
会社員から独立すると、年金は厚生年金から国民年金に切り替わります。気になるのが「フリーランスの年金はいくら払うのか」。国民年金の保険料は、所得や年齢に関係なく全員一律で、令和7年度(2025年度)は月額17,510円です。この記事では、フリーランスが払う年金の金額、会社員との違い、お得な納付方法、将来の年金を増やす方法、払えないときの免除制度まで、わかりやすく解説します。
フリーランスの年金は月額約1万7千円(一律)
フリーランス・個人事業主が加入するのは「国民年金(第1号被保険者)」です。国民年金の保険料は、所得や年齢に関係なく、全員が同じ金額(定額)を納めます。会社員の厚生年金のように収入で変わることはありません。
| 年度 | 月額 | 年額(12か月) |
|---|---|---|
| 令和7年度(2025年度) | 17,510円 | 210,120円 |
| 令和8年度(2026年度) | 17,920円 | 215,040円 |
| 令和9年度(2027年度) | 18,290円 | 219,480円 |
国民年金の保険料は毎年度見直され、少しずつ変動します。年間でおよそ21万円前後と、決して小さくない金額です。所得に関係なく一律なので、収入が少ない時期ほど負担感が大きくなります。
※出典:日本年金機構・各自治体の公表値(2026年6月時点)。保険料額は毎年改定されます。
会社員(厚生年金)との違い
会社員時代の厚生年金と、フリーランスの国民年金には大きな違いがあります。保険料の決まり方と、将来もらえる年金額が変わります。
| 項目 | 国民年金(フリーランス) | 厚生年金(会社員) |
|---|---|---|
| 保険料 | 定額(所得に関係なく一律) | 収入に応じて変動 |
| 会社負担 | なし(全額自己負担) | あり(会社と折半) |
| 将来の年金 | 老齢基礎年金のみ | 老齢基礎年金+老齢厚生年金 |
会社員は厚生年金に上乗せがあるため、将来の年金額が手厚くなります。一方、フリーランスは国民年金(老齢基礎年金)のみで、将来受け取れる年金は会社員より少なくなりがちです。そのぶん、自分で年金を上乗せする工夫(後述)が重要になります。
お得な納付方法(前納・早割)
国民年金の保険料は、納付方法を工夫すると割引が受けられます。少しでも負担を減らしたい人は活用しましょう。
- 早割(口座振替):通常は翌月末引き落としのところ、当月末引き落としにすると月60円割引(年720円お得)
- 前納(まとめ払い):6か月・1年・2年分をまとめて前払いすると割引。2年前納が最も割引額が大きい
- 口座振替・クレジットカード・納付書:納付手段は複数から選べる
まとまった資金があるなら、2年分を前納する「2年前納」が最もお得です。口座振替での2年前納が割引額が大きく、トータルでまとまった金額を節約できます。資金に余裕がなければ、手軽な「早割」だけでも年720円の節約になります。
※出典:日本年金機構・各自治体の納付案内に基づく(2026年6月時点)。割引額は年度により異なります。
将来の年金を増やす方法
フリーランスは国民年金だけだと将来の年金が手薄になりがちです。そこで、年金を上乗せする制度を活用しましょう。代表的なものを紹介します。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 付加年金 | 月400円の付加保険料で、将来「納付月数×200円」が年金に上乗せ |
| 国民年金基金 | 国民年金に上乗せできる公的な年金制度(付加年金とは併用不可) |
| iDeCo | 自分で運用する私的年金。掛金が全額所得控除 |
| 小規模企業共済 | 退職金代わりの積立。掛金が全額所得控除 |
特に「付加年金」はコストパフォーマンスが高い制度です。月400円を上乗せして納めると、将来「納付月数×200円」が毎年の年金に加算されます。つまり、年金を受け取り始めて2年で元が取れる計算になります。月400円という手軽さもあり、フリーランスがまず検討したい上乗せ制度です。
※付加年金と国民年金基金は併用できません。iDeCoとの掛金上限の兼ね合いにも注意。
年金保険料が払えないときの免除・猶予
収入が少なく保険料を払うのが難しい場合は、放置せず「免除・納付猶予」の手続きをしましょう。未納のまま放置すると、将来の年金が減るだけでなく、障害年金・遺族年金を受け取れなくなるリスクもあります。
- 保険料免除制度:所得が一定以下の場合、全額・4分の3・半額・4分の1の免除が受けられる
- 納付猶予制度:50歳未満で所得が一定以下の場合、納付を猶予してもらえる
未納と免除はまったく違います。未納は将来の年金が単純に減り、年金の受給資格にも影響しますが、免除を受けた期間は、年金の受給資格期間に算入され、年金額にも一部反映されます。さらに、後から「追納」すれば満額に近づけることも可能です。払えないときは必ず市区町村や年金事務所に相談しましょう。
※出典:日本年金機構の免除・納付猶予制度に基づく。要件は所得等により異なります。
年金保険料は全額が所得控除になる
国民年金の保険料は、確定申告で「社会保険料控除」として全額を所得から差し引けます。これは節税につながる大きなメリットです。
たとえば年間21万円の保険料を払った場合、その全額が所得控除になります。所得税・住民税の税率が合計20%の人なら、年間およそ4万円の節税になる計算です。付加年金・国民年金基金・iDeCoの掛金も同様に控除の対象です。
家族(生計を同じくする配偶者や子など)の国民年金保険料を代わりに支払った場合、その分も自分の社会保険料控除に含められます。家族分を払っているなら、確定申告で忘れずに申告しましょう。
※2年前納した場合の控除の扱い(全額をその年に控除するか、各年分に分けるか)は選択できます。
フリーランスの年金に関するよくある質問
フリーランスの年金について、特に質問の多いポイントをまとめました。
Q. 収入が増えると年金保険料も上がりますか?
いいえ。国民年金の保険料は所得に関係なく一律です。収入が増えても保険料は変わりません。これは収入に応じて保険料が上がる会社員の厚生年金との大きな違いです。
Q. 年金を払わないとどうなりますか?
未納のまま放置すると、将来の年金が減るほか、障害年金や遺族年金を受け取れなくなる可能性があります。督促や差押えの対象になることもあります。払えない場合は未納ではなく、免除・猶予の手続きをしましょう。
Q. 会社員のときより将来の年金は減りますか?
国民年金のみだと、厚生年金がある会社員より将来の年金額は少なくなりがちです。その差を埋めるため、付加年金・国民年金基金・iDeCoなどで自分で上乗せして備えるのがおすすめです。
Q. お得に払う方法はありますか?
口座振替の「早割」で月60円、「前納(まとめ払い)」でさらに割引が受けられます。資金に余裕があれば2年前納が最も割引額が大きくなります。あわせて社会保険料控除で節税にもなります。
まとめ:一律の保険料+上乗せで備える
フリーランスの年金は、金額の仕組みと上乗せ制度を理解しておくことが大切です。最後に要点を振り返っておきましょう。
① 国民年金の保険料は所得に関係なく一律(令和7年度は月17,510円・年約21万円)
② 会社員の厚生年金と違い全額自己負担で、将来の年金も手薄になりがち
③ 早割・前納で割引が受けられる(2年前納が最もお得)
④ 付加年金・国民年金基金・iDeCoで将来の年金を上乗せできる
⑤ 保険料は全額が社会保険料控除。払えないときは免除・猶予の手続きを
フリーランスの年金は、所得に関係なく一律で、年間およそ21万円。会社員より将来の年金が手薄になりがちなぶん、付加年金やiDeCoなどで上乗せして備えることが大切です。保険料は全額が所得控除になり節税にもつながるので、納め忘れずに、そして余裕があれば前納や上乗せ制度を活用していきましょう。払うのが難しいときは、未納にせず必ず免除・猶予の相談を。

