
見積書は、仕事の内容と金額をすり合わせる最初の書類です。ここで範囲や条件があいまいだと、あとから「それも含まれていると思った」というトラブルになります。結論から言えば、見積書は「工数×単価」で根拠のある金額を出し、作業の範囲・修正の回数・前提条件をはっきり書くことが何より大切です。請負と準委任では書き方の型が違い、消費税や源泉徴収の書き方にも注意点があります。記載項目、契約の種類別の見本、金額の出し方、税金の扱いまでまとめました。
【結論】根拠のある金額と、範囲・条件の明記が大切
フリーランスの見積書は、次の3点を押さえます。
- 金額は「工数×単価」で出す作業を分けて工数を見積もり、自分の単価をかけると、値下げを求められたときも根拠を示せます
- 範囲・修正回数・前提条件を書く何が含まれ、何が含まれないかを明記すると、追加の作業を別料金にする根拠になります
- 契約の種類に合った型で書く請負は成果物ごとの金額、準委任は月額と稼働時間の幅で書きます
見積書の内容は、そのまま契約書や発注書のもとになります。見積書の段階で条件を固めておくことが、あとのトラブルを防ぐいちばんの近道です。
見積書の書き方は、業務委託が請負か準委任かで変わります。業務委託契約の基本を知っておくと、見積書に何を書くべきかが分かります。
あわせて読みたい(業務委託契約の基本)
見積書の記載項目
| 項目 | 書く内容 | ポイント |
|---|---|---|
| タイトル・番号・発行日 | 「御見積書」、管理番号、発行した日 | 番号で発注書や請求書とつなぐ |
| 宛先・発行者 | 取引先の正式名称、自分の氏名または屋号と連絡先 | 担当者名も入れると確認が早い |
| 件名 | 「コーポレートサイト制作」など | 何の見積もりか一目で分かるように |
| 明細 | 作業の項目、数量、単価、金額 | 「一式」だけにせず、項目ごとに分ける |
| 合計金額 | 小計、消費税、合計 | 税抜か税込かを明記する |
| 納期・契約期間 | 納品予定日、または稼働の期間 | 素材の受け取り日などの前提も書く |
| 支払条件 | 締め日、支払日、振込手数料の負担 | 「月末締め翌月末払い」など具体的に |
| 有効期限 | 見積もりが有効な期間 | 発行から30日などと区切る |
| 備考(前提条件) | 作業の範囲、修正の回数、範囲外の作業の扱い | トラブルを防ぐ最も大切な欄 |
あわせて読みたい(見積書の作り方とテンプレ)
金額の出し方と、請負・準委任別の見本
作業を細かく分ける
ヒアリング、設計、制作、修正、確認など、工程ごとに分けます。
工程ごとの工数を見積もる
過去の実績から、それぞれ何時間(何日)かかるかを出します。
余裕を持たせる
打ち合わせややりとりの時間、想定外の作業を考え、工数を1.2〜1.3倍程度にします。
自分の単価をかける
目標の手取りから逆算した時間単価や日単価をかけ、相場と見比べて調整します。
請負(成果物を納める仕事)の見本
| 件名 | コーポレートサイト制作(5ページ) |
|---|---|
| 明細 | ディレクション・設計 1式 100,000円/トップページデザイン 1ページ 150,000円/下層ページデザイン 4ページ×40,000円 160,000円/コーディング 5ページ×30,000円 150,000円 |
| 合計 | 小計560,000円/消費税(10%)56,000円/合計616,000円 |
| 納期 | 素材の受領から6週間 |
| 備考 | デザインの修正は各ページ2回まで。3回目以降・ページ追加・原稿作成は別途お見積り。支払いは納品月末締め翌月末払い。有効期限は発行日から30日 |
準委任(稼働に対して報酬を受ける仕事)の見本
| 件名 | Webサイト運用・改善支援 |
|---|---|
| 明細 | 月額 700,000円(2026年10月〜12月の3か月) |
| 稼働時間の幅 | 月140〜180時間。180時間を超えた分は1時間あたり3,900円を追加、140時間を下回った分は1時間あたり5,000円を差し引き |
| 合計 | 月額700,000円+消費税70,000円=770,000円 |
| 備考 | 毎月末に作業報告書を提出し、翌月末払い。契約の更新は期間満了の1か月前までに協議 |
あわせて読みたい(単価と契約の種類)
トラブルを防ぐ書き方のコツ
- 「一式」だけで済ませない項目ごとの内訳があると、値下げの相談を受けたときに削る作業を話し合えます
- 含まれないものを書く原稿作成、写真の撮影、サーバーの費用など、見積もりに入っていないものを明記します
- 修正の回数と範囲を決める回数を超えた修正や、仕様の大きな変更は別料金と書いておきます
- 前提条件を書く素材を受け取る日、確認にかかる期間など、納期の前提を明記します
- 値下げの前に範囲を調整する予算が合わないときは、単価を下げるのではなく、作業の範囲を減らす提案をします
あわせて読みたい(交渉と書類の流れ)
消費税・源泉徴収・インボイスの扱い
- 税抜か税込かを明記する事業者どうしの取引では税抜で示すことも多く、消費税額を分けて書くと誤解がありません
- 源泉徴収される仕事は入金額が変わるデザインや原稿料などは、報酬から10.21%(100万円を超える部分は20.42%)が差し引かれます。消費税を分けて書いておけば、税抜の金額をもとに計算できます
- 見積書はインボイスではない登録番号を書いても構いませんが、インボイスとして必要なのは請求書や領収書などです
- 免税事業者は消費税の扱いを事前に相談するインボイス登録をしていない場合、取引先が消費税の控除を受けられる割合が段階的に下がるため、価格の相談を受けることがあります
- 見積書に収入印紙は不要見積書は印紙税の対象ではありません
あわせて読みたい(請求と税金)
よくある質問(FAQ)
本記事は2026年9月時点の一般的な情報です。源泉徴収の対象になるかどうかや、消費税の扱いは、仕事の内容や課税事業者かどうかによって変わります。判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認してください。
● 見積もりの金額は工数×単価で出し、1.2〜1.3倍の余裕を持たせて相場と見比べる
● 請負は成果物ごとの内訳と修正回数、準委任は月額と稼働時間の幅・精算単価を書く
● 税抜か税込かを明記し、源泉徴収の有無を備考に。見積書は印紙不要でインボイスにはならない
