フリーランスに生命保険は必要?種類・選び方・節税を解説

フリーランスに生命保険は必要?種類・選び方・節税を解説

フリーランスになると、会社員時代より公的な保障が薄くなると聞き、「生命保険に入っておくべき?」と迷う人は多いはずです。結論から言えば、生命保険が必要かどうかは「自分が亡くなったときに生活に困る家族がいるか」で決まり、必要な保障額は公的な遺族年金と貯蓄を引いた不足分だけです。独身で扶養家族がいなければ、死亡保険より働けないときの備えを優先しましょう。フリーランスの遺族年金の現実、必要保障額の計算、保険の種類の選び方、生命保険料控除までまとめました。

目次

【結論】家族を養っている人は死亡保障を、全員が働けない備えを優先

フリーランスの生命保険は、次の3つで判断します。

  1. 死亡保険は「養っている家族がいる人」に必要配偶者や子どもの生活費を自分の収入で支えているなら、定期保険や収入保障保険で割安に備えます
  2. 保障額は不足分だけにする遺族基礎年金、貯蓄、配偶者の収入を差し引いた額が必要保障額です
  3. 独身でも「働けないときの備え」は必要フリーランスは傷病手当金がないため、死亡保険より就業不能保険や所得補償保険が優先です

医療費は高額療養費制度で自己負担に上限があります。医療保険は、貯蓄が少なく入院時の差額ベッド代などが不安な人が選ぶものと考えましょう。

フリーランスは厚生年金がないため、亡くなったときに家族が受け取る遺族年金も会社員より少なくなります。子どもがいない配偶者には遺族基礎年金が出ない点も、会社員との大きな違いです。

フリーランスが検討する保険の種類

保険備えるリスク特徴
定期保険一定期間内の死亡掛け捨てで保険料が割安。子どもが独立するまでなど期間を区切って備える
収入保障保険死亡後の家族の生活費毎月年金形式で受け取る。必要額が年々減る実態に合い、保険料を抑えやすい
終身保険一生涯の死亡貯蓄性があるが保険料は高め。葬儀費用や相続対策向き
医療保険入院・手術の出費高額療養費の対象外の費用(差額ベッド代・食事代など)に備える
就業不能保険・所得補償保険働けない間の収入傷病手当金のないフリーランスには優先度が高い

フリーランスの遺族年金と、必要保障額の計算

亡くなったら家族は何を受け取れる?

制度受け取れる人金額(2026年度)
遺族基礎年金子のある配偶者、または子(18歳になった年度末まで、障害のある子は20歳未満)年84万7,300円+子の加算(2人目まで1人年24万3,800円、3人目以降1人年8万1,300円)
寡婦年金国民年金を10年以上納めた夫を亡くした、60〜65歳の妻(婚姻10年以上など)夫が受け取るはずだった老齢基礎年金の4分の3
死亡一時金遺族基礎年金を受け取れない遺族(納付3年以上)納付期間に応じて12万〜32万円(付加年金3年以上で8,500円加算)
遺族厚生年金―フリーランスの期間分はない(会社員だった期間がある場合は条件による)
出典:日本年金機構(2026年度、2026年9月確認)。寡婦年金と死亡一時金はどちらか一方を選びます

必要な保障額はどう計算する?

計算式(家族の生活費+教育費+住居費など)-(遺族年金+貯蓄+配偶者の収入+ほかの保障)
例|前提本人35歳、配偶者と5歳の子1人。配偶者は年200万円の収入。貯蓄500万円
例|必要な支出子が22歳になるまでの17年間、家族の生活費の不足(年150万円×17年)2,550万円+教育費1,000万円=3,550万円
例|受け取れるお金遺族基礎年金(年約109万円×13年)約1,420万円+貯蓄500万円=約1,920万円
必要保障額約1,630万円→子の成長に合わせて減っていくため、収入保障保険や定期保険が向く
※ 考え方を示すための概算です。遺族基礎年金は子が18歳になった年度末まで(この例では約13年)の単純計算
子どものいない夫婦は遺族基礎年金がない

遺族基礎年金は子どもがいる場合だけ支給されます。子どものいない配偶者が受け取れるのは、条件を満たした場合の寡婦年金か死亡一時金です。配偶者の収入だけでは生活が難しい場合は、一定期間の死亡保障を検討しましょう。

状況別|どの保険を優先する?

あなたの状況優先する備え理由
独身・扶養家族なし就業不能保険・所得補償保険、貯蓄死亡時に生活に困る人がいない。働けないときの収入が最大のリスク
共働き・子どもなし働けないときの備え。死亡保障は少額か不要配偶者が自分の収入で生活できるなら死亡保障の必要性は低い
子どもがいる・自分の収入が家計の柱収入保障保険・定期保険+働けないときの備え遺族基礎年金だけでは生活費と教育費が足りない
住宅ローンを返している団体信用生命保険の内容を確認したうえで不足分団信で亡くなった場合の残債はなくなる。重複して入りすぎない
貯蓄が少なく入院時の出費が不安医療保険(入院日額は少なめ)高額療養費の対象外の費用を補う

保険を選ぶときの注意点

  • 貯蓄と保障を分けて考える貯蓄型の保険は保険料が高く、途中解約で元本を下回ることがあります。保障は掛け捨てで割安に確保し、貯蓄はiDeCoやNISAなどで分ける考え方もあります
  • 公的保障と重ねすぎない遺族年金・高額療養費・団体信用生命保険でカバーされる分まで保険で買わないようにします
  • 定期的に見直す結婚、出産、住宅購入、子どもの独立など、家族の状況が変わったら必要保障額を計算し直します
  • 告知は正確に行う健康状態の告知に誤りがあると、保険金が支払われないことがあります。健康なうちに検討しましょう

生命保険料控除と、保険以外の備え

保険料は経費になる?

個人事業主本人や家族のための生命保険料は、事業の経費になりません。代わりに、確定申告で生命保険料控除を受けられます。

一般生命保険料控除所得税で最大4万円(2026年分は23歳未満の扶養親族がいれば最大6万円)、住民税で最大2万8,000円
介護医療保険料控除所得税で最大4万円、住民税で最大2万8,000円(医療保険・就業不能保険など)
個人年金保険料控除所得税で最大4万円、住民税で最大2万8,000円
合計の上限所得税12万円、住民税7万円(2012年以降に結んだ契約の場合)
出典:国税庁、各生命保険会社の案内(2026年9月確認)

保険以外で使える制度は?

  • 小規模企業共済掛金が全額所得控除。亡くなった場合は遺族が共済金を受け取れ、退職金代わりにもなります
  • iDeCo掛金が全額所得控除の私的年金。加入者が亡くなると遺族に死亡一時金が支払われます
  • 付加年金月400円で年金を増やせ、3年以上納めると死亡一時金も増えます

よくある質問(FAQ)

Qフリーランスに生命保険は必要ですか?
A自分が亡くなったときに生活に困る家族がいるなら、死亡保険が必要です。独身で扶養家族がいなければ死亡保険の優先度は低く、傷病手当金がないことに備える就業不能保険や所得補償保険を優先しましょう。
Qフリーランスが亡くなったら遺族年金はいくらですか?
A子のある配偶者か子には遺族基礎年金が支給され、2026年度は年84万7,300円に子の加算がつきます。子が1人なら年約109万円です。厚生年金がないため遺族厚生年金はなく、子どもがいない配偶者には遺族基礎年金が出ません。
Q必要な死亡保障額はどう決めればいいですか?
A家族の生活費・教育費などの必要額から、遺族年金・貯蓄・配偶者の収入を差し引いた不足分が目安です。子どもの成長とともに必要額は減るため、収入保障保険や定期保険が向いています。
Q医療保険は入るべきですか?
A医療費の自己負担は高額療養費制度で上限があるため、貯蓄がある人は必須ではありません。差額ベッド代や食事代など制度の対象外の出費が不安な人や、貯蓄が少ない人が検討するとよいでしょう。
Q生命保険料は経費になりますか?
A個人事業主本人や家族のための生命保険料は経費になりません。確定申告で生命保険料控除を受けることで、所得税と住民税を減らせます。
Q生命保険料控除はいくらまで受けられますか?
A2012年以降の契約なら、一般・介護医療・個人年金の3区分で所得税は各4万円、合計12万円が上限です。2026年分は23歳未満の扶養親族がいれば一般生命保険料控除の上限が6万円になります(合計12万円は同じ)。住民税は合計7万円が上限です。
Q貯蓄型と掛け捨て型はどちらがいいですか?
A保障を割安に確保したいなら掛け捨て型です。貯蓄型は保険料が高く、途中解約で元本を下回ることがあります。フリーランスは所得控除の大きいiDeCoや小規模企業共済で貯蓄し、保障は掛け捨てで分ける方法もあります。
Q子どもがいない夫婦でも死亡保険は必要ですか?
A配偶者が自分の収入で生活できるなら必要性は低めです。ただし子どものいない配偶者には遺族基礎年金が出ないため、配偶者の収入が少ない場合は一定期間の死亡保障を検討しましょう。
Q住宅ローンがあると死亡保険は減らせますか?
A団体信用生命保険に入っていれば、亡くなった場合に住宅ローンの残債がなくなります。その分の住居費を必要保障額から差し引けるため、死亡保険を減らせることがあります。
Q保険はいつ見直せばいいですか?
A結婚、出産、住宅購入、子どもの独立、独立や法人化など、家族や働き方が変わったときです。必要保障額を計算し直し、過不足を調整しましょう。
加入前は約款と専門家の説明を確認

本記事は2026年9月時点の制度にもとづく一般的な情報で、特定の保険商品を勧めるものではありません。必要な保障は家族構成や資産によって大きく変わります。加入前に約款・重要事項説明書を確認し、必要に応じてファイナンシャルプランナーなどに相談してください。

この記事のまとめ

● 死亡保険は養う家族がいる人向け。独身なら働けないときの備えを優先する

● フリーランスの遺族年金は遺族基礎年金のみで、子どもがいないと出ない。不足分だけを保険で備える

● 保険料は経費にならず生命保険料控除の対象。貯蓄はiDeCoや小規模企業共済と分けて考える

目次