フリーランスの健康保険|国保と任意継続の違いと選び方を解説

フリーランス 国民健康保険 任意継続 比較

会社を辞めてフリーランスになるとき、多くの人が悩むのが健康保険の選択です。選択肢は主に「国民健康保険(国保)」と「任意継続」の2つ。どちらが得かは、年収・扶養家族の有無・退職後の収入見込みによって変わります。判断を誤ると、年間で数万円〜数十万円も損をすることも。この記事では、国保と任意継続の違い、年収別にどちらが安いか、選び方の判断軸まで、フリーランスが後悔しない健康保険選びのポイントを解説します。

退職後の健康保険は3つの選択肢

会社を退職すると、それまで加入していた会社の健康保険の資格を失います。日本は「国民皆保険」のため、退職後も何らかの公的医療保険に加入しなければなりません。フリーランスになる人の選択肢は、主に次の3つです。

  • 国民健康保険(国保):市区町村が運営する保険に加入する
  • 任意継続:退職前の会社の健康保険を最長2年間続ける
  • 家族の扶養に入る:収入が少ない場合、家族の健康保険の被扶養者になる
📌 POINT

退職後の収入が少なく、年収130万円未満(60歳以上や障害者は180万円未満)などの条件を満たせば、配偶者や親など家族の扶養に入るのが最も負担が軽くなります。まずは扶養に入れないかを確認し、入れない場合に国保と任意継続を比較するのが基本の流れです。
※出典:マネイロ等の解説に基づく。扶養の条件は健康保険組合により異なります。

国民健康保険と任意継続の違い

国保と任意継続の主な違いを表で整理しました。保険料の決まり方や手続き期限が大きく異なります。

項目 国民健康保険 任意継続
保険料の基準 前年の所得・世帯人数(自治体ごと) 退職時の標準報酬月額(上限あり)
会社負担 なし(全額自己負担) なし(在職時の会社負担分も自己負担)
加入期間 制限なし 最長2年間
手続き期限 退職日の翌日から14日以内 退職日の翌日から20日以内
扶養の概念 なし(加入者ごとに保険料) あり(扶養family追加でも保険料は変わらない)
減免・軽減 あり(所得が少ない場合など) なし(保険料は2年間原則同額)
📌 POINT

最大の違いは「扶養」と「減免」です。任意継続は扶養家族を何人追加しても保険料が変わらないため、扶養家族が多い人に有利。一方、国保は所得が少ないときの減免・軽減制度があるため、収入が大きく減る人に有利です。
※出典:マネーフォワード・各健康保険組合の解説に基づく。

年収別:どちらが安いかの目安

「結局どちらが安いのか」は、退職前の年収によって傾向が分かれます。一般的な目安は次のとおりです。

退職前の年収 安くなりやすい方
200万〜300万円 国民健康保険のほうが安い傾向
400万円 国民健康保険のほうがやや安い傾向
500万〜600万円 任意継続のほうが安い傾向

年収が高めの人は、任意継続には保険料の上限があるため、国保より安くなることが多くなります。一方、年収が低めの人は国保のほうが安い傾向です。ただし、これはあくまで目安。国保の保険料は自治体によって計算が異なるため、正確には両方を試算して比較する必要があります。

⚠️ 注意

上記はあくまで一般的な目安です。国保の保険料は自治体ごとに料率や計算方法が異なり、扶養家族の人数によっても変わります。実際に選ぶ際は、お住まいの市区町村で国保の保険料を試算し、任意継続の保険料(退職時の健康保険組合に確認)と比較することが大切です。
※出典:マネーキャリア等の年収別シミュレーションに基づく目安。実際の金額は個別に確認を。

任意継続の仕組みと注意点

任意継続は、退職前の会社の健康保険を、退職後も最長2年間続けられる制度です。利用するには条件があります。

  • 退職日の前日までに、継続して2か月以上その健康保険に加入していたこと
  • 退職日の翌日から20日以内に申請すること
⚠️ 注意

任意継続には、いくつか重要な注意点があります。
・在職時は会社が保険料の半分を負担していましたが、任意継続では会社負担分も自分で払うため、保険料は在職時の約2倍になります(上限あり)。
・保険料は原則2年間同額で、国保のような所得連動の減額はありません。
・傷病手当金・出産手当金は支給されません。
・2022年の改正で、それまでの「2年間は脱退不可」が見直され、現在はいつでも脱退できます。
※協会けんぽの保険料上限は、2025年度(令和7年度)は標準報酬月額93万円(42等級)が上限。2026年4月以降は上限を廃止し退職時の標準報酬月額を適用する見込み(資格取得時点の上限が加入中は適用)。出典:協会けんぽ・各健康保険組合(2026年6月時点)。

国民健康保険の仕組みと注意点

国民健康保険は、市区町村が運営する公的医療保険です。退職して他の保険に入らない場合は、原則これに加入します。

国保の保険料は、前年の所得・世帯の加入人数などをもとに、自治体ごとの計算方法で決まります。所得が多いほど、また世帯の加入者が多いほど高くなります。手続きは退職日の翌日から14日以内に、市区町村の窓口で行います。

📌 POINT

国保の大きな特徴は2つ。1つは「減免・軽減制度」があり、所得が大きく減った場合などに保険料が軽減されること。もう1つは、保険料が前年所得ベースのため、退職して収入が下がった翌年は、保険料も下がりやすいことです。フリーランス2年目以降に収入が読めない人にとっては、この柔軟さがメリットになります。
※出典:日本航空健康保険組合・マネイロ等の解説に基づく。減免の要件は自治体により異なります。

どちらを選ぶ?判断のポイント

国保と任意継続のどちらを選ぶべきか、判断のポイントを状況別に整理しました。

① 任意継続が向いている人

退職前の年収が高め(おおむね500万円以上)で保険料の上限メリットを受けられる人や、扶養家族が多い人(扶養を追加しても保険料が変わらない)は、任意継続が有利になりやすいです。

② 国民健康保険が向いている人

退職前の年収が低め(おおむね400万円以下)の人や、退職後に収入が大きく減る見込みの人(減免・軽減や翌年の保険料減のメリット)は、国保が有利になりやすいです。単身者も国保が安くなるケースが多くあります。

③ まず家族の扶養を検討する人

退職後の収入が少なく、年収130万円未満などの条件を満たせる人は、家族の扶養に入るのが最も負担が軽くなります。国保・任意継続を比較する前に、扶養に入れないかを確認しましょう。

⚠️ 注意

任意継続は「退職日の翌日から20日以内」という短い期限があります。迷っている間に期限を過ぎると、任意継続を選べなくなります。退職が決まったら、早めに退職時の健康保険組合に任意継続の保険料を確認し、市区町村で国保の保険料を試算して、両方を比較しておきましょう。

健康保険の選択に関するよくある質問

退職後の健康保険の選択について、特に質問の多いポイントをまとめました。

Q. 国保と任意継続、後から変更できますか?

任意継続は2022年の改正でいつでも脱退できるようになり、脱退後は国保に切り替えられます。ただし、国保から任意継続への変更はできません(任意継続は退職後20日以内の申請が必要なため)。最初の選択が重要です。

Q. 保険料はどこで確認できますか?

任意継続の保険料は、退職前に加入していた健康保険組合・協会けんぽに問い合わせれば分かります。国保の保険料は、お住まいの市区町村の窓口やウェブサイトの試算ツールで確認できます。両方を確認して比較しましょう。

Q. 任意継続の2年が終わったらどうなりますか?

任意継続は最長2年で資格を失います。その後は国民健康保険に加入するか、再就職先の健康保険に入ることになります。フリーランスを続ける場合は、2年後に国保へ切り替えるのが一般的です。

Q. 国民健康保険料は経費にできますか?

経費にはできませんが、確定申告で「社会保険料控除」として全額を所得から控除できます。任意継続の保険料も同様に社会保険料控除の対象です。節税につながるので、忘れずに申告しましょう。

まとめ:年収と扶養で比較して選ぶ

退職後の健康保険は、年収と扶養家族の状況で有利な選択肢が変わります。最後に要点を振り返っておきましょう。

✅ この記事のまとめ

① 退職後の選択肢は「国保」「任意継続」「家族の扶養」の3つ
② 年収が高め・扶養家族が多いなら任意継続が有利になりやすい
③ 年収が低め・収入が大きく減るなら国保が有利になりやすい
④ 任意継続は退職翌日から20日以内、国保は14日以内に手続き
⑤ 迷ったら両方の保険料を試算して比較するのが確実

国保と任意継続に「絶対こちらが得」という答えはありません。年収・扶養・退職後の収入見込みによって、最適な選択は変わります。大切なのは、任意継続の20日以内という期限を逃さないこと、そして両方の保険料を実際に試算して比較することです。まずは家族の扶養に入れないかを確認し、入れない場合に国保と任意継続を見比べて、自分にとって負担の少ない方を選びましょう。

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