
「フルリモートの案件を探したいのに、どのエージェントが本当にリモートに強いのか分からない」「リモート可と書いてあったのに、実際は週1日の出社が必要だった」。リモート案件探しで最も多いつまずきです。結論から言えば、案件票の「リモート可」は完全在宅を意味しません。リモートには4つの類型があり、見極め方と伝え方を押さえれば、条件に合う案件だけを効率よく紹介してもらえます。
【結論】リモート案件は「見極める・数字で伝える・比率が読める会社を軸にする」
リモート案件を効率よく見つけるコツは、次の3つの原則に集約されます。
- 「リモート可」の中身を類型で見極めるフルリモート・一部リモート・段階移行型・原則出社の4類型があり、表記だけでは区別できません
- 希望は「出社ゼロのみ」「月◯回まで可」と数字で伝える「リモート希望」だけでは、通えない距離の案件まで紹介され続けます
- リモートの内訳が読める会社を1社、母数の大きい会社を1社選ぶ比率と絶対数の両方を押さえると、候補が途切れにくくなります
もう1つの前提は、「リモートだから単価が下がる」わけではないということです。単価を決めるのはスキル・担当工程・商流であって、働く場所ではありません。通勤の時間と費用がなくなるぶん、実質的な時間単価はむしろ上がります。
ただし市場全体を見ると、2026年9月時点でフルリモート案件は掲載案件の約23%です。完全在宅だけに絞ると、候補は一気に減ります。だからこそ、リモート比率の高いエージェントを選ぶこと自体が、いちばん効く戦略になります。
「リモート可」は4類型|案件票の正しい読み方
同じ「リモート」でも、実際の働き方は大きく違います。参画してから「思っていたのと違う」とならないよう、まず4つの類型を区別してください。
| 類型 | 出社頻度 | 実際の働き方 | 遠方からの参画 |
|---|---|---|---|
| フルリモート(完全在宅) | 原則ゼロ | 自宅などで完結。会議もオンライン | 可能 |
| 一部リモート(ハイブリッド) | 週1〜3日、または月数回 | 定例やキックオフのときだけ出社 | 頻度しだい |
| 段階移行型 | 最初は多く、徐々に減る | 慣れたらリモートの比率を上げる | 参画初期は通勤圏が前提 |
| リモート可(原則出社) | 週4〜5日 | 体調不良や急用時のみ在宅 | 実質不可 |
いちばん注意したいのは「段階移行型」
口頭で「慣れたらリモートで大丈夫です」と言われても、体制の変更や担当者の交代で約束が引き継がれないことがあります。移行の条件・時期・判断する人を、契約書や条件通知に書いてもらうのが安全です。
案件票の表記と、確認すべきこと
| 案件票の表記 | 実際に多いパターン | 確認すること |
|---|---|---|
| フルリモート/完全在宅 | 出社ゼロ。ただし初日の機材受け取りなどはありうる | 初回や年数回の出社の有無 |
| 一部リモート/週◯日在宅 | 週の出社日数が決まっている | 出社の曜日と頻度、交通費の扱い |
| リモート相談可/リモート可 | 段階移行型か原則出社のことが多い | 参画初月の出社頻度と移行の条件 |
| 在宅OK(常駐と併記) | 急用時のみ在宅を認める運用 | 在宅の頻度に上限があるか |
案件票の表記だけでは中身が分かりません。エージェントの担当者はクライアントに事前確認できるため、曖昧な表記の案件は担当者経由で実態を確かめるのが最も確実です。
データで見るリモート案件の実態【2026年9月最新】
フルリモート案件は全体の何割?
2026年9月7日時点で、フルリモートは掲載案件の23.0%、一部リモートは52.9%、常駐は24.1%です。フルリモートの比率は7月が21.9%、8月が23.3%、9月が23.0%と、ここ数か月は2割強で横ばいです。
| 働き方 | 比率(前月比) | 探し方への影響 |
|---|---|---|
| フルリモート | 23.0%(−0.3ポイント) | 完全在宅に絞ると候補は約4分の1 |
| 一部リモート | 52.9%(+0.4ポイント) | 出社頻度の許容範囲しだいで候補に入る |
| 常駐 | 24.1%(−0.1ポイント) | リモート希望なら対象外 |
つまり、「月1〜2回の出社なら可」と許容範囲を広げるだけで、対象は約23%から約76%へ3倍以上に増えます。完全在宅が絶対条件でないなら、出社頻度を「条件」ではなく「交渉事項」として扱うのが得策です。
職種や言語でフルリモートの取りやすさは違う?
違います。差は3倍以上あります。設計・実装が中心の領域は在宅で完結しやすく、関係者の調整が中心の職種は出社を求められやすい傾向です。
| 職種・言語 | フルリモート比率(時点) | 取りやすさ |
|---|---|---|
| TypeScript案件 | 36.1%(2026年8月) | 取りやすい |
| PHP案件 | 26.6%(2026年8月) | やや取りやすい |
| JavaScript案件 | 23.8%(2026年8月) | 平均並み |
| 全案件の平均 | 23.0%(2026年9月) | 基準 |
| PMO案件 | 10.5%(2026年6月) | 一部リモート(77.7%)が中心 |
傾向としては、Web系の開発やクラウドのインフラは在宅で完結しやすく、実機が現場にしかない組込み開発や、セキュリティ上の理由でデータを持ち出せない金融・官公庁系のシステムは出社が前提になりやすい、という違いがあります。
リモートだと単価は下がる?
下がりません。2026年9月のフリーランス案件の月額平均単価は75.4万円です。一方、フルリモート案件が71.3%を占めるクラウドワークス テックの掲載案件では、同月の平均が82.7万円でした。リモート中心だから安い、という関係は見られません。
リモート比率が90%でも、総案件数が少なければ、あなたの職種のフルリモート案件は限られます。逆に比率が低くても、総案件数が桁違いに多ければ、絶対数では上回ることがあります。面談では「私の条件で、いまフルリモートの案件は何件ありますか」と聞くのが最も確実です。
リモート案件に強いエージェントの見分け方と選び方
「リモート案件が多い」とうたうエージェントは多いですが、数字の定義は会社ごとにばらばらです。次の5つの基準で比べてください。
- その数字は「案件の比率」か「参画者の比率」か参画者の比率は、リモートを希望する人が多いほど高く出ます。案件の比率とは意味が違います
- 「リモート可」に一部出社が含まれていないかフルリモートと一部リモートの内訳が公開されている会社ほど、実態を読みやすくなります
- リモート案件の絶対数は十分か比率だけでなく、総案件数をかけ合わせた件数で判断します
- 直請け・エンド直の案件が多いか商流が浅いほど、働き方の条件がクライアントに正確に伝わります
- マージンと支払いサイトが確認できるか在宅では交通費がかからないぶん、手数料と入金のタイミングが手取りを左右します
主なエージェントの公表値と読み方
| エージェント | リモートに関する公表値 | 読み方・その他の特徴 |
|---|---|---|
| クラウドワークス テック | リモート案件90%(公式)。掲載案件の内訳はフルリモート71.3%・一部リモート27.5%・常駐1.3%(2026年9月) | 内訳が読める数少ない会社。案件継続率90%、支払いサイト15日 |
| ギークスジョブ | リモート可の案件88%以上(前年度実績) | 一部出社を含む数字。取引社数3,810社、公開案件7,000件以上 |
| レバテックフリーランス | リモート参画率91%以上(公式の表記) | 案件ではなく参画者の割合。公開案件11万件以上で絶対数が強み |
| Midworks | リモート比率の内訳は非公開 | 非公開案件80%、エンド直・SIer直が約70%、報酬保障制度あり(条件あり) |
| PE-BANK | リモート比率の内訳は非公開 | マージン8〜12%を公開、全国12拠点。常駐案件も多め |
| coconalaテック | リモート比率の内訳は非公開 | 直請け案件中心。15日払い・先払い・即日払いを選べる(手数料・審査あり) |
状況別の組み合わせ例
完全在宅が必須出社ゼロの案件だけに絞りたい人
高単価フルリモートで単価も上げたい人
独立直後収入の空白期間が不安な人
手取り重視中間コストを抑えたい人
あわせて読みたい(エージェント個別の解説)
あわせて読みたい(稼働日数・働き方で選ぶ)
あわせて読みたい(期間・単価で選ぶ)
エージェント経由でリモート案件を探す4つのメリット
- 非公開のリモート案件に届くエージェントが扱う案件には非公開のものが多く、たとえばMidworksは非公開案件が80%と公表しています
- 「本当に出社ゼロか」を事前に確認してもらえる表記が曖昧な案件でも、担当者がクライアントに実態を確かめてくれます
- リモート特有の運用ルールを先に知れる連絡手段、定例会議の頻度と時間帯、即応が必要な時間帯を参画前に把握できます
- 言い出しにくい条件を交渉してもらえるリモートの可否や出社頻度の契約書への明記、精算幅なども担当者が調整します
面談での伝え方と、必ず確認したい6つの質問
リモート案件の紹介の精度は、最初の面談でほぼ決まります。ポイントは「出社できる頻度」「稼働できる時間帯」「リモートでの実績」を数字と具体例で伝えることです。
面談で希望条件を伝えるときの言い方(例文)
働き方は、出社ゼロの完全在宅を第一希望にしています。ただ、キックオフなど月1回程度の出社であれば対応できますので、その範囲の案件もご紹介ください。稼働は平日9時から18時で、この時間帯はチャットに30分以内で返信できます。
直近の1年間は、フルリモートでWebサービスのバックエンド開発を担当し、週次の進捗報告と課題管理も行っていました。
「フルリモート希望」とだけ伝えると、段階移行型や一部リモートの案件も混ざって紹介されます。第一希望と許容範囲を分けて伝えると、担当者が候補を絞り込みやすくなります。
案件の紹介を受けたら確認したい6つの質問
- 実際の出社頻度はどのくらいか参画初期だけ出社が多い、といった運用があるかも確認します
- 出社する場合の交通費は単価込みか、別途精算か遠方ほど実質の手取りに直結します
- リモートの条件が途中で変わる可能性はあるか変わる場合の合意の手順も聞いておきます
- 即応が必要な時間帯と、主な連絡手段は何か常時オンラインを求められると、在宅でも拘束感が強くなります
- パソコンなどの機材は貸与か、自己負担かセキュリティ上、貸与端末の利用が必須の案件もあります
- 稼働時間の精算幅と、超えた場合の扱いはどうなっているか在宅は働きすぎやすいため、契約前に確認します
あわせて読みたい(伝え方と登録)
契約前に書面で固めておくべきこと
リモート案件のトラブルの多くは、口頭の約束が書面に残っていないことから起きます。次の5つは、契約書か条件通知に書いてもらいましょう。
- リモートの可否と出社頻度「基本リモート」ではなく「出社は月1回まで」のように具体的に
- 段階移行型なら、移行の条件と時期いつ、誰の判断で、どの頻度に下げるのか
- 出社時の交通費・宿泊費の扱い単価込みか、実費精算か
- 稼働時間の精算幅超過・不足したときの計算方法
- 条件を変更するときの手順途中で出社を求められた場合に、どう合意するか
フリーランス新法で発注者に求められること
2024年11月に施行されたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)により、発注者には次の義務があります。エージェント経由なら契約書の整備は基本的に任せられますが、内容は自分でも必ず確認してください。
| 施行日 | 2024年11月1日 |
|---|---|
| 条件の明示 | 業務内容・報酬額・支払期日などを書面やメールで明示 |
| 支払期日 | 成果物を受け取った日から60日以内 |
| 契約終了の予告 | 6か月以上の契約を中途解除する場合、原則30日前まで |
契約内容の解釈や、トラブル時の対応は個別の状況によって変わります。判断に迷う場合は、契約書を確認のうえ、弁護士などの専門家や、国が設けている無料の相談窓口「フリーランス・トラブル110番」に相談してください。
リモート案件でよくあるトラブルと、更新につなげる働き方
リモートでは、仕事の過程が相手から見えません。成果と報告だけが評価の材料になるため、対面以上に「見える化」の工夫が契約更新を左右します。
| トラブル | 起きる背景 | 対策 |
|---|---|---|
| 働きすぎてしまう | 通勤という区切りがなく、境界が曖昧になる | 始業・終業の時刻を決め、稼働時間を毎日記録する |
| 超過稼働を請求し損ねる | 記録がなく、根拠を示せない | 精算幅と超過時の扱いを契約前に確認し、日次で記録する |
| 貢献が伝わらない | 仕事の過程が見えない | 週次で進捗と成果を自分から共有する |
| 認識のずれが起きる | 対面より情報量が少ない | 決定事項をテキストで残し、確認を挟む |
| 一人で抱え込む | 気軽に相談できる相手がいない | 詰まったら30分で相談する、と自分でルールを決める |
| 途中から出社を求められる | リモートの可否が書面にない | 条件を書面化し、変更時の合意手順も決めておく |
週次報告の型(例文)
今週の進捗です。
やったこと:ログイン画面の改修を完了し、レビューに出しました。
次にやること:来週は決済画面の設計に着手します。
詰まっていること:外部APIの仕様で1点確認したい箇所があります。水曜までにご回答いただけると助かります。
「やったこと・次にやること・詰まっていること」の3点を毎週送るだけで、印象はまったく違います。聞かれる前に出すことが、リモートで信頼を得るいちばんの近道です。
あわせて読みたい(契約とリモートの働き方)
地方在住・移住予定の人が押さえるポイント
地方に住んでいる人にとって、フルリモートは「選択肢の1つ」ではなく、都市部水準の単価を受け取るための前提条件になります。
- 登録時に「完全在宅のみ」か「月◯回まで出社可」かを明示する通えない距離の案件が紹介され続けるのを防げます
- 出社が発生する条件と交通費を必ず確認する月数回でも、遠方からだと移動の時間と費用の負担は大きくなります
- 通信環境を整えておくオンライン会議が途切れると信頼に響くため、有線接続なども検討します
- 移住は「案件の確保が先」いまの案件がリモートで続けられるか、居住地の変更が契約に影響しないかを事前に確認します
地方案件の4つのタイプ、生活費の実額差、エリア別の狙い方は、地方案件の記事で詳しく扱っています。
あわせて読みたい(地方在住・在宅)
よくある質問(FAQ)
● 「リモート可」は4類型。見極めて、希望は「出社ゼロのみ」「月◯回まで可」と数字で伝える
● フルリモートは約23%。職種差は3倍以上あり、リモートだから単価が下がるわけではない
● 内訳が読める会社と母数の大きい会社を組み合わせ、出社頻度などの条件は書面に残す

