フリーランスの所得補償保険とは|必要性・就業不能保険との違い

フリーランスの所得補償保険とは|必要性・就業不能保険との違い

病気やケガで働けなくなった瞬間に、フリーランスの収入は止まります。国民健康保険には原則として傷病手当金がないため、その穴を埋める手段として検討したいのが所得補償保険です。結論から言えば、所得補償保険は「数か月から1〜2年の就業不能」に備える保険で、会社員の傷病手当金の代わりに近い役割を果たします。仕組み、就業不能保険との使い分け、補償額や免責期間の決め方、加入前に確認すべき条件まで1ページにまとめました。

目次

【結論】傷病手当金のないフリーランスが、短中期の収入減に備える保険

所得補償保険について押さえておくべきことは、次の3つです。

  1. 働けない間、毎月決まった保険金を受け取れる入院や医師の指示による自宅療養で仕事ができない状態が対象。保険金は非課税です
  2. 守備範囲は数か月から1〜2年保険金を受け取れる期間(てん補期間)は1年か2年が中心。それより長い就業不能は就業不能保険で備えます
  3. 保険金は所得に応じた上限がある直近の平均的な所得を超える額は設定できないことが多く、確定申告の所得が基準になります

生活費の半年分以上の貯蓄がない人や、家族の生活費を自分の収入で支えている人は、優先して検討する価値が高い保険です。

働けなくなってから障害基礎年金を受け取れるまでは、原則1年6か月かかります。所得補償保険は、この「公的な収入がほぼない期間」を埋めるのにちょうど合った設計です。

所得補償保険とは?仕組みと用語

所得補償保険は、病気やケガで所定の就業不能状態になったときに、毎月一定額の保険金を受け取れる損害保険です。加入前に、次の用語の意味を押さえておくと商品を比べやすくなります。

就業不能状態入院中、または医師の指示による自宅療養中で、仕事にまったく従事できない状態。定義は商品ごとに異なる
免責期間働けなくなってから保険金が出始めるまでの待機期間。7日などが一般的
てん補期間保険金を受け取れる最長の期間。1年または2年が中心
保険金額毎月受け取る額。直近の平均月間所得などをもとに上限が決まる
保険期間契約の期間。1年ごとの更新が多い
※ 一般的な設計の例です。具体的な条件は各商品の約款・重要事項説明書で確認してください

就業不能保険・収入保障保険との違い

項目所得補償保険就業不能保険収入保障保険
受け取る人本人本人遺族
受け取るとき病気やケガで働けないとき病気やケガで長く働けないとき亡くなったとき(高度障害を含むことも)
主な取扱い損害保険会社生命保険会社生命保険会社
受け取れる期間1〜2年が中心60歳・65歳までなど長期満期まで年金形式など
給付までの待機7日など短い60日・180日など長め―

名前が似ている収入保障保険は死亡保障で、本人が働けないときの備えにはなりません。短期は所得補償保険、長期は就業不能保険、家族への死亡保障は収入保障保険や定期保険と、役割で分けて考えましょう。

公的保障でどこまで守られる?

制度フリーランスの扱い所得補償保険との関係
傷病手当金国民健康保険には原則なし(国保組合には独自に設ける組合もある)ない分を所得補償保険で補う
高額療養費制度会社員と同じく医療費の自己負担に上限がある医療費より収入の穴が大きい
労災保険の特別加入2024年11月から、企業から業務委託を受けるフリーランスは業種を問わず加入できる仕事中・通勤中のケガや病気だけが対象。私生活の病気は対象外
障害基礎年金1級・2級のみ。原則として初診日から1年6か月後から(2級で年84万7,300円)それまでの1年半を所得補償保険で埋める
出典:厚生労働省、日本年金機構(2026年度、2026年9月確認)

補償額・免責期間の決め方と、加入前の確認ポイント

保険金額はいくらにする?

計算式月の生活費+事業の固定費-働けなくても入るお金
例生活費25万円+事務所家賃など5万円-配偶者の収入から家計に回せる額10万円=月20万円
上限の確認直近の確定申告の所得から計算した平均月間所得を超えられないことが多い
注意多めに設定しても、実際の所得を超える分は支払われないことがあり、保険料だけが高くなる

免責期間とてん補期間はどう選ぶ?

  • 免責期間は貯蓄でしのげる期間に合わせる生活費の数か月分の貯蓄があるなら、免責期間を長めにすると保険料を抑えられます
  • てん補期間は障害年金までの期間を意識する1年より2年のほうが、障害年金が始まるまでの1年半をカバーしやすくなります
  • それ以上の長期は就業不能保険で両方に入るなら、所得補償保険で短期、就業不能保険で長期と役割を分けます

加入前に確認することは?

  • 就業不能状態の定義「少しは仕事ができる」状態は対象外になることがあります。在宅療養の扱いも確認します
  • 精神疾患の扱いうつ病などは対象外か、特約をつけた場合だけ対象で、支払期間に上限がある商品が多いです
  • 妊娠・出産の扱い妊娠や出産による就業不能は、一般に対象外です
  • 加入前からの病気告知した病気や、加入前に発病した病気は補償されないことがあります
  • 更新時の保険料と年齢の上限1年ごとの更新で、年齢とともに保険料が上がる商品が多いです

どこで加入する?

損害保険会社の商品に個別に入る方法と、フリーランス向けの団体などを通じて団体保険に入る方法があります。団体保険は割安な保険料で入れることがある一方、団体の会員であることが条件で、補償の内容を細かく選べない場合もあります。同じ条件で見積もりをとって比べましょう。

保険料と保険金の税金

  • 保険料は経費にならない自分のための保険なので、事業の経費には入れられません
  • 保険料は介護医療保険料控除の対象所得税で最大4万円、住民税で最大2万8,000円を所得から差し引けます(ほかの対象の保険と合わせた上限)
  • 保険金は非課税病気やケガによる保険金は所得税がかかりません。確定申告で収入に含める必要もありません

所得補償保険が必要な人・優先度が低い人

あなたの状況必要性理由
貯蓄が生活費の数か月分より少ない高い短い休業でもすぐに生活費が足りなくなる
家族の生活費を自分の収入で支えている高い働けなくなると世帯の収入が止まる
事務所の家賃やローンなど毎月の固定費が大きい高い収入が止まっても支払いは続く
生活費の1〜2年分以上の貯蓄がある低い障害年金が始まるまでの期間を貯蓄でまかなえる
国保組合に傷病手当金がある内容次第組合の給付額と期間を確認し、足りない分だけを検討する

よくある質問(FAQ)

Q所得補償保険とは何ですか?
A病気やケガで所定の就業不能状態になったときに、毎月一定額の保険金を受け取れる損害保険です。受け取れる期間は1〜2年が中心で、会社員の傷病手当金の代わりに近い役割を果たします。
Qフリーランスに所得補償保険は必要ですか?
A国民健康保険には原則として傷病手当金がないため、貯蓄が少ない人や家族を支えている人には必要性が高いです。生活費の1〜2年分以上の貯蓄がある人は、優先度が下がります。
Q所得補償保険と就業不能保険の違いは何ですか?
A所得補償保険は主に損害保険会社の商品で、受け取れる期間が1〜2年と短い代わりに、待機期間が7日などと短めです。就業不能保険は主に生命保険会社の商品で、60歳や65歳までなど長期の就業不能に備えます。
Q収入保障保険とは違うのですか?
A違います。収入保障保険は被保険者が亡くなったときに遺族が受け取る死亡保障です。本人が生きていて働けないときに受け取る所得補償保険とは、目的がまったく異なります。
Q保険金はいくらまで設定できますか?
A直近の平均月間所得などをもとに上限が決まる商品が多いです。フリーランスは確定申告の所得が基準になるため、経費を差し引いた所得を確認してから設定しましょう。
Qうつ病などの精神疾患も対象になりますか?
A対象外の商品や、特約をつけた場合だけ対象で支払期間に上限がある商品が多いです。心配な人は、加入前に精神疾患の扱いを必ず確認してください。
Q所得補償保険の保険料は経費になりますか?
A自分のための保険なので経費にはなりません。一般に介護医療保険料控除の対象で、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8,000円を所得から差し引けます。
Q受け取った保険金に税金はかかりますか?
A病気やケガによる保険金は非課税です。所得税はかからず、確定申告で収入に含める必要もありません。
Q労災保険の特別加入があれば所得補償保険はいりませんか?
A労災保険は仕事中・通勤中のケガや病気だけが対象で、私生活での病気やケガは対象外です。病気で働けなくなるリスクに備えるなら、所得補償保険などが別に必要です。
Q免責期間は何日にすればいいですか?
A貯蓄でしのげる期間に合わせるのが基本です。生活費の数か月分の貯蓄があれば、免責期間を長めにして保険料を抑える選び方もあります。
加入前は約款と専門家の説明を確認

本記事は2026年9月時点の制度にもとづく一般的な情報で、特定の保険商品を勧めるものではありません。補償の内容・保険料・支払条件は商品によって大きく異なります。加入前に約款・重要事項説明書を確認し、必要に応じてファイナンシャルプランナーなどに相談してください。

この記事のまとめ

● 所得補償保険は働けない間の収入を1〜2年補う保険。傷病手当金のないフリーランスの短中期の備えになる

● 保険金は生活費と固定費から逆算し、平均所得が上限。免責期間は貯蓄でしのげる期間に合わせる

● 精神疾患・妊娠出産・既往症の扱いを確認。長期の備えは就業不能保険と役割を分ける

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