
フリーランスとして独立すると決めたあと、次に迷うのが「いつ辞めるか」です。結論から言えば、お金の面で損をしにくいのは「賞与をもらったあとの月末」の退職で、辞めてよいかの判断は「副業の実績・生活費6か月分の貯蓄・最初の案件の目処」の3つがそろったときです。退職日を1日ずらすだけで社会保険料の負担が変わり、退職する月によっては住民税がまとめて引かれて最後の手取りが大きく減ることもあります。退職日と退職月の決め方、退職を伝えるタイミング、6か月前からの準備スケジュールまでまとめました。
【結論】お金は「賞与後の月末」、判断は「実績・貯蓄・案件」の3つで
退職のタイミングは、次の2つの層で考えます。
- お金の面|賞与をもらったあとの月末に辞める月末退職なら退職月の社会保険料を会社が半分負担し、賞与の支給日に在籍していれば賞与も受け取れます
- 準備の面|3つがそろったら辞める副業で継続した実績がある、生活費の6か月分以上の貯蓄がある、最初の案件の目処が立っている、の3つです
- 伝えるのは1〜3か月前就業規則の定めを確認し、有給休暇を消化するならその日数分も前倒しして伝えます
お金の面は制度で答えが決まるので迷う必要はありません。本当に大切なのは、準備の面で「辞めても大丈夫な状態」をつくってから辞めることです。
退職の時期が決まったら、独立前のお金と手続きの準備を進めましょう。準備リストで、やるべきことを漏れなく確認できます。
あわせて読みたい(独立前の準備)
退職日は月末が基本|社会保険料の仕組み
| 退職日 | 退職月の社会保険料 | 実質的な負担 |
|---|---|---|
| 月末(例:3月31日) | 3月分まで会社の健康保険・厚生年金で払う | 会社と折半(会社が半分負担) |
| 月末の前日(例:3月30日) | 会社の保険料は2月分まで。3月分は国保・国民年金 | 3月分を全額自己負担 |
| 月の途中(例:3月20日) | 会社の保険料は2月分まで。3月分は国保・国民年金 | 3月分を全額自己負担 |
月の途中で退職しても、会社の保険料と国民健康保険料を同じ月に二重で払うことはありません。違いは「退職月の分を会社と折半で払うか、自分で全額払うか」です。ただし月末退職では、最後の給与から2か月分の保険料が引かれて手取りが少なく見えることがあります。
住民税は後払い|退職する月で手取りが変わる
| 1〜5月に退職 | その年の5月分までの住民税が、原則として最後の給与や退職金からまとめて差し引かれる |
|---|---|
| 6〜12月に退職 | 残りの住民税は、まとめて差し引いてもらうか、自分で納める(普通徴収)かを選べる |
| 翌年6月 | 会社員時代の所得にもとづく住民税が、年4回に分けて届く |
住民税と国民健康保険料は前年の所得で決まるため、収入が安定しない独立1年目に、会社員時代の所得にもとづく請求が届きます。どの月に辞めても支払いそのものは避けられないため、退職前から資金を取り分けておきましょう。
あわせて読みたい(住民税と退職金)
辞めてよいかを判断する3つの条件
- 副業で継続した実績がある数か月にわたって仕事を受け、報酬を得られているかを目安にします。実績は独立後の営業材料にもなります
- 生活費の6か月分以上の貯蓄がある最初の入金まで最大2か月ほどかかり、1年目の住民税や国保の請求もあるためです
- 最初の案件の目処が立っているエージェントや前職のつながりで、独立後すぐに参画できる案件を確保しておきます
ほかに考えておきたいタイミングは?
- 賞与の支給日支給日に在籍していることが条件の会社が多いため、支給日を過ぎてから辞めます
- プロジェクトの区切り引き継ぎがしやすい時期に辞めると、円満に退職でき、独立後に元の会社から仕事をもらえることもあります
- 失業保険を受ける場合自己都合退職では、待期7日間のあと1か月の給付制限があります。再就職手当を受けるなら、開業の時期にも注意します
あわせて読みたい(判断の材料)
退職6か月前からの準備スケジュール
6か月前|副業で実績をつくり、貯蓄を始める
就業規則を確認したうえで小さな仕事を受け、生活防衛資金の目標額を決めて貯め始めます。
3〜4か月前|エージェントに登録し、案件の目処を立てる
在職中に面談を受け、単価の相場と参画できる時期を確かめます。
2〜3か月前|退職を伝え、会社員のうちの手続きを済ませる
上司に退職の意思を伝え、クレジットカードや賃貸の契約など会社員の信用が有利な手続きを行います。
1か月前|引き継ぎと有給休暇の消化
引き継ぎを終え、残っている有給休暇を消化します。退職時に受け取る書類を確認します。
退職後|保険・年金の切り替えと開業届
14日以内に国民健康保険と国民年金に切り替え、開業届と青色申告の申請を出します。
あわせて読みたい(退職前後の手続き)
よくある質問(FAQ)
本記事は2026年9月時点の制度にもとづく一般的な情報です。賞与の支給条件や退職の手続きは会社の就業規則によって、失業保険の条件は個別の状況によって異なります。会社の人事担当者やハローワークに確認してください。
● お金の面では賞与後の月末退職が有利。月末なら退職月の社会保険料を会社と折半できる
● 辞めてよいかは副業の実績・6か月分の貯蓄・最初の案件の目処の3つで判断する
● 退職は1〜3か月前に伝え、6か月前から準備。1年目の住民税と国保に備えて資金を取り分ける

