フリーランスの減価償却とは?計算方法と特例をわかりやすく解説

フリーランス 減価償却

パソコンやカメラなど、高額な仕事道具を買ったとき、その全額をその年の経費にできるとは限りません。一定金額以上の資産は「減価償却」というルールで、数年に分けて少しずつ経費にしていく必要があります。一方で、フリーランスには一括で経費にできる特例もあり、使い分けが節税のカギになります。この記事では、減価償却の仕組み・金額別の処理方法・計算例・特例まで、フリーランスが押さえておきたいポイントを最新情報をもとに解説します。

減価償却とは?なぜ一度に経費にできないのか

減価償却とは、高額で長く使う資産の購入費用を、その年に全額計上せず、使用できる期間にわたって分割して経費にしていく会計処理のことです。対象となる資産を「減価償却資産」といいます。

なぜ分割するのかというと、たとえば30万円のパソコンは買った年だけでなく、何年にもわたって仕事に使い、収益を生み出すからです。その「長く使って価値が少しずつ減っていく」という実態に合わせて、費用も数年に分けて計上する、という考え方です。

📌 POINT

資産ごとに、何年で償却するかの基準となる「法定耐用年数」が決まっています。たとえばパソコンは4年、事務机・椅子は金属製で15年などです。耐用年数が短いほど、1年あたりの減価償却費が大きくなり、節税効果も早く出ます。
※出典:国税庁の耐用年数表に基づく。資産の種類・用途により異なります。

減価償却が必要なのは「10万円以上」から

すべての備品が減価償却の対象になるわけではありません。取得価額が10万円未満のものは、減価償却せずに購入した年に全額を経費にできます(消耗品費など)。減価償却が必要になるのは、原則として取得価額が10万円以上の資産です。

ただし、10万円以上でも金額帯によって、いくつかの処理方法を選べます。フリーランスにとっては、この選択が節税の分かれ道になります。

金額別の処理方法を一覧で整理

取得価額ごとに選べる処理方法を一覧にまとめました。フリーランス(青色申告)の場合の選択肢です。

取得価額 主な処理方法
10万円未満 全額を購入年に経費(消耗品費など)
10万円以上20万円未満 一括償却資産(3年で均等償却)/通常の減価償却/特例のいずれか
10万円以上30万円未満
(2026年4月以降は40万円未満)
少額減価償却資産の特例(青色申告者・一括経費)/通常の減価償却
上記の上限以上 通常の減価償却(法定耐用年数で分割)
⚠️ 注意

少額減価償却資産の特例の上限額は、税制改正により2026年4月1日以降に取得する資産から「30万円未満」→「40万円未満」に引き上げられました。2026年3月31日までに取得した資産は従来どおり30万円未満が対象です。
※2026年6月時点の情報。あわせて対象となる従業員数の要件も500人以下→400人以下に変更。最新の要件は国税庁・税理士にご確認ください。

減価償却の計算方法(定額法)

個人事業主の減価償却は、原則として「定額法」で計算します。定額法は、毎年同じ額を経費にしていく方法です。計算式は次のとおりです。

📌 計算式

1年間の減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率 ×(その年に使った月数 ÷ 12)

計算例:24万円のパソコン(耐用年数4年)

1月に24万円のパソコン(耐用年数4年・償却率0.25)を購入し、その月から使い始めた場合の計算です。

  1. 1年目:24万円 × 0.25 = 6万円
  2. 2年目:6万円
  3. 3年目:6万円
  4. 4年目:5万9,999円(最後に1円を「備忘価額」として残す)

このように、24万円を4年かけて経費にしていきます。年の途中で使い始めた場合は、使った月数で月割り計算します。たとえば7月から使い始めたなら、1年目は6万円 × 6か月 ÷ 12 = 3万円になります。

📌 POINT

個人事業主は定額法が原則です。定率法(早い年に多く償却する方法)を使いたい場合は、事前に税務署へ届出が必要です。特にこだわりがなければ、計算がシンプルな定額法のままで問題ありません。最終年は、資産が残っていることを示すため1円を残して償却を終えます。

青色申告なら使える「少額減価償却資産の特例」

フリーランスの節税で特に重要なのが、「少額減価償却資産の特例」です。これは、青色申告者が一定額未満の資産を、購入した年に一括で全額経費にできる制度です。

  • 対象:取得価額30万円未満(2026年4月以降の取得は40万円未満)の資産
  • 条件:青色申告をしている個人事業主・中小企業者など
  • 上限:1年間の合計で300万円まで
  • 必要書類:確定申告書に明細書を添付

たとえば25万円のパソコンを買った場合、通常なら4年に分けて償却しますが、この特例を使えば25万円全額を購入年の経費にできます。利益が出た年に使えば、大きな節税効果が得られます。

⚠️ 注意

この特例は青色申告者だけが使えます。白色申告では利用できません。また、年間300万円の上限があるため、高額な設備を複数購入する場合は、購入する年を分散させると上限を有効に使えます。なお、特例で一括経費にした資産も固定資産税(償却資産税)の対象になる点には注意しましょう。
※出典:国税庁・財務省(令和8年度税制改正大綱等)。適用期限・要件は変更される場合があります。

減価償却の仕訳例

減価償却の仕訳方法には、主に「直接法」があります。事業用資金で購入し、定額法で償却する場合の例を見てみましょう。

例:24万円のパソコンを事業用口座で購入したとき(購入時)

  • (借方)工具器具備品 24万円
  • (貸方)普通預金 24万円

例:決算時に1年分(6万円)を減価償却するとき

  • (借方)減価償却費 6万円
  • (貸方)工具器具備品 6万円
📌 POINT

購入時はまず「工具器具備品」などの資産として計上し、決算時に1年分を「減価償却費」として経費に振り替えます。会計ソフトに資産を登録しておけば、毎年の減価償却費は自動計算されるため、手計算の手間を省けます。

減価償却の注意点とよくある質問

減価償却について、特に質問の多いポイントをまとめました。

Q. 10万円未満なら減価償却しなくていいですか?

はい。取得価額10万円未満の備品は、減価償却せずに購入した年に全額を経費(消耗品費など)にできます。減価償却が必要になるのは原則10万円以上の資産です。

Q. プライベートと兼用の資産はどうしますか?

自宅兼用のパソコンなどは、減価償却費を家事按分し、業務利用分だけを経費にします。たとえば年間の減価償却費が6万円で業務割合70%なら、4万2,000円を経費に計上します。

Q. 中古品を買った場合の耐用年数は?

中古資産は、新品より短い耐用年数で償却できる場合があります。計算方法が定められているため、中古のPCや車両などを購入した場合は、中古資産の耐用年数の計算ルールを確認しましょう。

Q. 特例と一括償却資産はどちらが得ですか?

早く経費にしたいなら少額減価償却資産の特例(青色・一括経費)が有利です。一方、一括償却資産(3年均等)は対象者の制限や上限額がなく、固定資産税の対象外というメリットがあります。利益の状況に応じて選びましょう。

まとめ:金額に応じて有利な方法を選ぶ

減価償却は複雑に見えますが、金額別の処理方法を押さえれば難しくありません。最後に要点を振り返っておきましょう。

✅ この記事のまとめ

① 減価償却は高額な資産を耐用年数で分割して経費にする処理
② 10万円未満は購入年に全額経費にできる
③ 個人事業主の減価償却は原則「定額法」(最終年は1円残す)
④ 青色申告なら少額減価償却資産の特例で一括経費にできる(年300万円まで)
⑤ 特例の上限は2026年4月取得分から30万円未満→40万円未満に拡大

減価償却のポイントは、資産の金額に応じて有利な方法を選ぶこと。特に青色申告者は、少額減価償却資産の特例を活用すれば、利益が出た年に大きく節税できます。会計ソフトを使えば償却計算は自動化できるので、まずは金額別の処理の違いを理解しておきましょう。判断に迷う場合は、税理士に相談すると確実です。

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