フリーランスの実績公開|許可のもらい方と契約の要点

フリーランスの実績公開|許可のもらい方と契約の要点

良い仕事をしたのに、「実績として載せていいのか分からない」とポートフォリオに出せずにいる。フリーランスによくある悩みです。無断で公開すると、秘密保持や著作権の取り決めに反するおそれがあり、信頼を失うこともあります。結論から言えば、実績公開は契約の内容を確認し、公開の範囲を具体的に示して許可を文字でもらい、公開の前に最終確認をすることで安心して進められます。この記事では、問題になりやすい点、契約で確認すべき条項、許可のもらい方と依頼の例文、公開の範囲の選び方、許可が出ないときの見せ方、実績ページの書き方、公開前のチェックリストまでを1ページにまとめました。

目次

【結論】実績公開は「契約の確認・許可を文字で・範囲の特定・公開前の確認」で安心して進められる

フリーランスの実績公開とは、クライアントの仕事で作った成果物や取り組みを、ポートフォリオやSNSなどで紹介することです。自分が作ったものでも、契約や権利の扱いによっては自由に公開できないことがあります。安心して公開するには、次の4つを押さえます。

  1. 契約の内容を確認する秘密保持、著作権、実績としての利用についての定めを読む
  2. 許可を文字でもらう口頭の了承だけでなく、メールなどで記録を残す
  3. 公開する範囲と形を具体的に決める社名の有無、成果物の見せ方、公開する場所を示して合意する
  4. 公開の前に最終確認をする未公開の情報や個人情報が含まれていないかを見直す

許可をもらう最も良いタイミングは、契約を結ぶときです。最初に「実績として紹介してよい範囲」を決めておけば、納品後に改めてお願いする気まずさもなくなります。

許可が出ない場合でも、社名を伏せる、課題と工夫だけを説明するといった方法で、実績を伝えることはできます。「載せられないから実績がない」と考える必要はありません。

実績公開で問題になりやすいこと

実績公開のトラブルは、「自分が作ったものだから自由に使える」という思い込みから起きることが多くあります。

問題になりやすい点なぜ問題になるか対策
秘密保持取引の事実や内容そのものを、外に出さない約束をしていることがある秘密保持の範囲を確認し、許可をもらう
著作権成果物の権利をクライアントに渡している場合、自分の判断だけでは使えないことがある権利の扱いと、実績としての利用の可否を確認する
社名やロゴ取引先であることを公表されたくない会社もある社名やロゴの掲載について、個別に了承をもらう
写真に写った人物写っている人の了承がないまま公開すると、トラブルになることがある人物が特定できる画像は使わないか、了承の有無を確認する
未公開の情報公開前のサービスや社内資料は、外に出すと損害につながる公開日を過ぎてから、許可を得た範囲で載せる
個人情報・数字顧客名や売上などの数字は、機密にあたることが多い伏せる、割合で示すなど、表し方を相談する
POINT|許可を取る姿勢そのものが信頼になる

公開の前に確認を取るフリーランスは、「情報の扱いに気を配れる人」と受け止められます。許可の依頼は、失礼ではなく、信頼を積み上げる行動です。

実績公開の前に契約で確認すべき条項

公開してよいかどうかは、まず契約書や発注時の取り決めで確認します。

秘密保持守るべき情報の範囲。取引の事実そのものが含まれるか、期間はいつまでか
著作権の帰属成果物の権利を譲渡するか、利用を許すだけか
実績としての利用ポートフォリオなどで紹介してよいか、その条件は何か
著作者人格権「行使しない」と定められているか
社名・ロゴの使用取引先として名前を出してよいか
再委託や共同制作ほかの人と作った場合、その人の了承も必要か

著作権を譲渡していても、実績として載せられる?

著作権をクライアントに譲渡している場合、成果物をポートフォリオに載せることも、権利者であるクライアントの判断に委ねられるのが基本です。そのため、「実績として紹介することを認める」という定めを契約に入れるか、個別に許可をもらう必要があります。契約書に定めがない場合も、必ず確認を取りましょう。

著作者人格権とは?

著作者人格権は、作品に名前を表示する権利や、無断で内容を変えられない権利など、作った人に認められる権利です。他人に譲渡できない権利のため、契約書では「行使しない」と定める形がよく使われます。この定めがあっても、実績として公開してよいかどうかは別の問題なので、公開の可否は別途確認しましょう。

契約内容の確認と、専門家への相談について

著作権や秘密保持の扱いは、契約の書き方や個別の事情によって判断が変わります。本記事は2026年9月時点の一般的な情報で、法的な助言ではありません。判断に迷う場合は、契約書を確認のうえ、弁護士などの専門家や「フリーランス・トラブル110番」(0120-532-110/9時30分〜16時30分・土日祝日を除く)に相談してください。

許可のもらい方と依頼の例文

許可は、早いタイミングで、公開の範囲を具体的に示して、文字でもらうのが基本です。

1

契約の段階で相談する

条件のすり合わせの中で、実績として紹介してよいかを確認します。最も自然で、断られても関係に影響しにくいタイミングです。

2

公開の範囲を具体的に示す

社名を出すか、成果物を見せるか、どこに載せるかを示し、相手が判断しやすい形にします。

3

了承を文字で残す

メールで了承をもらい、契約書や発注書に定めを入れられれば、なお安心です。

4

公開前に掲載内容を見てもらう

載せる文章や画像を事前に共有し、問題がないかを確認してもらいます。

契約時に実績公開の可否を確認する(例文)

〇〇様
契約条件について1点ご相談させてください。本件の成果物を、公開後に私のポートフォリオで実績として紹介させていただくことは可能でしょうか。

・掲載する場所:自分のポートフォリオサイト
・掲載する内容:成果物の画像と、担当した範囲の説明
・社名の表記:ご希望に合わせます(「〇〇業界の企業」とすることも可能です)
・掲載の時期:サービスの公開後

難しい場合や条件がある場合は、ご遠慮なくお知らせください。

納品後に許可をお願いする(例文)

〇〇様
先日は〇〇の件で大変お世話になりました。おかげさまで、私にとっても大きな学びとなる仕事になりました。

つきましては、本件をポートフォリオで実績として紹介させていただけないでしょうか。掲載予定の文章と画像を添付しますので、ご確認いただけますと幸いです。社名を伏せる、画像を載せないなど、ご希望があれば合わせて調整いたします。

もちろん難しい場合は、掲載を控えますので、お気軽にお知らせください。

エージェント経由の案件は、誰に確認する?

エージェント経由の案件では、クライアントに直接お願いせず、担当者に相談するのが基本です。エージェントとの契約にも秘密保持の定めがあることが多いため、あわせて確認してもらいましょう。

公開の範囲と形の選び方

許可の出し方は、全部か無しかの二択ではありません。公開の範囲をいくつか用意して選んでもらうと、許可をもらいやすくなります。

公開の範囲内容向いている場面
社名と成果物を公開社名、成果物の画像、担当範囲、成果を載せるクライアントも宣伝として歓迎している
社名を伏せて成果物を公開「〇〇業界の企業」などと表記し、成果物を載せる取引の事実は出したくないが、成果物は公開済み
成果物を載せずに説明だけ課題、工夫、成果を文章で紹介する成果物の公開は難しいが、紹介は認められている
面談のときだけ見せる一般には公開せず、個別の商談で口頭や画面で紹介する公開は難しいが、限られた相手への紹介は認められている
※ どの範囲でも、クライアントの了承を得たうえで行ってください。

許可が出ないときの実績の見せ方

公開の許可が出なくても、守るべき情報に触れない形で、自分の力を伝えることはできます。

  • 業界と規模だけを示す「小売業の企業のサイト改善」など、特定できない形で経験を伝える(取引の事実そのものが秘密の場合は、クライアントに確認する)
  • 課題と工夫を説明する成果物ではなく、どんな課題にどう取り組んだかを文章で伝える
  • 成果は割合や変化で示す具体的な売上などは出さず、「問い合わせが増加」などの表現にとどめる
  • 自主制作で技術を見せる架空の題材で、同じ種類の技術を使った作品を作る。クライアントの成果物を再現しない
  • スキルシートに経験として書くエージェントや面談向けの資料に、担当範囲と期間を記載する
「似せて作り直す」は避ける

公開できない成果物を、見た目だけ変えて作り直して載せるのは、実質的に同じ内容の公開になるおそれがあります。自主制作は、別の題材で自分の技術を示すものにしましょう。

伝わる実績ページの書き方

許可をもらって公開するなら、作品を並べるだけでなく、何をどう解決したかが伝わる形にしましょう。

案件の概要業界、目的、期間(許可の範囲で)
担当した範囲自分が何を担当したか。共同制作なら役割を明記する
課題依頼の背景にあった問題
工夫したこと課題に対して、どう考え、どう取り組んだか
成果数字や変化(公開してよい範囲で)
クライアントの声了承を得た感想(任意)
伝わりにくい書き方伝わる書き方
サイトを制作しました予約が伸び悩む飲食店のサイトで、予約までの流れを短くする設計を担当しました
ロゴを作りました若い世代にも親しまれるよう、既存の色を残しつつ形をやわらかく見直しました
※ 書き方を示すための架空の例です。

公開前のチェックリスト

公開ボタンを押す前に、次の8項目を確認してください。

  • 契約の定めを確認したか秘密保持、著作権、実績としての利用の条件
  • 許可を文字でもらったか公開の範囲と場所について、了承の記録がある
  • 了承を得た範囲に収まっているか社名、画像、説明の内容が、合意した範囲を超えていない
  • 未公開の情報が含まれていないか公開前のサービス、社内資料、開発中の画面が写っていない
  • 個人情報が写っていないか顧客名、メールアドレス、人物の顔などが見えていない
  • 数字の表し方は了承済みか売上などの具体的な数字は、許可を得たものだけにする
  • 共同制作者の了承を得たかほかの人と作った場合、役割の書き方も含めて確認する
  • 素材の権利に問題がないか使っている写真やフォントを、ポートフォリオで使ってよいか

公開した後に気をつけること

実績は、公開した後も、クライアントの状況に合わせて見直す必要があります。

  • 取り下げの依頼にはすぐ応じる事情が変わって掲載をやめてほしいと言われたら、速やかに対応する
  • 情報を定期的に見直すサービスの終了や社名の変更などに合わせて、内容を更新する
  • 契約が終わった後も約束を守る秘密保持の期間が残っている場合は、その範囲を守り続ける
  • 掲載を報告する公開したらクライアントに知らせると、関係づくりにもつながる

よくある質問(FAQ)

Q自分が作ったものなら、実績として自由に公開できますか?
A自由に公開できるとは限りません。秘密保持の約束や、著作権をクライアントに譲渡する取り決めがある場合は、許可が必要です。契約の内容を確認し、公開の前に了承をもらいましょう。
Q実績公開の許可は、いつもらうのがいいですか?
A契約を結ぶときが最適です。条件のすり合わせの中で確認すれば自然にお願いでき、断られても関係に影響しにくくなります。納品後にお願いする場合も、掲載予定の内容を示して了承をもらいましょう。
Q口頭で了承をもらえば十分ですか?
A後から認識がずれないよう、メールなど文字で残しておくのがおすすめです。公開する場所、社名の扱い、載せる内容を具体的に書いて確認してもらいましょう。
Q著作権を譲渡していても、ポートフォリオに載せられますか?
A権利者であるクライアントの了承が必要です。契約に「実績として紹介することを認める」という定めを入れるか、個別に許可をもらってから掲載してください。
Q社名を伏せれば、許可なく公開してもいいですか?
A社名を伏せても、成果物からクライアントが分かる場合や、秘密保持の対象になっている場合があります。社名を伏せる場合も、事前に了承をもらうのが安全です。
Q許可が出ないときは、どう実績を伝えればいいですか?
A守るべき情報に触れない形で、課題と工夫を文章で説明したり、別の題材の自主制作で技術を示したりします。スキルシートに担当範囲と期間を書き、面談で説明する方法もあります。
Qエージェント経由の案件の実績は、どう扱えばいいですか?
Aクライアントに直接お願いせず、エージェントの担当者に相談します。エージェントとの契約にも秘密保持の定めがあることが多いため、あわせて確認してもらいましょう。
Qチームで作った成果物を、自分の実績として載せてもいいですか?
Aクライアントの了承に加えて、共同制作者にも確認し、自分が担当した範囲を明記してください。全体を自分一人で作ったように見せるのは避けましょう。
Q公開した後に、取り下げを求められたらどうすればいいですか?
A速やかに取り下げて、対応したことを連絡してください。事情が変わることはあるため、柔軟に応じることが信頼の維持につながります。
Q実績ページには何を書けばいいですか?
A案件の概要、担当した範囲、課題、工夫したこと、成果を、許可を得た範囲で書きます。作品を並べるだけでなく、どう役に立ったかが伝わる形にしましょう。
この記事のまとめ

● 自分が作ったものでも、秘密保持や著作権の取り決めによっては許可が必要になる

● 契約の段階で、公開の範囲を具体的に示して相談し、了承を文字で残す

● 許可が出なくても課題と工夫の説明で実績を伝え、公開前は8項目のチェックで見直す

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