
自分の単価は高いのか安いのか、同業者はいくらもらっているのか、調べ方がわからずに迷っていませんか。結論から言えば、単価の相場は「精度の高い情報源から集め、稼働や商流などの条件をそろえて比べ、相場の幅の中で自分の位置を自分で決める」の3段階で調べます。6つの情報源と信頼度、数字をそろえる7つの補正の軸、角を立てない聞き方、同業者との単価の話が法律上の問題になる境界線まで、このページで調べ方を完結できるように整理しました。
【結論】フリーランスの単価の相場はどう調べればいい?
単価の相場調べとは、自分の仕事が取引されている価格の幅(レンジ)と、その中での自分の位置を知ることで、次の3段階で進めます。
- 精度の高い情報源から集める一番正確なのは、自分のスキルに対して実際に提示される単価。次に案件サイトの単価欄を見る
- 条件をそろえて比べる稼働量・商流・仲介・契約形態・経費・税・業務範囲の7つをそろえないと、数字は比べられない
- 幅の中の位置を自分で決める相場の下限・中央・上限のどこに立つかを、自分の実績を根拠に決める。同業者と申し合わせない
探すべきは「正解の1つの数字」ではなく、価格の幅と、その中の自分の位置です。
最も精度の高い相場情報は、他人の単価ではなく自分の経歴に対して実際に提示される金額です。複数の提示を比べると、その振れ幅がそのまま自分のレンジになります。
なぜ同業者の単価はわかりにくい?3つの理由
同業者の単価がわかりにくいのは、報酬が原則として非公開で、条件がばらばらで、表に出る数字が高いほうに偏るためです。この3つを知らずに調べると、集めた数字をうのみにして判断を誤ります。
- 単価は原則として非公開業務委託契約には秘密保持の条項があることが多く、報酬額も秘密情報に含まれることがある。正直な人ほど具体的な金額を答えられない
- 条件がばらばらで比べられない「月80万円」でも、週5か週3か、発注元と直接か2次請けか、経費を誰が持つかで実質はまったく違う
- 語られる数字は高いほうに偏るうまくいった人ほど発信し、単発の最高額が語られやすい。見えている数字は平均ではなく上位の一部
単価の相場はどこで調べる?6つの情報源と信頼度
単価の情報源には精度の差があり、自分への提示単価と案件サイトの単価欄が最も信頼でき、SNSや体験談は参考程度にとどめます。精度の高い順に手をつけてください。
| 情報源 | 精度 | かかっている偏り・注意点 |
|---|---|---|
| 1. エージェントからの提示単価 | 高い | 自分の経歴への評価が数字で返る。提示額はマージンを引いたあとの、自分が受け取る金額 |
| 2. 案件サイトの単価欄 | 高い | 掲載時の条件で、実際は面談で上下する。複数の案件を集めると幅がわかる |
| 3. 単価の調査データ | 中〜高い | 多くの案件をまとめた平均で全体の傾向がわかる。掲載ベースの数字で、契約された単価の平均とは限らない |
| 4. 同業者に直接聞く | 条件をそろえれば高い | 非公開のため答えられない場合がある。条件まで聞けないと比べられない |
| 5. クラウドソーシングの募集 | 低〜中 | 市場の下限に偏る。下限を知る目的でのみ使う |
| 6. SNS・記事・体験談 | 低い | 成功例に偏り、単発の最高額が語られやすい。上限の存在を確かめる程度にとどめる |
調査データの例として、ITフリーランスの場合、フリーランスボードの調査では、2026年9月7日時点の案件の平均単価は月75.4万円でした。全体の平均を知ったうえで、自分の職種・言語・経験に近い案件の数字で確かめるのが正しい使い方です。
職種・言語別の具体的な相場の目安と、手取りの考え方は、次の記事で数字を整理しています。
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集めた単価はどう比べる?条件をそろえる7つの補正の軸
集めた単価は、稼働量・商流の深さ・仲介の有無・契約形態・経費の負担・税の扱い・業務範囲の7つの条件をそろえてから比べます。条件をそろえていない単価は、比べる材料になりません。
| 稼働量 | 週5か週3か、時間単価か文字単価か。月の精算幅(例:140〜180時間)も確認し、まず週5の月額など同じ基準に直す |
|---|---|
| 商流の深さ | 発注元と直接か、元請け経由か、2次請け以降か。間に入る会社が増えるほど、受け取る金額は下がりやすい |
| 仲介の有無 | 直接の契約か、エージェント経由か。エージェント経由の提示額はマージンを引いたあとの金額 |
| 契約形態 | 成果物の完成に責任を負う請負か、作業の遂行に対して払われる準委任か。負うリスクが違う |
| 経費の負担 | 交通費・機材・ツール・素材費を誰が持つか。自己負担なら実質の単価は下がる |
| 税の扱い | 税込か税抜か、インボイス登録の有無で消費税分が支払われるか。ここがそろっていないだけで比較が崩れる |
| 業務範囲 | 同じ職種名でも、設計から担うのか実装だけかで別の仕事になる |
稼働量の補正は、たとえば週3日で月48万円の案件なら、48万円 ÷ 3日 = 週1日あたり月16万円、× 5日 = 週5換算で月80万円と計算します。週3の案件は1日あたりの単価が高めに設定されることもあるため、換算した数字は比べるための目安として使います。「あの人は自分より高い」と感じたときは、スキルの差の前に、商流や稼働の違いではないかを確かめてください。
単価メモの項目(例)
情報源/職種と担当工程/金額(税込・税抜)/稼働(週◯日・月◯時間)/商流(直接・元請け経由・2次請け以降)/仲介(直接・エージェント)/契約形態(請負・準委任)/経費の負担/週5換算の金額/確認した日
同業者に単価はどう聞く?答えてもらいやすい5つの型
同業者に聞くときは、「いくらもらっていますか」と金額を直接聞くのではなく、条件を指定して市場の水準を幅で尋ねます。契約上言えない、値踏みされているようで答えにくい、といった理由で、直接の質問には答えてもらえないことが多いためです。
- 幅で聞く金額そのものではなく「どのくらいの幅が多いか」を尋ねる
- 自分から先に出す自分の条件と今の金額を先に伝えると、相手も返しやすくなる。伝えるのは過去・現在の実績だけにし、今後いくらにするかは話さない
- 条件を指定して聞く「週3・発注元と直接・準委任なら」と条件を固定する
- 相手の案件ではなく市場を聞く「あなたの単価」ではなく「この条件の案件の水準」として尋ねる
- 答えない自由を先に渡す「言える範囲で構いません」と添える
同業者に聞くときの連絡(例文)
最近、自分の単価が市場と合っているのかわからなくなってきて、もしよければ感覚を教えてもらえませんか。
先に自分の条件をお伝えすると、週4稼働・2次請け・準委任・経費は自己負担で、今の契約は月◯円くらいです。
同じくらいの条件だと、だいたいどのあたりの幅が多い感覚でしょうか。契約上言いにくいところもあると思うので、言える範囲で、ざっくりで構いません。
相手選びも大切です。同じ案件・同じ現場の人、今の取引先の関係者、同じ案件を競合として狙っている相手には聞かないでください。金額の差がわかると現場の関係が崩れたり、自分の交渉材料を相手側に渡したりすることになり、競合との単価の話は次の章の法律上の問題にもつながります。
同業者と単価の話をするときの注意点は?独占禁止法の境界線
相場を「知る」ことは問題ありませんが、同業者と申し合わせて価格を「一緒に決める」ことは、独占禁止法上の問題になり得ます。独占禁止法では、個人で働くフリーランスも原則として「事業者」にあたり、同じ市場で仕事を受ける同業者は競争関係にあるためです。
独占禁止法は、事業者が共同して対価を決めたり引き上げたりして競争を実質的に制限することを、「不当な取引制限」(いわゆるカルテル)として禁止しています。公正取引委員会は、事業者間で価格や値上げの時期などを申し合わせる行為は価格カルテルとして問題になると、注意を呼びかけています。
| 行為 | 考え方 |
|---|---|
| 公開情報や提示額から、相場の幅を把握する | 通常の情報収集 |
| 同業者に条件をそろえて水準を尋ね、自分で単価を決める | 各自が自主的に決めている |
| 「今後は最低◯円未満では受けないようにしよう」と申し合わせる | 共同での対価の決定にあたり得る |
| 「あの発注者には全員で値上げを求めよう」と取り決める | 共同での対価の引き上げにあたり得る |
個人どうしの会話がすぐに問題になるわけではありませんが、違反にあたるかは、行為の内容・当事者の関係・市場への影響などをふまえて判断されます。コミュニティや団体で価格の申し合わせに近い話が出た場合は参加を避け、必要に応じて弁護士などの専門家に相談してください。聞いた情報をもとに、自分の単価は自分ひとりで決めることが基本です。ただし、今後の値上げの予定や見積もりの予定額を同業者と伝え合うと、それ自体が申し合わせを疑われる材料になり得るため避けてください。
調べたあとはどうする?相場の幅のどこに立つかを決める
相場は正解の1点ではなく幅なので、調べたあとは「幅の下限・中央・上限のどこに立つか」を、自分の根拠をもとに決めます。
- 下限に立つ実績が少なく、まず件数がほしい時期。ただし期限を決めて、下限単価は割らない
- 中央に立つ条件が相場並みで、はっきりした強みがまだない状態
- 上限を狙う担える工程が広い、成果を数字で示せる、特定の分野の実績がある
相場より高い位置に立つには、相場より高い理由が必要です。調べた結果、自分が安いとわかったときは、補正が正しいかを確かめたうえで、契約更新などの区切りで単価の見直しを相談しましょう。
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単価の相場はどのくらいの頻度で調べ直す?
単価の相場は、半年から1年に1回を目安に調べ直します。技術の需要が変われば相場も動くため、1回調べて終わりにすると、その数字が自分の中で固定され、市場の変化に気づけなくなります。
- 半年から1年に1回、エージェントの面談などで自分への提示額を確かめる
- 案件サイトの単価欄を、同じ条件で定期的に見る
- 求められるスキルの組み合わせが変わっていないかを確かめる
- 契約更新の1〜2か月前に、交渉の根拠として最新の相場をそろえる
よくある質問(FAQ)
情報源は6つ。最も精度が高いのは自分への提示単価と案件サイトの単価欄で、SNSや体験談は参考程度にとどめる
集めた単価は、稼働量・商流・仲介・契約形態・経費・税・業務範囲の7つをそろえてから比べる
相場を知るのは問題ないが、同業者と申し合わせて価格を決めるのは独占禁止法上の問題になり得る。自分の単価は自分で決める
単価調べで最も確かな情報は、他人の話ではなく、自分に返ってくる提示額です。自分の条件を7つの軸で書き出し、その条件で市場がいくらと言うのかを確かめるところから始めてみてください。

