
青色申告の最大の魅力が、所得から最大65万円を差し引ける「青色申告特別控除」です。ただし、要件をひとつでも満たさないと控除額は55万円や10万円に下がります。さらに2027年分からは制度が見直され、e-Taxで申告しないと控除は原則10万円まで下がる一方、条件を満たせば最大75万円に増えます。2026年分の65万円控除の受け方と、2027年分に向けた準備を1ページにまとめました。
【結論】65万円控除のカギは「複式簿記」と「e-Tax」。2027年分からはe-Taxが必須に
2026年分(2027年3月15日が申告期限)で65万円控除を受けるには、次の4つの要件をすべて満たす必要があります。
- 複式簿記で記帳している正規の簿記の原則に従って帳簿をつけます。会計ソフトを使えば自動で作れます
- 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付する青色申告決算書として提出します
- 期限内に申告する1日でも遅れると、控除は10万円に下がります
- e-Taxで申告する(または要件を満たす電子帳簿を保存する)多くのフリーランスにとって現実的なのは、会計ソフトからのe-Tax申告です
2027年分からは、書面で申告すると控除の上限が原則10万円になります。一方で、e-Taxに加えて優良な電子帳簿の保存などの条件を満たせば、控除は最大75万円に増えます。
つまり、今のうちに会計ソフトとe-Taxの環境を整えておけば、2026年分も2027年分以降も控除を取りこぼさずに済みます。
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青色申告特別控除とは?65万・55万・10万円の違い
青色申告特別控除とは、青色申告をしているフリーランスが、事業所得から一定額を差し引ける制度です。経費とは別に差し引けるため、そのぶん課税される所得が小さくなり、所得税だけでなく住民税や国民健康保険料も下がります。
2026年分までの3つの区分
| 控除額 | 必要な要件 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 65万円 | 複式簿記+決算書の添付+期限内申告+e-Tax申告(または要件を満たす電子帳簿の保存) | 会計ソフトからe-Taxで申告する人 |
| 55万円 | 複式簿記+決算書の添付+期限内申告(書面で提出) | 複式簿記だが紙で申告する人 |
| 10万円 | 簡易簿記、または期限後の申告 | 帳簿が簡易な人、申告が遅れた人 |
65万円控除でいくら節税できる?
10万円控除と比べると差は55万円。所得税と住民税だけでも、年8万〜17万円ほど税金が変わります。課税所得の税率ごとに、55万円の差がもたらす所得税(復興特別所得税を含む)と住民税(10%)の軽減額を試算しました。
| 所得税の税率 | 課税所得の目安 | 55万円の差による軽減額 |
|---|---|---|
| 5% | 195万円以下 | 約8.3万円 |
| 10% | 195万円超〜330万円以下 | 約11.1万円 |
| 20% | 330万円超〜695万円以下 | 約16.7万円 |
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2026年分で65万円控除を受けるまでの手順
青色申告承認申請書を出しておく
青色申告をしたい年の3月15日まで(1月16日以後に開業した場合は開業から2か月以内)に、税務署へ提出します。開業届とあわせて出すと確実です。
会計ソフトで複式簿記の帳簿をつける
銀行口座やクレジットカードを連携すると、簿記の知識がなくても複式簿記の帳簿が作れます。
青色申告決算書を作る
貸借対照表と損益計算書を、会計ソフトや国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成します。
期限内にe-Taxで提出する
申告書と青色申告決算書を、2027年3月15日までにe-Taxで送信します。
65万円控除に必要なものチェックリスト
- 青色申告承認申請書(提出済みであること)
- 複式簿記に対応した会計ソフト2027年分に向けて、優良な電子帳簿に対応しているかも確認します
- マイナンバーカード税務署でIDとパスワードを発行してもらう方式でもe-Taxは使えます
- カードを読み取れるスマホ、またはICカードリーダー
- 1年分の売上・経費の資料請求書・領収書・通帳など
- 各種控除の証明書国民年金・国民健康保険・iDeCo・生命保険料など
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2027年分から最大75万円に|新しい4段階の控除額
令和8年度税制改正により、2027年分(2028年3月に申告する分)から青色申告特別控除は4段階に見直されます。
| 控除額 | 必要な要件 | 2026年分までとの違い |
|---|---|---|
| 75万円 | 複式簿記+e-Tax申告+優良な電子帳簿の保存(またはデジタルデータで一貫して保存する方法) | 新設。最大額が10万円増える |
| 65万円 | 複式簿記+e-Tax申告 | e-Taxが必須に。電子帳簿の保存だけでは受けられない |
| 10万円 | 簡易簿記(前々年の事業の収入が1,000万円以下)など | 複式簿記でも書面で申告すると、上限は原則10万円 |
| 0円 | 簡易簿記で、前々年の事業の収入が1,000万円超 | 新設。控除が受けられなくなる |
いま書面で申告して55万円控除を受けている人は、2027年分から控除の上限が原則10万円になり、控除が45万円減ります。2026年分の申告から、e-Taxに切り替えておくのがおすすめです。
75万円控除に必要な「優良な電子帳簿」とは?
会計ソフトで帳簿をつけているだけでは足りず、次の3つの要件を満たす必要があります。
- 訂正・削除の履歴が残るデータを直したり消したりした記録が確認できること
- 帳簿同士のつながりが確認できる仕訳帳と総勘定元帳などで、同じ取引だと分かること
- 検索ができる取引の日付・金額・取引先などの条件で探せること
多くの会計ソフトは、設定画面で優良な電子帳簿の機能をオンにする形で対応しています。2027年分の帳簿をつけ始める前に設定しておかないと、75万円控除の対象にならないため、2026年中に確認しておきましょう。
2027年分に向けて、今年中にやること
今の申告方法によって、やるべきことが変わります。自分がどれに当てはまるかを確認してください。
書面で申告いま55万円控除を受けている人
e-Taxで申告いま65万円控除を受けている人
簡易簿記いま10万円控除を受けている人
控除額が減ってしまう5つの失敗例
- 書面で提出してしまった2026年分は55万円、2027年分からは原則10万円に下がります
- 申告が期限に1日でも遅れた期限後の申告では、控除は10万円になります
- 簡易簿記で記帳していた貸借対照表が作れず、控除は10万円(2027年分からは条件により0円)になります
- 青色申告承認申請書を出していなかった白色申告の扱いになり、青色申告特別控除は受けられません
- 貸借対照表を添付しなかった損益計算書だけでは、65万円・55万円控除の要件を満たしません
1年分をまとめて記帳しようとすると、2月から3月に作業が集中して期限に間に合わない原因になります。毎月1回、口座とカードの明細を会計ソフトに取り込むだけでも、期限内の申告がぐっと楽になります。
控除の要件や電子帳簿の保存方法は、所得の内容や使っているシステムによって判断が分かれることがあります。2027年分からの制度は、今後の政省令や国税庁の案内で細かな取り扱いが示される予定です。判断に迷う場合は、税務署や税理士などの専門家に相談してください。
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よくある質問(FAQ)
● 2026年分の65万円控除は「複式簿記・決算書添付・期限内・e-Tax」の4要件をすべて満たすこと
● 2027年分からは最大75万円に。書面で申告すると上限は原則10万円になるため、e-Taxへの移行が必須
● 今年中にe-Taxの環境を整え、会計ソフトの優良電子帳簿の設定を2027年の記帳開始前にオンにする

