準委任契約と請負契約の違い|フリーランス向けに7項目の早見表で解説

準委任契約と請負契約の違い|フリーランス向けに早見表で解説

業務委託の仕事を受けるとき、「準委任契約」と「請負契約」のどちらなのかで、報酬がもらえる条件や負う責任が大きく変わります。結論から言えば、2つの違いは「成果物を完成させる義務があるかどうか」の一点で、請負は完成して引き渡してはじめて報酬が発生し、準委任は完成義務がなく業務を行った分の報酬を受け取れます。契約書のタイトルが「業務委託契約書」でも、中身が請負なら請負として扱われます。7項目の早見表、民法の条文にもとづく違い、職種別の傾向、契約前のチェック項目、常駐案件で注意したい偽装請負までまとめました。

目次

【結論】違いは「完成させる義務」があるかどうか

準委任契約と請負契約の違いは、次の3点で押さえます。

  1. 請負は「完成」に対して報酬が払われる完成して引き渡すまで原則として報酬は発生せず、納品後の不具合には契約不適合責任を負います
  2. 準委任は「業務の遂行」に対して報酬が払われる完成義務はなく、専門家として通常期待される注意を払って業務を行えば、稼働に応じて報酬を受け取れます
  3. 契約書の名前ではなく中身で決まる「業務委託契約書」という名前でも、成果物の完成を約束していれば請負として扱われます

短期で成果物を仕上げたいなら請負、収入を安定させたいなら準委任が向いています。同じ80万円の案件でも、途中で中止になったときに、請負なら原則0円、準委任なら稼働した分は請求できるという差が出ます。

業務委託契約そのものの仕組みや、会社員の雇用契約との違いは、別の記事でまとめています。契約の全体像を押さえたうえで、請負と準委任を見分けましょう。

業務委託・請負・準委任の関係

契約の種類民法の条文目的
請負契約第632条仕事を完成させて引き渡す
委任契約第643条契約の締結など法律行為を任せる
準委任契約第656条法律行為以外の事務(業務)を任せる

「業務委託契約」は法律上の契約の種類ではなく、実務上の呼び方です。中身は請負か準委任、またはその組み合わせです。委任は弁護士への訴訟の依頼のような法律行為が対象なので、Web制作やエンジニアの仕事では、ほとんどが請負か準委任になります。

POINT|準委任には2つの型がある

稼働した時間や期間に応じて報酬を受け取る「履行割合型」と、成果に対して報酬を受け取る「成果完成型」があります。成果完成型は報酬の払われ方が請負に似ていますが、完成させる義務までは負いません。フリーランスが接する準委任の多くは履行割合型です。

7項目の早見表と、報酬・責任・解除の違い

項目請負契約準委任契約
目的仕事の完成業務の遂行
完成させる義務あるない(専門家としての注意義務はある)
報酬が発生する時期完成して引き渡したとき業務を行ったとき(期間や稼働に応じて)
納品後の不具合契約不適合責任を負う原則負わない(注意義務違反があれば責任を問われることも)
途中で解除できる人注文者(完成前なら損害を賠償していつでも)双方がいつでも
受注者から辞められるか原則できないできる(相手に不利な時期なら損害賠償が必要なことも)
ほかの人への再委託原則できる相手の許可などがなければできない
出典:民法第632条・第634条・第637条・第641条・第644条・第644条の2・第648条・第648条の2・第651条・第656条(2026年9月確認)。実際の扱いは契約書の定めが優先されることがあります

途中で終わったら報酬はどうなる?

  • 請負原則として完成しなければ報酬はありません。ただし、できあがった部分を分けられ、注文者がその部分で利益を受ける場合は、その割合に応じた報酬を請求できます
  • 準委任途中で終わっても、すでに行った業務の割合に応じて報酬を請求できます

納品後の不具合の責任は?

請負では、納品したものが契約の内容に合わない場合、修理・代わりの品の提供・報酬の減額・損害賠償・解除を求められることがあります。注文者は、不具合を知ってから1年以内に通知すれば、これらを求められます。契約書で責任の期間や上限を決めておくことが大切です。

職種・案件別の傾向と、向いている人

案件の例多い契約理由
Webサイト制作・LP制作請負完成したサイトを納品するため
ロゴ・バナーなどのデザイン請負成果物の引き渡しが目的
常駐・リモートの開発支援準委任月の稼働時間に応じて報酬が決まる
運用・保守、広告運用準委任継続的な業務の遂行が目的
PMO・コンサルティング準委任助言や管理の業務を行うため
請負が向いている人自分の裁量で進めたい、短期間で仕上げて単価を上げたい、成果物の品質に自信がある
準委任が向いている人毎月の収入を安定させたい、仕様が変わりやすい仕事を受ける、完成リスクを負いたくない

お金まわりで変わること(源泉徴収・印紙・見積もり)

  • 源泉徴収は契約の種類ではなく仕事の内容で決まるデザインや原稿料などは、請負でも準委任でも源泉徴収の対象です。プログラミングなどのシステム開発は、原則として対象外です
  • 収入印紙は請負の契約書にかかる紙の請負契約書は、契約金額が1万円以上なら印紙税の対象です。準委任の契約書は原則として対象外で、電子契約なら印紙は不要です
  • 見積もりの出し方が変わる請負は成果物ごとの金額に修正の回数や範囲を明記し、準委任は月額や時間単価と稼働の上限・下限を決めます
  • 請求書の書き方が変わる請負は納品・検収のあとに、準委任は月末など決まった時期に稼働の実績をもとに請求します
出典:国税庁「No.2795 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」「No.7102 請負に関する契約書」(2026年9月確認)

契約前のチェック項目と、常駐で注意したい偽装請負

  • 契約の種類が請負か準委任か、はっきり書かれているかあいまいなら、中身に合わせて明記してもらいます
  • 請負なら成果物と検収の基準が明確か何をもって完成とするか、検収の期限を決めます
  • 請負なら修正の回数や範囲が決まっているか際限のない修正を防ぎます
  • 準委任なら稼働時間の上限・下限と精算の方法があるか時間を超えたときや下回ったときの報酬の扱いを決めます
  • 契約不適合責任の期間と損害賠償の上限があるか責任の範囲を報酬額までなどに限定します
  • 中途解除の予告期間と、それまでの報酬の扱いがあるか途中で終わったときに受け取れる額をはっきりさせます

偽装請負とは?

契約は業務委託でも、実際には発注者の指揮命令のもとで働いている状態を偽装請負といいます。判断されるのは契約書の名前ではなく働き方の実態で、厚生労働省の基準では、業務の進め方や労働時間について発注者から直接指示を受けていないか、自分の業務として独立して処理しているかが見られます。

こんな状態は要注意

発注企業の社員から日々の作業手順を直接指示される、始業・終業時刻を社員と同じように管理される、依頼を断る自由が事実上ない、といった状態は偽装請負にあたるおそれがあります。法的な責任を問われるのは主に発注側ですが、トラブルに備えてやりとりの記録を残し、困ったらフリーランス・トラブル110番に相談しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q準委任契約と請負契約の違いは何ですか?
A成果物を完成させる義務があるかどうかです。請負は完成して引き渡すと報酬が発生し、納品後の不具合に責任を負います。準委任は完成義務がなく、業務を行った分の報酬を受け取れます。
Q業務委託契約は請負と準委任のどちらですか?
A業務委託契約は実務上の呼び方で、中身によって請負か準委任、またはその組み合わせになります。契約書の名前ではなく、成果物の完成を約束しているかなど中身で判断されます。
Q途中で案件が中止になったら報酬はもらえますか?
A準委任なら、すでに行った業務の割合に応じて請求できます。請負は原則として完成しなければ報酬はありませんが、できあがった部分で注文者が利益を受ける場合は、その割合に応じた報酬を請求できます。
Q契約不適合責任とは何ですか?
A請負で納品したものが契約の内容に合わない場合に負う責任です。修理や報酬の減額、損害賠償などを求められることがあり、注文者は不具合を知ってから1年以内に通知すれば請求できます。
Q準委任なら途中で辞められますか?
A準委任は双方がいつでも解除できます。ただし相手に不利な時期に解除すると損害賠償が必要になることがあるため、実務では契約書の解約予告期間に従うのが基本です。
Q準委任でも成果物を求められることはありますか?
Aあります。成果に対して報酬が払われる「成果完成型」の準委任もあります。ただし完成させる義務までは負わないため、請負とは責任の重さが違います。
Q源泉徴収は契約の種類で変わりますか?
A変わりません。源泉徴収は仕事の内容で決まり、デザインや原稿料などは請負でも準委任でも対象です。プログラミングなどのシステム開発は、原則として対象外です。
Q準委任の契約書にも収入印紙は必要ですか?
A準委任の契約書は原則として印紙税の対象外です。紙の請負契約書は、契約金額が1万円以上なら印紙が必要です。電子契約なら、どちらも印紙は不要です。
Q常駐の準委任で毎日朝会に出るのは偽装請負ですか?
A朝会に出ること自体が直ちに問題になるわけではありません。問われるのは、作業の手順や勤務時間を発注者から直接指示・管理されているかどうかです。役割分担を着手前に明確にしておきましょう。
Q請負と準委任はどちらが有利ですか?
A一概には決まりません。自分の裁量で短期間に仕上げて単価を上げたいなら請負、毎月の収入を安定させたい・仕様が変わりやすい仕事なら準委任が向いています。
個別の判断は専門家に相談を

本記事は2026年9月時点の一般的な情報で、法的な助言ではありません。契約の性質は、契約書の内容と実際の働き方によって判断されます。判断に迷う場合は、弁護士やフリーランス・トラブル110番に相談してください。

この記事のまとめ

● 請負は完成に対して報酬、準委任は業務の遂行に対して報酬。契約書の名前ではなく中身で決まる

● 請負は契約不適合責任を負い原則途中で辞められない。準委任は途中でも稼働分を請求できる

● 契約前に種類・検収・修正回数・稼働時間・賠償の上限を確認し、常駐では指示系統に注意する

目次