
フリーランスは会社員と違い、制度の使い方しだいで手元に残るお金が大きく変わります。とはいえ、節税の方法は多く「どれから手をつければいいのか」と迷う人も多いはずです。結論から言えば、まず青色申告65万円控除と経費の計上漏れをなくし、次に小規模企業共済とiDeCoで所得控除を積み上げるのが、多くのフリーランスにとって効果の大きい順番です。2026年の最新制度で、方法ごとの節税額の目安と、年内に済ませるべき手続きまでまとめました。
【結論】青色申告と経費で所得を減らし、共済とiDeCoで控除を積み上げる
節税は、次の順番で取り組むと効果が大きく、失敗も少なくなります。
- 青色申告65万円控除を受けるお金を使わずに所得を65万円減らせる、最も効率のよい方法です
- 経費の計上漏れをなくす家事按分や少額の支払いの漏れを防ぎます。新たに買う必要はありません
- 小規模企業共済とiDeCoで控除を積み上げる掛金の全額が所得控除になり、将来の退職金・年金の準備も兼ねられます
- ふるさと納税などの控除を忘れず申告する確定申告で申告しないと適用されません
節税額の目安は「減らせた所得×(所得税率+住民税率10%)」です。所得税率10%の人なら、所得を10万円減らすとおよそ2万円の税金が減ります。
| 方法 | 年間に減らせる額の上限 | 節税額の目安(税率合計20%の人) | お金の自由度 |
|---|---|---|---|
| 青色申告特別控除 | 65万円(2027年分から最大75万円) | 約13万円 | 支出なし |
| 小規模企業共済 | 84万円 | 約16.8万円 | 廃業時などに受け取り。解約・貸付も可 |
| iDeCo | 81.6万円(2026年12月分から最大90万円) | 約16.3万円 | 原則60歳まで引き出せない |
| 経費の計上漏れの解消 | 実際の支出の範囲 | 漏れの額×20% | 支出済みのもの |
| ふるさと納税 | 所得に応じた上限額 | 税額は減らず、実質2,000円で返礼品 | 寄附した年に支出 |
節税の基本|何を減らせば税金が下がるのか
所得税と住民税は、課税所得に税率をかけて計算します。節税とは、課税所得を正しく小さくすることです。
| 課税所得の計算式 | 売上-経費-青色申告特別控除-所得控除 |
|---|---|
| 経費・青色控除 | 事業所得そのものを下げる。所得税・住民税に加えて国民健康保険料や個人事業税も下がりやすい |
| 所得控除 | 小規模企業共済・iDeCo・社会保険料・ふるさと納税など。所得税と住民税を下げる |
| 効果が大きい人 | 所得税率が高い人ほど、同じ金額でも節税額が大きくなる |
2026年分の所得税の基礎控除は、合計所得金額が489万円以下なら104万円、超えると67万円に下がります。基礎控除の判定に使う合計所得金額は、経費や青色申告特別控除では下がりますが、小規模企業共済やiDeCoでは下がりません。489万円に近い人は、経費の漏れと青色申告65万円控除の確認を先にしましょう。
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事業所得を減らす節税|青色申告・経費・減価償却
青色申告でどれだけ得をする?
複式簿記で記帳し、期限内にe-Taxで申告すれば、所得から最大65万円を差し引けます。2027年分からは、優良な電子帳簿の保存などを満たすと最大75万円に再編されます。そのほか、赤字を3年間繰り越せる、家族への給与を経費にできるなどの特典もあります。青色申告には事前の申請が必要で、適用したい年の3月15日まで(1月16日以後に開業した場合は開業から2か月以内)に承認申請書を出します。
経費はどこで漏れやすい?
- 自宅の家賃・光熱費・通信費仕事で使う割合を家事按分で経費にします。根拠(面積や使用時間)をメモに残します
- 少額の支払いソフトやクラウドサービスの月額料金、振込手数料、打ち合わせの交通費
- 個人のカードで払った事業の支出事業主借として計上できます。明細を確認して拾います
- セミナー代・書籍代いまの業務に関係するものは経費になります
パソコンなどを買ったときの特例は?
青色申告の人は、少額減価償却資産の特例で一定額未満の資産を買った年に全額経費にできます。2026年4月1日以後に取得したものは40万円未満(それ以前は30万円未満)が対象で、年間の合計300万円までです。10万円未満のものは、白色申告でも全額をその年の経費にできます。
10万円の機材を買って経費にしても、減る税金は2万円程度です(税率合計20%の場合)。本当に必要なものでなければ、手元のお金は8万円減ることになります。必要な設備の購入時期を、利益の大きい年に合わせる程度にとどめましょう。
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所得控除を積み上げる節税|共済と年金の使い分け
掛金の全額が所得控除になる制度は、将来のお金を準備しながら今年の税金を減らせます。違いは、いつ引き出せるかです。
| 制度 | 掛金の上限 | 控除の種類 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 小規模企業共済 | 月7万円(年84万円) | 小規模企業共済等掛金控除 | 加入20年未満の任意解約は元本割れ、12か月未満は受け取れない |
| iDeCo | 月6.8万円。2026年12月分から月7.5万円(国民年金基金・付加保険料と合算) | 小規模企業共済等掛金控除 | 原則60歳まで引き出せない。運用の結果で受取額が変わる |
| 国民年金基金 | iDeCoと合算で上と同じ枠 | 社会保険料控除 | 終身年金が中心。付加年金とは併用できない |
| 付加年金 | 月400円 | 社会保険料控除 | 年金が「200円×納付月数」増える。2年受け取れば元が取れる |
小規模企業共済とiDeCoはどちらを優先する?
手元資金に余裕がないうちは、小規模企業共済を少額から始めるのが現実的です。廃業時の受け取りや、掛金の範囲内での貸付制度があり、iDeCoより資金を動かしやすいためです。老後資金を着実に作りたい人や、運用益を非課税で増やしたい人はiDeCoも併用しましょう。両方を上限まで使うと、年165.6万円(2026年12月分以後はさらに拡大)の所得控除になります。
経営セーフティ共済は節税になる?
取引先の倒産に備える共済で、掛金(月5,000円〜20万円、年240万円まで)は個人事業主の必要経費にできます。ただし解約して受け取る解約手当金は収入として課税されるため、税金を減らすというより先送りする制度です。利益が大きい年の対策として、受け取る年の所得まで考えて使いましょう。
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そのほかの控除・家族・ふるさと納税
- 社会保険料控除国民健康保険料・国民年金保険料は全額控除。生計を一にする家族の分を払った場合も合算できます
- 生命保険料控除・地震保険料控除生命保険料は最大12万円、地震保険料は最大5万円
- 医療費控除家族分も合算して10万円(所得200万円未満は所得の5%)を超えた分。セルフメディケーション税制との選択
- 配偶者控除・扶養控除2026年分から、配偶者・扶養親族の合計所得の要件は62万円以下
- 家族への給与(青色事業専従者給与)事業を手伝う家族への給与を経費にできます。原則3月15日までの届出が必要で、配偶者控除との併用はできません
- ふるさと納税寄附額から2,000円を引いた額が所得税・住民税から控除されます。フリーランスはワンストップ特例が使えないため、確定申告で申告します
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消費税と赤字の年の節税
インボイス登録者の消費税を減らすには?
計算方法の選び方で納税額が大きく変わります。免税事業者から登録した個人は、2026年分まで2割特例、2027年分・2028年分は3割特例が使えます。サービス業(簡易課税の第5種)なら、3割特例のほうが簡易課税より納税額が少なくなります。特例が終わる2029年分に向けて、簡易課税と本則課税のどちらが有利かを試算しておきましょう。
赤字の年は何をすればいい?
青色申告なら、赤字(純損失)を翌年から3年間繰り越して、黒字と相殺できます。そのためには赤字の年も確定申告をする必要があります。独立初年度に設備投資で赤字になった人ほど、忘れずに申告しましょう。
年内にやること|節税の年間スケジュール
所得控除の多くは、その年の12月31日までに払ったものだけが対象です。加入手続きには時間がかかるため、秋のうちに動くのが確実です。
1月〜3月|申告と青色の申請
前年分の確定申告を期限内にe-Taxで出します。青色申告に切り替えるなら3月15日までに承認申請書を提出します。
毎月|記帳と経費の確認
会計ソフトで記帳し、個人のカードで払った事業の支出も漏れなく拾います。
9月〜10月|今年の所得を見込む
1〜9月の実績から年間の所得を試算し、共済やiDeCoの掛金、ふるさと納税の上限を決めます。
11月〜12月|支払いと加入を済ませる
小規模企業共済の前納、iDeCoの掛金変更、ふるさと納税、必要な設備の購入を年内に済ませます。
やってはいけない節税と、法人化の目安
- 私的な支出を経費にする税務調査で否認されると、追加の税金に加えて過少申告加算税と延滞税がかかります
- 売上を申告しない節税ではなく脱税です。意図的な隠蔽には重加算税が課されます
- 節税のためだけに不要なものを買う減る税金より、出ていくお金のほうが多くなります
- 引き出せないお金を入れすぎるiDeCoは原則60歳まで動かせません。生活費の半年分程度の手元資金を残しましょう
法人化すると節税になる?
所得が大きくなると、法人化で税負担を抑えられる場合があります。目安として課税所得が800万〜1,000万円を超えるあたりから検討されることが多いものの、社会保険料の負担や設立・維持の費用もかかります。税理士に個人と法人の手取りを比べてもらってから判断しましょう。
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よくある質問(FAQ)
本記事は2026年9月時点の法令・制度にもとづく一般的な情報です。節税の効果や向いている方法は、所得や家族構成、資金計画によって変わります。判断に迷う場合は税理士に相談してください。
● 節税は青色申告65万円控除と経費の漏れ解消から。お金を使わずに所得を減らせる
● 次に小規模企業共済(年84万円)とiDeCoで控除を積み上げる。引き出せる時期で使い分ける
● 控除の多くは12月31日までの支払いが対象。秋に所得を見込み、年内に手続きを済ませる

