
スマホ代やネット回線料などの通信費は、フリーランスにとって毎月必ず発生する身近な経費です。ただ、「全額を経費にしていい?」「按分の割合は何%が正解?」と迷う方も多いはずです。結論から言うと、仕事専用なら全額、私用と兼用なら「仕事で使った割合」だけを経費にでき、割合は説明できる根拠で決めることが大切です。経費にできるものの一覧、按分割合の決め方と計算例、端末代の扱い、仕訳、税務調査に備える記録までまとめました。
【結論】仕事専用なら全額、兼用なら「仕事の割合」だけ経費にできる
通信費を経費にするときのルールは、次の3つです。
- 仕事専用の回線・端末なら全額を経費にできる仕事用のスマホやネット回線を別に契約すると、按分の手間も説明もいりません
- 私用と兼用なら「家事按分」で仕事の分だけ経費にする「通信費×仕事で使った割合」で計算します
- 割合は、説明できる根拠で決めて記録する「何%なら安全」という決まりはありません。使用時間や日数など、合理的な基準で決めます
所得税法では、仕事と私用が混ざった支出(家事関連費)は、仕事に必要な部分を明確に区分できる場合に限って経費にできるとされています。青色申告をしている人は、仕事に直接必要だったことが明らかな部分であれば経費にできます。
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通信費として経費にできるもの・できないもの
「通信費」は、仕事に必要な連絡や情報のやり取りにかかった費用を処理する勘定科目です。
| 支出 | 勘定科目の例 | ポイント |
|---|---|---|
| スマホ・携帯電話の月額料金 | 通信費 | 兼用なら按分 |
| 固定電話の料金 | 通信費 | 兼用なら按分 |
| 光回線・プロバイダ料金 | 通信費 | 自宅で兼用なら按分 |
| モバイルWi-Fiの料金 | 通信費 | 仕事専用なら全額 |
| 切手・はがき・郵送料 | 通信費 | 請求書や書類の発送など |
| サーバー・ドメインの利用料 | 通信費(支払手数料とする例もある) | 毎年同じ科目で処理する |
| スマホ本体の代金 | 消耗品費など | 10万円以上は原則として資産。分割払いでも本体の総額で判断 |
| 収入印紙 | 租税公課 | 切手と一緒に買っても科目は別 |
経費にできないものは?
- 家族のスマホ代家族割でまとめて請求されていても、家族の回線分は経費になりません
- 私用のアプリ課金や動画配信の料金通信料と一緒に請求されても、仕事と関係のないものは除きます
- 端末の補償サービスのうち私用分兼用の端末なら、補償料も按分します
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按分割合の決め方|4つの基準と計算例
按分割合に法律上の決まった数字はありません。大切なのは、自分の使い方に合った基準で割合を出し、その根拠を説明できることです。
| 基準 | 計算の考え方 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 使用時間 | 1日の利用時間のうち、仕事で使う時間の割合 | 自宅のネット回線を日中は仕事、夜は私用で使う |
| 使用日数 | 1か月のうち、仕事で使う日数の割合 | 稼働日が決まっている |
| 通話・通信の記録 | 通話明細やデータ量のうち、仕事の分の割合 | 取引先との通話が多い |
| 回線を分ける | 仕事用は全額、私用は0% | 2台持ちや2回線にできる |
計算例|自宅のネット回線とスマホを兼用している場合
| ネット回線(月5,500円) | 1日の利用14時間のうち、仕事が8時間 → 約57% → 月約3,100円を経費に |
|---|---|
| スマホ(月8,000円) | 週7日のうち、仕事で使う日が5日で、その日の半分が仕事 → 約36% → 月約2,900円を経費に |
| 年間の経費 | (約3,100円+約2,900円)×12か月=約7万円 |
「とりあえず50%」「全額」など、根拠のない割合は税務調査で否認されるおそれがあります。計算の根拠をメモに残し、働き方が大きく変わったら割合も見直すようにしましょう。
仕事用のスマホや回線を別に持てば、全額を経費にでき、按分の計算も説明もいりません。格安SIMなら月額の負担も小さく、取引先に私用の番号を教えずに済むのも利点です。
スマホ本体や工事費など、迷いやすい支出の扱い
- スマホ本体(10万円未満)買った年に消耗品費などで経費にできます。兼用なら按分します
- スマホ本体(10万円以上)原則として資産に計上し、減価償却します。青色申告なら、2026年4月1日以降に取得した40万円未満のものは一括で経費にできます(年300万円まで)
- 分割払いの端末月々の支払額ではなく、端末の総額で10万円の判定をします
- 回線の初期工事費・事務手数料支払った年に通信費などで処理するのが一般的です。兼用なら按分します
- 家族名義の回線を自分が使っている自分が支払い、仕事で使っていれば経費にできる余地はありますが、説明しやすいよう本人名義にしておくのが無難です
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通信費の仕訳の例と、記録のしかた
よくある仕訳の例
| 取引 | 借方(左) | 貸方(右) |
|---|---|---|
| 仕事専用スマホの料金3,000円が事業用口座から引き落とし | 通信費 3,000円 | 普通預金 3,000円 |
| 兼用のネット回線5,500円(仕事57%)を事業用口座から支払い | 通信費 3,135円/事業主貸 2,365円 | 普通預金 5,500円 |
| 兼用スマホ8,000円(仕事36%)を個人のカードで支払い | 通信費 2,880円 | 事業主借 2,880円 |
| 請求書を郵送する切手110円を現金で購入 | 通信費 110円 | 事業主借 110円 |
税務調査に備えて残しておくもの
- 毎月の利用明細・請求書通信会社のサイトからPDFで保存できます
- 按分割合の計算メモ「平日8時間を仕事で利用」など、基準と計算を一言で残します
- 仕事で使っていることが分かる資料取引先との通話履歴や、リモート会議の予定など
大手の通信会社の請求書は、インボイスの要件を満たしていることが一般的です。消費税の課税事業者で一定の条件を満たす人は、税込1万円未満の支払いなら帳簿の記載だけで仕入税額控除ができます(少額特例、2029年9月30日まで)。
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通信費を経費にするときの注意点
- 兼用なのに全額を経費にしない私用分まで含めると、ほかの経費まで疑われる原因になります
- 家族の回線を含めない家族割の請求書から、自分の回線分だけを取り出します
- 按分割合を毎年同じ根拠で決める年によって割合が大きく変わる場合は、働き方の変化を説明できるようにします
- 経費にしたスマホを私用で買い替えない仕事用として計上した端末は、仕事で使っていることが前提です
- 記録は原則7年間保存する青色申告の場合、帳簿や領収書は原則7年間の保存が必要です
按分の割合や資産に計上するかどうかは、働き方や契約内容によって判断が分かれます。本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。迷う場合は、税務署の窓口や税理士などの専門家に相談してください。
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よくある質問(FAQ)
● 仕事専用なら全額、兼用なら「通信費×仕事の割合」を経費に。いちばん確実なのは回線を分けること
● 割合は使用時間・日数・記録など説明できる基準で決め、計算の根拠を残す
● 端末は総額10万円で判定。青色なら40万円未満は一括で経費にでき、家族の回線は含めない

