
- 正社員のままでも、エージェントへの登録・面談・相場の確認は自由にできます。実際に案件を受けて稼働する前にだけ、勤務先の就業規則の確認が必要です
- 並行しやすいのは「週1〜2日相当・フルリモート・夜間や土日に作業できる」案件です。週1日からの案件を扱うエージェントや、副業案件を横断検索できるサイトから探します
- 業務委託の副業は、本業との労働時間の通算の対象外です。ただし競業・秘密保持・健康管理のルールは守る必要があります
- 給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要な場合がありますが、住民税の申告は別に必要です
- 独立を決めたら、退職の2〜3か月前から本格的に案件探しを始めると、収入の空白を作らずに移行できます
正社員を続けながらフリーランスエージェントを使うことは可能で、登録と情報収集は今日から、案件の稼働は就業規則を確認してからが基本です。「いきなり独立するのは怖いが、フリーランスの案件には興味がある」という人にとって、収入の柱を残したまま実績と相場感を得られる並行稼働は、独立の判断材料にもなります。ただし、就業規則や税金の扱いを知らずに始めると、思わぬトラブルにつながります。この記事では、並行して働くパターン、始める前の確認事項、副業向きの案件とエージェントの探し方、収入の目安、税金の基本、両立を続けるコツ、独立への移行スケジュールまでを、フリーランス歴10年以上の運営者の視点で1ページにまとめました。
【結論】正社員と並行してエージェントは使える?
結論:正社員として在職中でも、エージェントへの登録や案件相談は可能です。多くのサービスが在職中の相談を受け付けており、独立予定がなくても情報収集の目的で利用できます。登録や相談は無料で、相談したからといって案件を受ける義務もありません。
ただし、実際に案件を受けて稼働することは、登録とはまったく別の話です。ここには勤務先の就業規則が関わってきます。登録・面談・相場の確認までは自由に進められますが、稼働開始の前には必ず確認が必要です。
並行して働く人は珍しくありません。Relanceが2024年3月にフリーランスエンジニア1,006人に行った調査では、約36%が「副業フリーランス」と回答していました。
出典:Relance「【2024年版】フリーランスエンジニア白書」(2024年3月27〜29日調査・20〜50代のフリーランスエンジニア1,006人)。
並行して働く最大の利点は、収入の柱を残したまま外の市場を試せることです。自分のスキルがいくらで評価されるのか、どんな案件があるのかが分かれば、独立するかどうかの判断も感覚ではなく事実に基づいて行えます。
👉 副業向きの案件を扱っているかはエージェントによって差があります。各社の特徴はフリーランスエージェントおすすめ比較で確認できます。
在職中でも相談できるエージェントを比較する 稼働日数・リモート比率・得意分野を一覧で確認できます。登録と相場の確認だけでもOKです ›正社員と並行して使う3つのパターン
結論:一口に「並行」といっても、情報収集・副業としての稼働・独立準備の3つで、やることも注意点も変わります。自分がどの段階にいるかを先に決めましょう。
| パターン | やること | 向いている人 | 就業規則の確認 |
|---|---|---|---|
| 情報収集のみ | 登録して案件情報と相場を把握する | 独立を迷っている段階の人 | 稼働しないなら原則不要 |
| 副業として稼働 | 週1〜2日相当や、稼働時間の少ない案件を受ける | 実績と収入を得たい人 | 必須(許可・届出の手続き) |
| 独立準備として活用 | 退職時期を見据え、初案件の確保に向けて動く | 独立を決めた人 | 退職日までは在職中のルールに従う |
迷っている段階なら、まずは情報収集だけでも十分な価値があります。相場を知るだけでも、いまの待遇を客観視できます。担当者との関係を作っておけば、独立を決めたときの動き出しも早くなります。
【最重要】始める前に確認すること
結論:実際に案件を受けて稼働する場合は、就業規則の副業規定・競業避止と秘密保持・稼働時間と健康の3点を確認します。事前確認を飛ばすと、本業に影響する大きなリスクになります。
1. 就業規則の副業規定は?
まず確認すべきは、勤務先の就業規則です。副業が禁止されているのか、許可制なのか、届出制なのかで対応が変わります。禁止や許可制の定めがあるのに無断で行った場合、懲戒処分の対象となる可能性があります。
国の方針としては、厚生労働省が2018年1月にモデル就業規則を改定し、「勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という規定例を示しています。「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2022年7月改定)でも、本業への支障や情報漏洩、競業などの場合を除き、副業を認める方向が示されています。とはいえ、実際のルールは勤務先ごとに異なります。以前確認したときと規定が変わっていることもあるため、最新の就業規則を読み直し、許可制であれば正規の手続きで申請しましょう。
出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2018年1月策定・2022年7月改定)。
2. 競業避止と情報管理は?
勤務先と競合する事業の案件を受けることは、規定で制限されている場合があります。また、本業で知り得た情報を副業先で使うことは、秘密保持の観点から重大な問題になります。本業の取引先から直接仕事を受ける形も、利益相反とみなされやすいため避けましょう。案件を選ぶ段階から、この点は意識しておきます。
3. 稼働時間と本業への影響は?
業務委託(個人事業主)として受ける副業は、雇用契約ではないため、本業との労働時間の通算の対象外です。つまり、副業の作業時間が本業の残業時間に加算されることはありません。一方で、本業の会社には従業員の健康に配慮する責任があるため、副業の内容や時間の申告を求められることがあります。睡眠時間を削って稼働すれば、本業の成果にも影響します。無理のない稼働量から始めるのが鉄則です。
会社に副業を申請するときは何を伝える?
結論:許可制・届出制の会社では、「何を・どこで・どれくらいの時間」行うかを具体的に伝えると承認されやすくなります。次の項目を整理しておきましょう。
- 業務の内容:職種と作業の範囲(例:Webアプリの機能開発、データ分析の補助)
- 契約形態:業務委託(個人事業主として受託)であること
- 稼働時間:週あたり・月あたりの目安と、作業する曜日・時間帯(本業の勤務時間外であること)
- 競合しないこと:取引先が本業と競合しないこと、本業の情報を使わないこと
- 場所と機材:自宅でリモートで作業し、本業の機材やアカウントを使わないこと
副業の可否や懲戒処分にあたるかどうかは、勤務先の規定と個別の事情によって判断されます。本記事は一般的な情報提供であり、法的な助言ではありません。迷う場合は勤務先の人事部門に確認し、必要に応じて労働問題に詳しい専門家に相談してください。
並行しやすい案件の特徴と探し方
結論:正社員と並行するなら、稼働が少なく、場所と時間の融通が利く案件を選びます。週5日常駐の案件は当然ながら両立できません。多くの案件は平日日中の稼働を前提としているため、「週3日」ではなく「月◯時間・夜間や土日中心」という条件で探すのが現実的です。
- 稼働日数が少ない(週1〜2日相当、または月20〜40時間程度)
- フルリモートで、場所の制約がない
- 稼働時間の融通が利く(夜間や週末に作業できる)
- 成果物ベースで、常時対応を求められない
- 短期・スポットで区切りがつけやすい
副業向きの案件はどのエージェントで探せる?
結論:週1日からの案件を扱うエージェントと、副業案件を横断検索できるサイトの組み合わせが効率的です。例えばクラウドワークス テックは、リモート案件90%以上で週1日からの案件もあると公表しており、副業から始めたい人も対象にしています。フリーランスボードでは、60万件以上の掲載案件を「副業」「フルリモート」などの条件で絞り込めるため、どの会社に副業向きの案件が多いかを登録前に確かめられます。
| 探し方 | 向いている段階 | 注意点 |
|---|---|---|
| 週1日〜の案件を扱うエージェント | 実務経験があり、継続的な副業にしたい人 | 平日日中の稼働を求められる案件もあるため、時間帯を最初に伝える |
| 案件の横断検索サイト | まず件数と相場を知りたい人 | 契約や条件交渉は掲載元のエージェントと行う |
| 週5日中心の大手エージェント | 独立を決め、退職後の初案件を探す人 | 在職中の副業案件は少ないため、独立時期を伝えて相談する |
| クラウドソーシング・知人の紹介 | 単発で実績を作りたい人 | 契約書や支払い条件の確認を自分で行う |
※各社の公式サイト・公開資料と案件検索サイトの情報を2026年9月に編集部が確認しました。副業案件の保有数は時期によって変わるため、面談で確認してください。
エージェントに登録する際は、「正社員として就業中で、副業として週◯時間程度稼働したい」と最初に明確に伝えることが大切です。条件を先に共有しておけば、担当者は両立可能な案件だけを提案してくれます。曖昧なままだと、フルタイム前提の案件を紹介されて時間を無駄にします。
「現在は正社員として勤務しており、会社の許可を得たうえで副業として参画したいと考えています。稼働は平日夜(20時以降)と土日で、月30時間程度が上限です。フルリモートで、平日日中の即時対応が不要な案件を希望します。本業と競合しない業界であることが条件です。」
リモートで副業案件を探すときの注意点は?
結論:案件票の「リモート可」が、出社ゼロを意味するとは限りません。フリーランスボードの集計では、2026年9月7日時点の掲載案件のうちフルリモートは23%、一部リモートは52.9%でした。本業がある人は出社できる日がほとんどないため、「出社ゼロ・夜間や土日の作業が可能」と数字で伝えましょう。リモートの種類の違いや探し方はリモート案件の探し方|種類の違いと比率比較で詳しく解説しています。
出典:フリーランスボード「【2026年9月】フリーランス案件の単価における市場動向」(2026年9月7日時点の掲載案件608,400件を集計)。
稼働日数の少ない案件を扱うエージェントを比較してみる 週1日〜の案件やリモート比率の高いエージェントを一覧で確認できます ›副業でどれくらい稼げる?収入の目安
結論:副業の収入は「時間単価×月の稼働時間」で考えるのが分かりやすいです。ファインディの調査(2026年1月)では、Findy Freelanceに登録するフリーランスエンジニアの平均時間単価は5,319円でした。この単価で計算すると、月20時間で約10.6万円、月40時間で約21.3万円が目安です。
| 月の稼働時間 | 働き方のイメージ | 時間単価4,000円 | 時間単価5,319円 |
|---|---|---|---|
| 月20時間 | 平日夜に週5時間程度 | 8.0万円 | 約10.6万円 |
| 月30時間 | 平日夜+土日の半日 | 12.0万円 | 約16.0万円 |
| 月40時間 | 週1日相当(土日のどちらか) | 16.0万円 | 約21.3万円 |
出典:ファインディ株式会社調べ「【2026年最新調査】フリーランスエンジニアの平均月単価約80万円」(2026年1月調査・265人)の平均時間単価をもとにした編集部の試算です。専業のフリーランスを含む調査のため、副業案件では単価が異なることがあります。税金・経費を引く前の金額です。
副業の収入は、本業の給与と合算して税金が計算されます。年間の副業所得が増えるほど、確定申告や住民税の手続きが必要になる点を、次の章で確認しておきましょう。
税金の基本と「20万円」の誤解
結論:所得税は「給与以外の所得が年20万円を超えるか」、住民税は金額にかかわらず申告が必要、というのが基本です。ここで多くの人が誤解しています。
「20万円以下なら何もしなくていい」は本当?
結論:誤りです。国税庁のタックスアンサー(No.1900)では、給与を1か所から受けていて年末調整を受けている会社員の場合、給与以外の所得が年20万円を超えると所得税の確定申告が必要とされています。しかしこれは所得税に限った話で、20万円以下であっても、住民税の申告は別途必要です。また、医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も含めて申告します。
売上ではなく「所得」で判断する
判断の基準になるのは、売上そのものではなく売上から必要経費を差し引いた所得です。案件のために購入した機材や書籍、通信費の一部などは経費になりうるため、領収書は保管しておきましょう。
副業の所得は「事業所得」と「雑所得」のどちら?
結論:社会通念上、事業と呼べる規模で行っているかで判断され、帳簿を付けているかが重要な目安になります。国税庁は2022年10月に通達を改正し、取引を記録した帳簿書類を保存していない場合は、原則として「業務に係る雑所得」として扱うとしました(収入が300万円を超え、事業所得と認められる事実がある場合を除く)。帳簿があっても、収入がごく少額な場合などは雑所得とされることがあります。事業所得であれば、青色申告の特別控除などを受けられる可能性があります。
| 確認すること | 内容 | やること |
|---|---|---|
| 所得税の確定申告 | 給与以外の所得が年20万円超なら必要(給与1か所・年末調整済みの場合) | 翌年の確定申告期間に申告する |
| 住民税の申告 | 確定申告をしない場合も、副業の所得があれば必要 | お住まいの市区町村に申告する |
| 所得の区分 | 事業所得か雑所得か。帳簿の保存が判断の目安 | 会計ソフトなどで取引を記録し、帳簿を保存する |
| 開業届 | 事業として行う場合に提出する | 青色申告をするなら、承認申請書もあわせて検討する |
| 住民税の納め方 | 確定申告書で、給与以外の所得に係る住民税を自分で納める方法を選べる | 選択欄を確認する(自治体によって扱いが異なる場合がある) |
出典:国税庁タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」、国税庁「所得税基本通達の制定について」の一部改正(2022年10月)ほか。
本記事は税務・労務に関する一般的な情報であり、税務・法的な助言ではありません。申告の要否や所得の区分、経費の範囲、住民税の納め方は、個別の状況や自治体によって変わります。税務の手続きについては税務署や税理士に、労務上の不安については専門家に相談してください。無申告や虚偽の申告にはペナルティが科される場合があります。
無理なく両立を続けるコツ
結論:並行稼働で最も多い失敗は、引き受けすぎて疲弊することです。稼働量・連絡の時間帯・休みを先に決めてから案件を受けると、長く続けられます。
- 最初は最小限の稼働量から始め、余裕を見て増やす
- 本業に支障が出る条件(平日日中の急な対応要求など)の案件は避ける
- 稼働できる時間帯をあらかじめ相手に伝えておく
- 連絡の返信可能な時間帯も、最初に共有しておく
- 休む時間を先に確保し、そこは埋めない
とくに3番目と4番目は重要です。「平日夜と土日に対応します」と先に伝えておけば、日中の即時返信を期待されることはありません。認識のずれを防ぐことが、無理のない両立につながります。
1週間のスケジュールはどう組む?
| 時間帯 | 月〜金 | 土曜 | 日曜 |
|---|---|---|---|
| 日中 | 本業 | 副業(4時間程度) | 休み |
| 夜 | 副業は週2〜3日・1〜2時間まで/連絡の確認は1日1回 | 休み | 翌週の準備(30分程度) |
| 月の合計 | 副業はおよそ月25〜35時間。本業の繁忙期は事前に相手へ伝え、稼働を減らす | ||
※編集部が考える一例です。本業の勤務時間や家庭の状況に合わせて調整してください。
並行から独立へ移行するには
結論:並行稼働は、独立への助走として機能します。移行の判断材料になるのは、副業で得た実績、把握した相場、担当者との関係の3つです。とくに、すでにエージェントの担当者と関係ができていれば、独立を決めたときに次の案件を相談しやすくなります。
独立を決めたら、退職の2〜3か月前から本格的に案件探しを始めるのが理想です。並行段階で登録と関係づくりを済ませておけば、この動き出しがスムーズになります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 退職の6か月以上前 | エージェントに登録し、相場と自分のスキルの評価を確認する。生活費の数か月分を貯める |
| 退職の3〜6か月前 | 副業で実績を作る。独立後の月額の目標と、稼働日数(週5日か週3〜4日か)を決める |
| 退職の2〜3か月前 | 退職日を決め、参画開始日を伝えて本格的に案件を探す。複数社で提示条件を比べる |
| 退職の1か月前 | 初案件の契約内容を確認する。退職手続き、健康保険・年金の切り替え方法を調べる |
| 独立後 | 開業届などの手続きを行い、帳簿付けを始める。初回入金までの資金繰りを確認する |
※一般的な目安です。退職の申し出時期は勤務先の規定に従ってください。
独立後の最初の1〜2年は、週5日の案件で収入と実績の土台を作ると失敗しにくくなります。副業で経験した働き方が週3〜4日向きだと分かっていれば、その条件も最初から担当者に伝えておきましょう。
正社員と並行したエージェント利用のよくある質問
結論:在職中にエージェントを使う人から特に多い10の疑問に、判断の基準が分かる形で回答します。
まとめ:登録は今日から、稼働は就業規則を確認してから
結論:正社員と並行したエージェント利用は、収入の柱を残したまま市場を試せる現実的な方法です。登録と情報収集はすぐに始め、稼働は就業規則と税金のルールを確認してから進めましょう。
• 正社員のままでもエージェントへの登録・相談は可能。情報収集だけでも相場を知る価値がある。フリーランスエンジニアの約36%は副業(Relance・2024年3月調査)
• 実際に稼働する場合は、就業規則の副業規定(禁止・許可制・届出制)、競業避止と秘密保持、稼働時間と健康を必ず確認する
• 業務委託の副業は本業との労働時間の通算の対象外。ただし会社の機材や情報は使わない
• 案件は週1〜2日相当・月20〜40時間・フルリモート・夜間や土日に作業できるものを選び、登録時に「正社員として就業中」と稼働可能量を伝える
• 収入の目安は「時間単価×稼働時間」。平均時間単価5,319円なら月30時間で約16万円
• 給与以外の所得が年20万円超なら所得税の確定申告が必要。20万円以下でも住民税の申告は必要。帳簿を付けておくと事業所得の判断材料になる
• 独立を決めたら、退職の2〜3か月前から本格的に案件探しを始める
稼働日数の少ない案件やリモート案件の取り扱いは、エージェントによって差があります。並行して働きたい条件に合う会社を選ぶことが、両立の第一歩です。

