
自宅で働くフリーランスにとって、電気代やガス代は毎月かかる身近な支出です。「光熱費は経費にできる?」「何%なら大丈夫?」と迷う人は多いはずです。結論から言えば、仕事で使った分だけを「水道光熱費」として経費にでき、自宅兼事務所なら根拠のある割合で家事按分するのが基本です。パソコン作業が中心なら按分の中心は電気代で、ガス代・水道代は仕事で使う理由がある場合に限られます。按分の決め方4つと計算例をまとめました。
【結論】仕事で使った分だけを、根拠のある割合で按分する
光熱費を経費にするときは、次の3つのルールを守れば迷いません。
- 自宅兼事務所なら家事按分する仕事専用の事務所なら全額、自宅なら仕事で使った割合だけを水道光熱費にします
- 按分するのは仕事で使う費目だけパソコン作業中心なら電気代が中心。ガス代・水道代は料理撮影やサロンなど、仕事で使う理由があるときだけ
- 割合の根拠を記録し、毎年同じ方法で計算する作業時間・面積・機器の消費電力などから計算し、メモに残します
按分割合に法律で決まった数字はありません。大事なのは「なぜその割合なのか」を説明できることです。
月1万2,000円の電気代を24%按分すると、年間で約3.5万円が経費になり、所得税率10%の人なら所得税と住民税でおよそ7,000円の節税になります。金額は大きくありませんが、毎年続く経費なので、根拠を固めて確実に計上することが大切です。
光熱費は経費にできる?勘定科目と対象
事業で使った光熱費は「水道光熱費」という勘定科目で経費にできます。
| 費目 | 在宅でパソコン作業が中心の人 | 仕事で使う理由がある例 |
|---|---|---|
| 電気代 | 按分して経費にできる | パソコン・モニター・照明・空調を仕事で使う |
| ガス代 | 原則として経費にしにくい | 料理の撮影・レシピ開発、ガス暖房で仕事部屋を暖める |
| 水道代 | 原則として経費にしにくい | 料理・サロン・撮影の準備など業務で水を使う |
| 灯油・暖房用燃料 | 仕事部屋で使う分は按分可 | 冬の作業中に仕事部屋で使うストーブ |
自宅とは別に借りた事務所や、仕事専用の部屋に別メーター・別契約で電気を引いている場合は、その光熱費を全額経費にできます。シェアオフィスやコワーキングスペースの利用料に光熱費が含まれている場合は、利用料として経費にします。
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按分割合の決め方4つと計算例
按分の方法は、生活実態に合うものを1つ選び、毎年同じ方法で計算します。国税庁の取り扱いでは、仕事に必要な部分を明らかに区分できれば、その部分を経費にできます。
| 方法 | 計算の考え方 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 時間で按分 | 仕事の時間÷電気を使う時間 | 最も一般的。多くのフリーランス |
| 面積で按分 | 仕事部屋の床面積÷住まいの床面積 | 仕事部屋を専用で使い、空調も分かれている人 |
| 機器の消費電力で計算 | 仕事で使う機器の消費電力×使用時間×電気料金の単価 | 根拠を最も具体的に示したい人 |
| 別メーター・別契約 | 仕事専用の回線・メーターは全額 | 事務所スペースを独立させている人 |
時間で按分する計算例
| 前提 | 電気代 月1万2,000円、1日8時間・月22日在宅で仕事 |
|---|---|
| 仕事の時間 | 8時間×22日=176時間 |
| 分母を月の総時間にした場合 | 176時間÷720時間(24時間×30日)=約24%→月2,880円 |
| 分母を起きて家にいる時間にした場合 | 1日14時間在宅なら420時間→176時間÷420時間=約42%→月5,040円 |
| 選び方 | 総時間は控えめで説明しやすい方法。在宅時間を使う場合は、生活の記録で裏付けできるようにしておく |
機器の消費電力で計算する例
| 仕事で使う機器 | パソコン・モニター・照明で合計200W、仕事部屋のエアコン500W |
|---|---|
| 月の使用量 | (0.2kW+0.5kW)×8時間×22日=123.2kWh |
| 電気代の目安 | 123.2kWh×31円=約3,800円(月) |
| ポイント | 機器の消費電力は仕様書やラベルで確認。季節で空調の使用が変わる場合は月ごとに見直す |
在宅時間が短いのに50%を超える割合にしたり、使っていないガス代・水道代まで按分したりすると、税務調査で否認されるおそれがあります。否認されると、追加の税金に加えて過少申告加算税や延滞税がかかります。実態に合った割合を、根拠とセットで残すことが最大の対策です。
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按分の根拠として残すもの
- 按分の計算メモ「1日8時間・月22日、分母は月の総時間で24%」のように、方法と数字を書きます
- 仕事の時間が分かる記録稼働報告、タイムトラッキングの記録、カレンダーなど
- 間取り図と仕事部屋の面積面積で按分する場合に必要です
- 電気・ガス・水道の明細検針票やWeb明細、引き落としの記録。電子で受け取ったものは電子のまま保存します
按分の方法を年によって変えると、経費を多くするために変えたと見られやすくなります。働き方が変わった場合を除き、同じ方法を続けましょう。
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光熱費の仕訳の方法
毎月按分する場合は?
| 事業用口座から払った | 水道光熱費 2,880円/事業主貸 9,120円/普通預金 12,000円 |
|---|---|
| 個人の口座やカードで払った | 水道光熱費 2,880円/事業主借 2,880円(仕事の分だけを計上) |
年末にまとめて按分する場合は?
毎月の按分が手間なら、1年分をいったん全額水道光熱費で記帳し、年末に私用分を振り替える方法も使えます。
| 期中 | 毎月の電気代を全額、水道光熱費として記帳(年間14万4,000円) |
|---|---|
| 年末の振替 | 事業主貸 109,440円/水道光熱費 109,440円(私用分76%を振り替え) |
| 結果 | 経費として残るのは3万4,560円 |
会計ソフトの家事按分の機能を使えば、割合を設定するだけで年末の振替を自動で作れます。
インボイスは必要?
所得税の経費にするだけなら、請求書や引き落としの記録で構いません。消費税を本則課税で計算している人は、仕入税額控除のために電力会社などが発行する適格請求書(Web明細などで確認できるもの)を保存します。2割特例・3割特例・簡易課税の人は影響しません。
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よくある質問(FAQ)
本記事は2026年9月時点の情報にもとづく一般的な内容です。按分の割合が妥当かどうかは、仕事の内容や生活の実態によって判断が変わります。迷う場合は、税務署の相談窓口や税理士に確認してください。
● 仕事で使った光熱費は水道光熱費で経費に。自宅兼事務所は家事按分、専用事務所は全額
● 按分は時間・面積・消費電力・別メーターの4方法。パソコン作業中心なら電気代が中心
● 根拠を記録し毎年同じ方法で。毎月でも年末の振替でもよく、会計ソフトで自動化できる

