
年収(売上)1,000万円は、フリーランスにとって大きな目標ラインであり、消費税や法人化を考え始めるお金の転機でもあります。結論から言えば、売上1,000万円のフリーランスの手取りは、経費を売上の20〜30%とすると約500万〜560万円で、税金と社会保険料は年200万円以上になります。「手取り700〜800万円」という情報は、経費を差し引かない場合の数字です。手取りの計算、消費税の課税事業者になるタイミング、法人化の目安、手取りを守る方法までまとめました。
【結論】手取りは約500万〜560万円。税金と社会保険料は年200万円超
売上1,000万円のフリーランスのお金は、次の3点で押さえます。
- 手取りは経費を引いたあとで約500万〜560万円経費を売上の30%なら約503万円、20%なら約564万円(2026年分の税制・東京23区・39歳以下の概算)
- 2年後には消費税の課税事業者になる売上が1,000万円を超えた年の2年後から、消費税の申告と納税が必要になります
- 法人化を考え始める年収帯所得(利益)がさらに増えると、法人のほうが税金の負担を抑えられる可能性が出てきます
売上が増えても、税率が上がるため手取りは比例して増えません。この年収帯は、節税の制度と消費税の準備をしているかどうかで手取りが大きく変わります。
年収1,000万円に届くまでの道のりや、その先の伸ばし方は、年収を上げる方法の記事でロードマップとして解説しています。稼ぐ力と手取りを守る力の両方が、この年収帯では大切です。
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売上1,000万円の手取りと税金の内訳
| 項目 | 経費10% | 経費20% | 経費30% |
|---|---|---|---|
| 事業所得(青色65万円控除後) | 835万円 | 735万円 | 635万円 |
| 国民健康保険料・国民年金 | 約115万円 | 約104万円 | 約93万円 |
| 所得税(復興特別所得税を含む) | 約91万円 | 約72万円 | 約53万円 |
| 住民税 | 約68万円 | 約59万円 | 約50万円 |
| 税金・社会保険料の合計 | 約274万円 | 約236万円 | 約197万円 |
| 手取り(売上-経費-税・社会保険料) | 約626万円 | 約564万円 | 約503万円 |
| 個人事業税(対象の業種の場合) | 約31万円 | 約26万円 | 約21万円 |
よく見かける「年収1,000万円の手取りは700〜800万円」は、売上から税金と社会保険料だけを引いた数字です。実際に生活に使えるお金は、事業の経費を払ったあとの金額なので、経費の分だけ少なくなります。
会社員の年収1,000万円とどう違う?
- 社会保険料は全額自己負担会社員は会社と折半ですが、フリーランスは国民健康保険料と国民年金を自分ですべて払います
- 経費を差し引ける事業に必要な支出は経費になり、所得を下げられます
- 将来の年金は少ない厚生年金がないため、同じ年収でも老後の年金は大きく差がつきます
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消費税の課税事業者になるタイミングと納税額
| 課税事業者になる条件 | 基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超えた場合 |
|---|---|
| いつから | 売上が1,000万円を超えた年の2年後から |
| もう一つの判定 | 前年の1〜6月の売上と支払った給与がどちらも1,000万円を超えた場合も、翌年から課税事業者 |
| インボイス登録済みの人 | 売上に関係なく、すでに課税事業者 |
| 申告と納付の期限 | 翌年3月31日 |
消費税はいくら納める?
| 計算の方法 | 売上1,000万円(税抜)の例 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 原則課税 | 受け取った消費税100万円-払った消費税(経費300万円なら約30万円)=約70万円 | 経費や設備投資が多い人 |
| 簡易課税(サービス業) | 受け取った消費税100万円×(1-みなし仕入率50%)=50万円 | 経費が少ないITエンジニアやデザイナーなど |
取引先から消費税を上乗せして受け取っていれば、納税は預かったお金から払うことになります。ただし、使ってしまうと翌年3月にまとまった額が必要になるため、受け取った消費税は別の口座に取り置きましょう。
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法人化を考える目安と、手取りを守る方法
法人化はいつ考える?
| 目安 | 所得(利益)がおおむね800万〜900万円を超えるあたりから検討されることが多い |
|---|---|
| メリット | 法人税の税率が所得税の最高税率より低い、役員報酬で給与所得控除が使える、退職金を準備できる |
| デメリット | 会社の社会保険料の負担、設立や決算の費用、赤字でも住民税の均等割がかかる |
| 判断のしかた | 役員報酬の額を変えた試算を税理士に依頼し、個人のままと比べる |
法人の役員になると、健康保険と厚生年金に加入し、保険料は会社と本人で負担します。税金だけでなく社会保険料も含めて比べないと、法人化で手取りが減ることもあります。
手取りを守るためにできることは?
- 青色申告で65万円控除を受ける複式簿記とe-Taxでの期限内の申告が条件です
- 小規模企業共済で年84万円まで控除する所得税率20%以上なら、年84万円で約25万円以上の節税になります
- iDeCoで掛金を控除する2026年12月分から月7万5,000円まで。小規模企業共済とは別枠です
- 経費を漏れなく計上する家事按分や減価償却を正しく使い、事業の支出を拾い漏らさないようにします
- 税理士に相談する消費税の計算方法や法人化の判断は、試算で大きな差が出ます
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年収1,000万円を超えたらやること
消費税の準備を始める
2年後に課税事業者になることを前提に、簡易課税の届出を検討し、取り置きの口座を用意します。
予定納税の資金を確保する
前年の所得税が15万円以上なら、7月と11月に予定納税があります。
控除の制度を最大限使う
青色申告、小規模企業共済、iDeCoの枠を使い切れているか確認します。
法人化の試算をする
利益がさらに増える見込みなら、税理士に個人と法人の比較を依頼します。
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よくある質問(FAQ)
本記事の金額は2026年9月時点の税制にもとづく概算で、国民健康保険料や住民税は市区町村によって変わります。消費税の計算方法や法人化の判断は個別の状況で結論が変わるため、税理士に相談してください。
● 売上1,000万円の手取りは経費20〜30%で約500万〜560万円。税金と社会保険料は年200万円超
● 売上が1,000万円を超えた年の2年後に消費税の課税事業者に。簡易課税の届出と取り置きで備える
● 所得が800万〜900万円を超えたら法人化を試算。青色申告・共済・iDeCoで手取りを守る

