フリーランス1年目にやること|手続き・お金・契約を時系列で解説

フリーランスの基礎知識|独立1年目に知るべきことを解説

会社を辞めてフリーランスになった1年目は、仕事の取り方、契約、お金の管理、税金や保険の手続きまで、会社がやってくれていたことをすべて自分で管理する必要があります。結論から言えば、1年目に押さえるべきことは「期限のある手続きを落とさない」「書面で契約して自分を守る」「会社員時代の所得にかかる税金と保険に備える」の3つです。退職前から翌年の確定申告後までを時系列で並べ、いつ何をすればよいかが1ページで分かるようにまとめました。

目次

【結論】手続きの期限、書面の契約、税金と保険の備えを押さえる

独立1年目は、次の3つを押さえれば大きく失敗しません。

  1. 期限のある手続きを落とさない国民健康保険・国民年金は退職日の翌日から14日以内、青色申告の申請は開業から2か月以内、開業届はその年分の確定申告期限までです
  2. 契約は必ず書面やメールで残す業務の範囲・報酬・支払期日の3点は特にもめやすいポイントです。フリーランス新法も味方になります
  3. 会社員時代の所得にかかる税金と保険に備える1年目の住民税と国民健康保険料は前年の給与で計算されるため、収入が少ない時期に大きな負担がきます

独立直後は、案件が決まっても入金までに1〜2か月かかることが多く、手元のお金が一気に減ります。生活費の6か月分以上を用意してから独立すると、焦って条件の悪い仕事を受けずに済みます。

フリーランスと会社員は何が違う?

項目会社員フリーランス
働き方会社の指示と就業時間に従う時間も場所も自分で決める
収入毎月の給与で安定案件しだいで変動。入金は後払い
税金給与から天引き、年末調整確定申告で自分で計算して納める
社会保険健康保険・厚生年金(会社と折半)国民健康保険・国民年金(全額自己負担)
病気で休んだとき有給休暇・傷病手当金収入の補償は原則なし
社会的信用得やすい実績と確定申告の記録を積むまでは得にくい
POINT|クレジットカードや賃貸の審査は退職前に

独立直後は収入の実績がなく、クレジットカードや賃貸住宅、ローンの審査に通りにくくなります。必要なものは会社員のうちに申し込んでおくと安心です。

退職前から翌年までの手続きとお金のスケジュール

1

退職前|お金と審査の準備

生活防衛資金を用意し、会社の健康診断、クレジットカードや賃貸の審査を済ませます。任意継続と国民健康保険の保険料も比べておきます。

2

退職後14日以内|健康保険と年金の切り替え

国民健康保険(任意継続なら20日以内)と国民年金の手続きをします。扶養に入れていた60歳未満の配偶者の年金も切り替えます。

3

開業から2か月以内|青色申告の申請と開業届

青色申告承認申請書は開業から2か月以内(1月1日〜15日の開業ならその年の3月15日まで)に税務署へ出します。開業届の期限はその年分の確定申告期限までですが、一緒に出すのが確実です。

4

最初の数か月|お金の管理の仕組みをつくる

事業用の口座とカードを分け、会計ソフトを用意します。取引先の求めに応じてインボイス登録をするかも判断します。

5

独立した年の6月以降|住民税の納付

会社員時代の所得にかかる住民税を自分で納めます。1〜4月に退職した場合は、最後の給与などからまとめて天引きされます。

6

秋〜12月|年内の節税と控除の準備

1年の所得を見込み、小規模企業共済・iDeCo・ふるさと納税などを年内に済ませます。控除証明書を保管します。

7

翌年2月16日〜3月15日|初めての確定申告

退職した会社の源泉徴収票も合わせて申告します。報酬から源泉徴収された税金が多ければ還付されます。

8

翌年6〜7月|住民税・国保と予定納税

独立1年目の所得にもとづく住民税と国民健康保険料が決まります。所得税が15万円以上だった人は、7月と11月に予定納税があります。

1年目は「前年の給与」に税金と保険料がかかる

住民税と国民健康保険料は前年の所得で決まるため、独立1年目は会社員時代の給与をもとに計算されます。収入が安定しないうちに大きな請求が来るため、あらかじめ資金を取り分けておきましょう。払えない場合は、国民年金の免除や、税金・保険料の減免や分割を早めに相談します。

お金と税金の基礎知識

  • 青色申告にしておく複式簿記と期限内のe-Taxで最大65万円の控除。赤字を3年間繰り越せるため、設備投資で赤字になりやすい1年目こそ有利です
  • 経費と家事按分を正しく計上する事業に必要な支出は経費に。自宅の家賃や光熱費、通信費は仕事で使う割合だけを経費にします
  • 税金の支払い用のお金を分けておく入金のたびに2〜3割を別口座に移すと、所得税・住民税・国保の支払いで困りません
  • 消費税は最初の2年は原則かからない開業した年とその翌年は、基準となる前々年の売上がないため、原則として免税事業者です。ただしインボイス登録をすると申告が必要になります

仕事の取り方と、フリーランス新法で守られること

最初の仕事はどう取る?

方法向いている人注意点
フリーランスエージェント会社員時代の実務経験がある人週4〜5日の案件が中心。マージンの仕組みを確認する
前職や知人からの紹介人脈がある人単価や条件をあいまいにせず、書面で決める
クラウドソーシング実績づくりから始めたい人単価が低くなりやすい。実績ができたら移行する
SNS・ポートフォリオでの発信成果物を見せられる職種成果が出るまで時間がかかる

契約で必ず確認することは?

  • 業務の範囲どこまでやるのか、修正は何回までか
  • 報酬と支払期日金額、計算方法、いつ支払われるか
  • 納期と検収いつまでに納品し、どうやって完了を確認するか
  • 契約の終わり方途中で解除する場合の条件と予告期間
  • 損害賠償と権利賠償の上限、成果物の著作権をどうするか

フリーランス新法で何が守られる?

取引条件の明示発注者は、業務内容・報酬・支払期日などを書面かメールなどで明示する
報酬の支払期日成果物を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間内に支払う
中途解除の予告6か月以上の継続的な業務委託を解除するときは、原則30日前までに予告する
ハラスメント対策発注者は相談体制を整える
困ったときの相談先フリーランス・トラブル110番で弁護士に無料で相談できる
出典:公正取引委員会・厚生労働省(2024年11月1日施行、2026年9月確認)

1年目に気をつけたいこと

  • 1社だけに頼らない売上の大半を1社に頼ると、契約終了でいきなり収入がゼロになります。2〜3社に分散を目指します
  • 安すぎる単価で受け続けない会社員時代の給与を時給に直した額では、税金や保険、休みの分が足りません。目標年収から逆算して単価を決めます
  • 働けなくなったときに備える傷病手当金がないため、生活防衛資金と、必要に応じて所得補償保険を検討します
  • 記録を毎月つける記帳と領収書の保存を毎月続けると、確定申告の負担が大きく減ります

よくある質問(FAQ)

Qフリーランスになったら最初に何をすればいいですか?
A退職日の翌日から14日以内に、国民健康保険(任意継続なら20日以内)と国民年金の手続きをします。続いて青色申告承認申請書を開業から2か月以内に税務署へ出します。開業届の期限はその年分の確定申告期限までですが、一緒に出すのが確実です。
Q開業届は出さないといけませんか?
A開業届の期限は、事業を始めた年分の確定申告期限までです。出さなくても罰則はありませんが、青色申告をするには開業届と青色申告承認申請書の提出が必要です。
Q独立1年目の住民税はなぜ高いのですか?
A住民税は前年の所得で決まるため、独立1年目は会社員時代の給与をもとに計算されるからです。国民健康保険料も同じく前年の所得で決まるため、資金を取り分けておきましょう。
Q独立する前にいくら貯めておけばいいですか?
A生活費の6か月分以上が目安です。入金まで1〜2か月かかることや、1年目の住民税・国民健康保険料が会社員時代の所得で計算されることも考えて、余裕を持って準備しましょう。
Q1年目から青色申告にしたほうがいいですか?
Aおすすめです。最大65万円の控除に加え、赤字を3年間繰り越せるため、設備投資で赤字になりやすい1年目こそ有利です。開業から2か月以内に申請します。
Q1年目は消費税を払う必要がありますか?
A開業した年とその翌年は、基準となる前々年の売上がないため、原則として免税事業者です。ただしインボイス登録をすると課税事業者になり、消費税の申告が必要です。
Q最初の仕事はどうやって探せばいいですか?
A会社員時代の実務経験があるならフリーランスエージェント、人脈があるなら前職や知人の紹介が早い方法です。実績づくりから始めるならクラウドソーシングも使えます。
Q契約書がない仕事は受けても大丈夫ですか?
A口約束だけで始めるのは危険です。フリーランス新法では、発注者に取引条件を書面やメールで明示する義務があります。少なくとも業務の範囲、報酬、支払期日をメールで残しましょう。
Q報酬が支払われないときはどうすればいいですか?
Aまず契約内容と請求の記録を確認し、取引先に書面で支払いを求めます。解決しない場合は、フリーランス・トラブル110番で弁護士に無料で相談できます。
Q初めての確定申告はいつですか?
A独立した年の翌年2月16日から3月15日までです。退職した会社の源泉徴収票も合わせて申告し、報酬から源泉徴収された税金が多ければ還付を受けられます。
個別の判断は専門家や窓口に確認を

本記事は2026年9月時点の制度にもとづく一般的な情報です。手続きの期限や税金・保険料の扱いは、退職の時期や事業の内容によって変わります。判断に迷う場合は、税務署・市区町村・年金事務所や税理士に確認してください。

この記事のまとめ

● 国保・年金は14日以内、開業届は1か月、青色申告は2か月以内。期限のある手続きを先に済ませる

● 1年目の住民税と国保は会社員時代の所得で決まる。生活費6か月分以上と税金用の資金を分けて持つ

● 契約は書面で残し、フリーランス新法とトラブル110番を知っておく。取引先は2〜3社に分散する

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