
「メールやチャットの対応で1日が終わり、本当に大事な仕事が進まない」と悩んでいませんか。結論から言えば、60〜90分ほどの深作業の時間を毎日決まった時間に先に確保し、その間は通知を切り、メールなどの浅い作業は時間を決めてまとめて処理することで、フリーランスでも質の高い成果を生む集中の時間を作れます。
この記事でわかること
【結論】フリーランスはどうすれば深く集中できる?
深作業(ディープワーク)とは、気が散るもののない状態で、自分の能力を限界まで使って価値を生み出す集中した働き方です。フリーランスが実践するときは、次の3つを押さえてください。
- 深作業の時間を先に予定に入れる空いた時間に集中しようとせず、毎日決まった時間に60〜90分ほどの枠を確保する
- 浅い作業をまとめて処理するメールやチャットの確認は1日数回に決め、深作業の間は通知を切る
- 休むことも計画に入れる深い集中は長く続かないため、休息と睡眠を確保して毎日続ける
深作業は、根性ではなく予定の組み方で生まれます。
深作業の時間を確保しやすいかは、案件の進め方にも左右されます。リモートで進められる案件や、作業の進め方を任される案件は、集中の時間を自分で組み立てやすくなります。
深作業とは?浅い作業との違いは?
深作業は集中して新しい価値を生む仕事、浅い作業は気が散っていてもこなせる負荷の低い作業です。この考え方は、米ジョージタウン大学のコンピュータサイエンスの教授であるカル・ニューポートが、著書『Deep Work』(邦訳『大事なことに集中する』)で示したものです。
| 比べる点 | 深作業 | 浅い作業 |
|---|---|---|
| 内容 | 集中して考え、作り出す仕事 | 連絡や事務など、手順が決まった作業 |
| 例 | 設計、執筆、企画、分析、学習 | メールの返信、日程調整、請求、資料の整理 |
| 集中の必要度 | 高い。途中で中断されると戻るのに時間がかかる | 低い。中断されても再開しやすい |
| 生む価値 | 替えが利きにくく、評価につながりやすい | 必要だが、新しい価値は生みにくい |
メールの返信や請求などの浅い作業も、仕事を回すには欠かせません。問題は、浅い作業が1日中に散らばり、深作業の時間を細切れにしてしまうことです。なくすのではなく、置き場所を決めることが大切です。
なぜフリーランスにこそ深作業が必要なの?
深く集中する力は、成果物の質と学びの速さを左右し、フリーランスの専門性と評価に直結しやすいからです。ニューポートは、深く集中する力は希少になりつつある一方で、その価値は高まっていると述べています。
- 成果物の質が上がるまとまった集中の時間で取り組むと、考え抜いた提案や作品を仕上げやすい
- 学びが速くなる新しいスキルは、細切れの時間より集中した時間で身につきやすい
- 替えが利きにくくなる誰でもできる作業ではなく、考える仕事で評価されるようになる
- 働く時間を自分で決められる会社員より予定を組み立てやすいフリーランスは、深作業を取り入れやすい
中断のたびに集中は削られる
作業を切り替えると、直前の作業に注意の一部が残り続け、次の作業の質が下がることが研究で示されています。組織行動学者のソフィー・リロイは、これを「注意の残り(アテンション・レジデュー)」と呼びました。メールを少し見るだけのつもりでも、集中を取り戻すには時間がかかります。
深作業の時間はどう確保する?
60〜90分ほどの深作業の枠を、毎日決まった時間に、ほかの予定より先に入れます。深作業は空いた時間にたまたま生まれるものではありません。打ち合わせや雑務を入れない時間を、あらかじめ守っておくことが第一歩です。
| 取り入れ方 | やり方 | 向いている人 |
|---|---|---|
| リズム型 | 毎日決まった時間を深作業にあてる(例:午前9時から11時) | 多くのフリーランス。習慣にしやすい |
| 二極型 | 週のうち数日を深作業の日、残りを連絡や打ち合わせの日に分ける | 打ち合わせが特定の曜日に集まる人 |
| 隙間型(ジャーナリスト型とも) | 空いた時間に素早く深作業に切り替える | 切り替えに慣れた人。初心者には難しい |
| 修道院型 | 連絡をほぼ断ち、深作業だけに専念する | 連絡がほとんど不要な仕事の人。多くの人には現実的でない |
最初から長い時間を確保しようとせず、毎日同じ時間に60〜90分の枠を1つ作ることから始めましょう。時間を固定すると、「今日はいつ集中しようか」と考えずに済み、意志の力に頼らず続けやすくなります。
浅い作業はどう減らし、まとめる?
確認する時間を決めてまとめて処理し、深作業の間は通知を切り、浅い作業の総量そのものを見直します。浅い作業はなくせなくても、扱い方を変えるだけで深作業の時間は生まれます。
- まとめて処理するメールやチャットの確認を、昼前、夕方など1日数回に決める
- 深作業の間は通知を切るパソコンとスマートフォンの通知を止め、チャットは「集中中」の表示にする
- 総量を減らす定型の返信はテンプレートにし、請求などの事務は仕組み化や自動化を検討する
- 返信の期待を調整する取引先に返信できる時間帯を伝え、緊急時の連絡方法を決めておく
取引先に返信の時間帯を伝える例文
いつもお世話になっております。作業の品質を保つため、午前中は集中して制作にあたる時間としています。メッセージは12時と17時ごろにまとめて確認し、当日中にご返信いたします。お急ぎの場合は、お電話またはメッセージの冒頭に【至急】とご記載ください。
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深い集中にはどう入る?
始める前に「場所、時間、やること、終わる時刻」を決め、毎回同じ手順で始めると、深い集中に入りやすくなります。集中はスイッチのように瞬時に入れるものではないため、入り口となる決まった手順を作っておくことが大切です。
- 場所と時間を決めるいつも同じ机、同じ時間帯に始める
- やることを1つに絞る「企画書の構成を作る」のように、この枠で取り組むことを具体的に書く
- 終わる時刻を決める終わりが見えていると、集中を保ちやすい
- 開始の合図を決める机を片づける、飲み物を用意するなど、毎回同じ動作から始める
- 終わりに次の一手を書く次に取り組むことをメモしてから終えると、翌日すぐに再開できる
1日の予定はどう組む?
集中しやすい時間帯に深作業を置き、浅い作業と打ち合わせはその後にまとめます。次の例を参考に、自分の集中しやすい時間に合わせて組み替えてください。
| 時間帯 | やること | 種類 |
|---|---|---|
| 9:00〜10:30 | 企画書の作成など、最も重要な仕事 | 深作業 |
| 10:30〜10:45 | 休憩 | 休息 |
| 10:45〜12:00 | 制作や執筆の続き | 深作業 |
| 12:00〜12:30 | メールとチャットの確認、返信 | 浅い作業 |
| 12:30〜13:30 | 昼食と休憩 | 休息 |
| 13:30〜16:30 | 打ち合わせ、修正対応、事務 | 浅い作業 |
| 16:30〜17:00 | 連絡の確認と、翌日の深作業でやることを決める | 浅い作業 |
深作業を続けるための注意点は?
深作業は負荷が高く長くは続かないため、時間を欲張らず、休息と睡眠を確保し、少しずつ伸ばします。ニューポートは、熟達者の練習時間を調べたアンダース・エリクソンらの研究を引きながら、慣れた人でも深作業ができるのは1日4時間ほどが上限になりやすく、慣れないうちは1時間程度から始めるとよいとしています。
深い集中を長く続けようと無理を重ねると、かえって質が落ち、疲れが残ります。深作業のあとはしっかり休み、十分な睡眠をとることが、翌日の集中を支えます。疲れや不調が続くときは、作業量や働き方そのものを見直しましょう。
- 集中する力は鍛えられる毎日同じ枠を続けると、少しずつ深い集中に入りやすくなる
- 深作業の時間を記録する1日にどれだけ深作業ができたかを記録すると、続ける励みになる
- 待ち時間にすぐスマートフォンを見ないニューポートは、常に刺激を求める習慣が深く集中する力を弱めると指摘している
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よくある質問(FAQ)
深作業は気が散らない状態で価値を生む集中した働き方。カル・ニューポートが示し、浅い作業と区別される
60〜90分の枠を毎日決まった時間に先に確保し、浅い作業は確認する時間を決めてまとめ、通知を切る
集中しやすい時間帯に深作業を置き、決まった手順で始める。長くは続かないため休息と睡眠も計画に入れる
深作業は、予定の組み方を変えるだけで今日から始められます。まずは明日の予定に60分の深作業の枠を1つ入れ、その時間だけ通知を切って、最も重要な仕事に取り組んでみてください。

