は55万円や10万円に下がってしまいます。

65万円控除を受けるための4つの要件

65万円控除を受けるには、次の4つの要件をすべて満たす必要があります。ひとつでも欠けると最大控除は受けられません。

  1. 複式簿記で記帳している:正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)に従って帳簿を作成していること。
  2. 貸借対照表と損益計算書を添付する:複式簿記の記帳をもとに作成した青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)を確定申告書に添付すること。
  3. 期限内に申告する:確定申告期限(原則翌年3月15日)までに申告すること。
  4. e-Taxで申告する、または優良な電子帳簿を保存する:e-Taxで申告書と青色申告決算書を提出するか、仕訳帳・総勘定元帳を「優良な電子帳簿」の要件を満たして電子保存すること。
📌 POINT

4つ目の要件がポイントです。多くのフリーランスにとって現実的なのは「e-Taxでの申告」。優良な電子帳簿の保存は別途届出や厳格なシステム要件が必要なため、会計ソフトからe-Taxで提出する方法が最もシンプルです。
※出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」「No.2070 青色申告制度」。

65万円・55万円・10万円控除の違い

青色申告特別控除の3段階は、満たす要件によって控除額が変わります。違いを表で整理すると次のとおりです。

控除額 記帳 決算書 提出方法
65万円 複式簿記 貸借対照表+損益計算書 e-Tax または優良な電子帳簿保存
55万円 複式簿記 貸借対照表+損益計算書 紙(書面)で提出
10万円 簡易な記帳(単式簿記) 損益計算書のみ 問わない

表のとおり、65万円と55万円の違いは「e-Taxか紙か」だけです。同じ複式簿記で帳簿を作っても、紙で提出すると10万円分損をします。一方、10万円控除は記帳が簡易な単式簿記でよい代わりに、控除額が大きく下がります。

65万円控除でいくら節税できる?

65万円控除の節税効果を具体的に見てみましょう。控除によって課税所得が65万円分小さくなるため、適用される税率に応じて税金が減ります。

仮に所得税率10%+住民税10%(合計20%)が適用される人の場合、65万円 × 20% = 年間およそ13万円の節税になります。所得が多く税率が高い人ほど、節税効果はさらに大きくなります。

適用税率(所得税+住民税) 65万円控除による節税額(目安)
15%(所得税5%+住民税10%) 約9.75万円
20%(所得税10%+住民税10%) 約13万円
30%(所得税20%+住民税10%) 約19.5万円
📌 POINT

55万円控除との差はわずか10万円分の控除ですが、税率20%なら年2万円の差。e-Taxで申告するだけで得られる差なので、活用しない手はありません。
※上記は概算の目安です。実際の節税額は所得や他の控除によって変動します。

控除額が下がってしまう失敗例

「65万円控除のつもりだったのに、実際は55万円・10万円だった」という失敗は珍しくありません。よくあるパターンを押さえておきましょう。

① 複式簿記なのに紙で提出した

最も多い失敗です。複式簿記で帳簿を作っても、紙(書面)で提出すると控除は55万円どまり。65万円にはe-Taxでの申告が必要です。

② 申告が期限に1日でも遅れた

65万円・55万円控除は「期限内申告」が要件です。期限を過ぎると、控除額は自動的に10万円まで下がってしまいます。

③ 簡易簿記(単式簿記)で記帳していた

複式簿記ではなく簡易な記帳で済ませると、貸借対照表が作れず、控除は10万円になります。65万円控除には複式簿記が必須です。

④ 青色申告承認申請書を出していなかった

そもそも事前に青色申告の申請をしていなければ、白色申告となり控除は受けられません。適用したい年の3月15日まで(新規開業は開業から2か月以内)の提出が必要です。

65万円控除を受けるまでの手順

65万円控除を受けるための手順を、時系列で整理すると次のようになります。

  1. 事前に青色申告を申請する:「青色申告承認申請書」を期限までに税務署へ提出。開業届とセットで出しておくと確実です。
  2. 複式簿記で日々記帳する:会計ソフトを使えば、簿記の知識がなくても複式簿記の帳簿が自動で作られます。
  3. 青色申告決算書を作成する:貸借対照表・損益計算書を作成。会計ソフトや確定申告書等作成コーナーで自動作成できます。
  4. 期限内にe-Taxで提出する:申告書と青色申告決算書を、期限内にe-Taxで送信。これで65万円控除の要件を満たせます。
⚠️ 注意

e-Taxの利用にはマイナンバーカードが基本的に必要です。カードを読み取れるスマートフォン、またはICカードリーダーを事前に準備しておきましょう。なお、税務署のパソコンからは青色申告決算書のデータをe-Tax送信できないため、その場合は65万円控除を受けられない点にも注意が必要です。

65万円控除に必要なものチェックリスト

65万円控除を受けるために、事前にそろえておきたいものをまとめました。申告期間に慌てないよう、早めに準備しておきましょう。

  • 青色申告承認申請書(事前提出済みであること)
  • 複式簿記に対応した会計ソフト
  • マイナンバーカード(e-Tax用)
  • カードを読み取れるスマホ、またはICカードリーダー
  • 1年分の売上・経費の資料(請求書・領収書など)
  • 各種控除の証明書(社会保険料・生命保険料・iDeCoなど)

令和9年分から65万円控除の要件が変わる

65万円控除の要件は、今後変更される予定です。令和7年度税制改正により、令和9年分(2027年分)の所得税から、65万円控除の要件が見直される方向が示されています。

具体的には、従来の「e-Taxでの申告 または 優良な電子帳簿の保存」に加えて、国税庁長官の定める基準に適合したシステムで電子取引データを保存するという選択肢が新たに加わる見込みです。会計ソフトの普及や電子申告の推進を背景とした改正です。

⚠️ 注意

税制改正の方向としては、紙(書面)での申告に対する優遇を縮小し、電子化をさらに進める流れが示されています。今後65万円控除を続けるには、基準に適合した会計ソフトを使い、e-Taxで申告・電子保存できる体制を整えておくのが安心です。
※令和7年度・令和8年度税制改正大綱等に基づく見込み(2026年6月時点)。適用は令和9年分から。詳細な要件は今後確定するため、必ず国税庁の最新情報をご確認ください。なお令和7・8年分は従来の要件が適用されます。

65万円控除に関するよくある質問

65万円控除について特に質問の多いポイントを、Q&A形式でまとめました。

Q. 簿記の知識がなくても65万円控除は受けられますか?

受けられます。会計ソフトを使えば、日付や金額を入力するだけで複式簿記の帳簿や貸借対照表が自動で作成され、そのままe-Taxで提出できます。簿記の専門知識は必須ではありません。

Q. スマホだけで65万円控除を受けられますか?

受けられます。確定申告書等作成コーナーや会計ソフトはスマホに対応しており、マイナンバーカードをスマホで読み取ればe-Tax送信まで完結します。これで65万円控除の要件を満たせます。

Q. 65万円控除と基礎控除は両方受けられますか?

受けられます。青色申告特別控除(最大65万円)と基礎控除(令和7年度改正で最大95万円)は別の制度なので、両方を所得から差し引けます。経費・社会保険料控除なども併用できます。

Q. 開業1年目でも65万円控除は受けられますか?

受けられます。ただし、開業した年から青色申告をするには、原則として開業日から2か月以内に青色申告承認申請書を提出しておく必要があります。申請を忘れるとその年は白色申告になります。

まとめ:65万円控除のカギはe-Taxと会計ソフト

青色申告の65万円控除は、要件を正しく押さえれば初めてのフリーランスでも受けられます。最後に要点を振り返っておきましょう。

✅ この記事のまとめ

① 65万円控除の要件は「複式簿記+決算書添付+期限内申告+e-Tax(または優良な電子帳簿)」
② 65万円と55万円の違いは「e-Taxか紙か」だけ
③ 期限遅れ・紙提出・簡易簿記・申請忘れで控除額が下がる
④ 税率20%なら65万円控除で年約13万円の節税
⑤ 令和9年分から要件が変わる見込み。基準適合の会計ソフト+e-Taxが安心

65万円控除を確実に受けるカギは、複式簿記を自動化できる会計ソフトと、e-Taxでの電子申告です。事前の青色申告申請さえ忘れなければ、あとは日々の記帳をソフトに任せるだけ。最大の節税メリットを、ぜひ活用してください。

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