
「毎月Excelで請求書を作るのに時間がかかる」「インボイスや電子帳簿保存法に対応できているか不安」。そんなフリーランスへの結論は、使っている会計ソフトと同じ会社の請求書ソフトを選ぶか、会計ソフトが未定なら無料プランのある請求書ソフトから始めることです。月の発行枚数が少ないうちは無料で十分なことが多く、請求と帳簿づけがつながるほど確定申告が楽になります。主要5サービスの違いと選び方を、2026年9月時点の公式情報をもとに1ページにまとめました。
【結論】請求書ソフトは「会計ソフト」と「月の発行枚数」で選ぶ
迷ったら、次の3つの基準で選んでください。
- 会計ソフトを使っているなら同じ会社の請求書機能freee会計ならfreee請求書、マネーフォワード クラウドならクラウド請求書、弥生ならMisoca。売上の帳簿づけまで自動でつながります
- 会計ソフトが未定で費用をかけたくないなら無料プランからINVOYは無料プランで基本機能が使え、Misocaは月10通まで無料です
- カード決済で報酬を受け取りたいなら決済一体型Square 請求書は月額0円で、請求書からカード払いを受け付けられます(決済手数料は別途)
どのサービスでも、インボイス対応の請求書を作れるか・電子データで保存できるかの2点は必ず確認します。料金やプランは改定されるため、申し込み前に公式サイトで最新の内容を確認してください。
請求書ソフトは「書類を作る道具」であると同時に、売上のデータを1か所にためる道具です。取引先が2社を超えたら、手作業より導入したほうが時間もミスも減ります。
請求書ソフトは必要?Excelで作る場合との違い
取引先が1〜2社で毎月同じ内容ならExcelでも回りますが、取引先が増えるほどソフトの効果が大きくなります。違いは作成の速さより、計算ミスの防止・法令対応・データの再利用にあります。
| 項目 | Excel・Wordのテンプレート | 請求書ソフト |
|---|---|---|
| 費用 | 0円 | 無料〜月1,000円前後が中心 |
| 消費税・源泉徴収の計算 | 数式の管理が必要。壊れるとミスに気づきにくい | 自動計算。端数処理もルールどおり |
| インボイスの記載事項 | 自分で漏れを確認する | 登録番号や税率ごとの消費税額を自動で記載 |
| 見積書・納品書との連動 | 転記が必要 | 見積書から請求書への変換がボタン1つ |
| 入金管理・帳簿づけ | 別に管理が必要 | 入金状況を一覧で確認。会計ソフト連携で仕訳も自動 |
| 保存・検索 | フォルダ整理を自分で行う | クラウドに自動保存。日付・取引先・金額で検索できる |
導入を検討すべきタイミングは?
- 取引先が3社以上になった締め日や宛名の管理が複雑になり、送り漏れが起きやすくなります
- インボイス登録をした登録番号・税率・消費税額の記載と、交付した請求書の写しの保存が必要になります
- 源泉徴収のある仕事とない仕事が混在している手計算だと振込金額のずれが起きやすい部分です
- 確定申告の時期に請求書を探す時間がかかった売上データを1か所にまとめるだけで、申告の準備が大きく短縮されます
あわせて読みたい(請求と確定申告)
請求書ソフトの選び方|6つのチェックポイント
次の6つを順に確認すれば、候補は2つ程度に絞れます。
- 無料プランの範囲と、有料になったときの費用月の発行枚数・取引先の登録数・送付方法に上限があるかを確認します。1年後の発行枚数も想定しておきます
- インボイス対応の請求書を作れるか登録番号、税率ごとの金額と適用税率、税率ごとの消費税額を自動で記載できるかを見ます
- 電子帳簿保存法に沿って保存できるか訂正・削除の履歴や、日付・取引先・金額での検索に対応しているか。JIIMA認証の有無も目安になります
- 会計ソフトと連携できるか同じ会社の会計ソフトなら、請求書の発行から売上の仕訳まで二重入力なしでつながります
- 源泉徴収の自動計算に対応しているかライターやデザイナーなど源泉徴収のある仕事をする人は必須です
- 送付方法とスマホ対応メール送付・PDF出力・郵送代行の有無と、外出先からスマホで発行できるかを確認します
フリーランス向け主要5サービスの比較【2026年9月】
5サービスは「会計ソフトの一部」「請求書に特化」「決済と一体」の3タイプに分かれます。自分がどのタイプを求めているかを先に決めると、比較が楽になります。
| サービス | タイプ | 無料で使える範囲 | 有料の目安 |
|---|---|---|---|
| freee請求書 | 会計ソフトの一部 | 個人向けの無料プランあり | freee会計の契約で連携機能が広がる |
| マネーフォワード クラウド請求書 | 会計ソフトの一部 | 1か月の無料お試し | 個人向けプランに含まれる(年払いで月900円〜・税抜) |
| Misoca | 請求書に特化(弥生) | 請求書は月10通まで。見積書・納品書は無制限 | 月15通のプランで年8,800円(税抜) |
| INVOY | 請求書に特化 | 無料プランで作成・発行・メール共有などの基本機能 | 口座の自動連携などを使う場合は月980円(税込) |
| Square 請求書 | 決済と一体 | 月額0円で請求書の作成・送付 | カード決済で受け取ると決済手数料がかかる |
freee請求書はどんな人に向いている?
freee会計で確定申告をする人、または簿記に自信がなく会計まで一体で任せたい人に向いています。請求書を発行すると売上の取引として登録でき、入金の消し込みまで同じ画面で進められます。作成した書類は電子データとして保存され、電子帳簿保存法の要件にも対応しています。
マネーフォワード クラウド請求書はどんな人に向いている?
マネーフォワード クラウド確定申告を使う人や、経費精算・契約管理などもまとめて管理したい人に向いています。個人向けプランの料金に請求書機能が含まれる形で、最小のプランは取引先の登録数に上限があります。インボイス登録をしていて消費税の申告も必要な人は、消費税申告に対応したプランを選びましょう。
Misocaはどんな人に向いている?
請求書の発行が月10通以内の人、弥生の会計ソフトを使う人に向いています。請求書作成に絞ったシンプルな画面で、見積書・納品書は無料プランでも数の制限がありません。有料プランでは郵送代行や電話サポートも使えます。
INVOYはどんな人に向いている?
会計ソフトとは別に、請求書を無料でまとめて管理したい人に向いています。無料プランで請求書・見積書・納品書・領収書の作成や、毎月の自動作成予約が使えます。銀行口座の自動連携や資金繰り表が必要になったら有料プランを検討します。
Square 請求書はどんな人に向いている?
個人のお客様や小規模な取引先から、カードで報酬を受け取りたい人に向いています。請求書にカード払いの画面をつけて送れるため、入金までが早くなります。一方で決済手数料がかかるため、銀行振込が中心の企業取引だけなら他のサービスのほうが向いています。
【状況別】あなたに合う請求書ソフトの選び方
次の表で、自分の状況に近い行を探してください。
| あなたの状況 | 候補 | 理由 |
|---|---|---|
| freee会計を使っている | freee請求書 | 発行から仕訳・入金管理まで二重入力なし |
| マネーフォワード クラウドを使っている | クラウド請求書 | 同じプランの中で使え、確定申告と連動する |
| 弥生の会計ソフトを使っている | Misoca | 弥生の会計ソフトと連携しやすい |
| 会計ソフトは未定、請求書は月10通以内 | Misoca、INVOY | 無料の範囲で運用でき、あとから会計ソフトを選べる |
| 会計ソフトは未定、請求書が月10通を超える | INVOY、freee請求書 | 無料プランで発行枚数を気にせず始めやすい |
| 紙の請求書を求める取引先が多い | 郵送代行のあるサービス | 印刷・封入・投函の手間がなくなる(1通ごとに費用) |
| 個人客からカードで受け取りたい | Square 請求書 | 請求書から直接カード払いを受け付けられる |
請求書ソフトだけを先に選ぶと、あとで会計ソフトと連携できずに売上を手入力し直すことがあります。確定申告に使う会計ソフトを先に決め、その会社の請求書機能を試すのが遠回りに見えて最短です。
無料プランで使うときの注意点
無料プランには必ず何らかの上限があります。発行枚数が増えたときに有料プランへ移る前提で選ぶと、途中で乗り換える手間を防げます。
- 月の発行枚数や取引先の登録数に上限がある上限を超えると有料プランや従量課金が必要になります
- 郵送代行や一括送付は有料のことが多い郵送代行は無料プランでも1通ごとに費用がかかるのが一般的です
- サポートがメールやチャットに限られる電話サポートは有料プランのみというサービスがあります
- サービスの終了やプラン改定がありうる定期的にPDFやCSVでデータを書き出しておくと、乗り換えても過去分を残せます
有料にするかは、請求書作成にかかる時間×自分の時給で判断します。月に1時間の短縮でも、時給3,000円なら年3.6万円分の時間です。年1万円前後のプラン料金は、多くの場合それ以下に収まります。
インボイス・電子帳簿保存法への対応で確認すること
インボイス対応で確認することは?
インボイス登録をしている人は、ソフトで次の3点が自動で記載・計算されるかを確認します。
- 登録番号(Tから始まる13桁)の記載自社情報に1度設定すれば、すべての請求書に入るのが一般的です
- 税率ごとの合計金額と適用税率10%と8%の品目が混ざる場合も区分して表示されるかを見ます
- 税率ごとの消費税額と端数処理1枚の請求書につき税率ごとに1回の端数処理になっているかを確認します
未登録の人は、登録番号の欄を空けたまま使えます。請求書の発行そのものはソフトで問題なく行えます。
電子帳簿保存法で確認することは?
メールやWebで送受信した請求書は「電子取引」にあたり、電子データのまま保存する必要があります。発行した側も、送った請求書のデータを保存の対象として扱います。
| 真実性の確保 | 訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除できないシステムで保存する |
|---|---|
| 検索できること | 取引年月日・取引先・金額で検索できる状態にする |
| 小規模事業者の特例 | 基準期間の売上高が5,000万円以下で、税務調査でデータの提示に応じられる場合は、検索の要件が不要 |
| 保存期間の目安 | インボイス登録済みなら交付した適格請求書の写しは7年 |
あわせて読みたい(インボイスと書類)
請求書ソフトの導入手順|初回の設定から毎月の運用まで
最初の設定さえ済ませれば、毎月の作業は数分で終わります。
無料プランかお試しで登録する
候補を2つに絞り、実際に請求書を1枚作って使いやすさを比べます。
自社情報と振込先を設定する
氏名・屋号・住所・連絡先・振込口座を登録し、インボイス登録済みなら登録番号も入れます。
取引先と品目を登録する
宛名・締め日・支払日・源泉徴収の有無を取引先ごとに設定すると、毎月の入力が減ります。
会計ソフトと連携する
売上の仕訳と入金の消し込みが自動でつながるよう、連携の設定をしておきます。
毎月の発行と入金確認を習慣にする
締め日の数日前に発行・送付し、支払日の翌営業日に入金を確認します。定期の取引は自動作成の予約を使います。
あわせて読みたい(自動化と口座)
請求書ソフトと確定申告のつなげ方
請求書ソフトの効果が最も大きく出るのは、確定申告の準備です。請求書を発行した時点で売上(売掛金)が記録され、入金時に消し込まれるため、年末に売上を集計し直す必要がなくなります。
- 売上の計上漏れを防げる12月分の未入金の売上も、請求書の発行日で売掛金として記録されます
- 源泉徴収税額の集計が楽になる支払調書が届かない取引先の分も、請求書のデータから1年分を集計できます
- 青色申告65万円控除の複式簿記につながる会計ソフトと連携すれば、売上側の仕訳が自動で複式簿記になります。2027年分からは最大75万円控除に再編されます
あわせて読みたい(確定申告)
よくある質問(FAQ)
● 会計ソフトを使っているなら同じ会社の請求書機能、未定なら無料プランのあるサービスから始める
● 5サービスは「会計ソフトの一部」「請求書に特化」「決済と一体」の3タイプ。料金は申し込み前に公式で確認
● インボイスの記載事項と電子データでの保存に対応しているかを必ず確認する

