
フリーランスは、会社員のような育児休業給付金を受け取れません。雇用保険に加入していないためです。ただ、何も支援がないわけではありません。結論から言えば、2026年10月から子が1歳になるまで国民年金保険料が免除される制度が始まり、産前産後の保険料免除・出産育児一時金・妊婦のための支援給付・児童手当と合わせて、使える制度は6つあります。休む間の収入を補う給付はないため、制度で支出を減らし、足りない分は事前に準備する、というのが基本の考え方です。
【結論】育休給付金はないが、支出を減らす制度と一時金は6つある
フリーランスの出産・育児で使える制度は、次の6つです。
- 育児期間の国民年金保険料免除(2026年10月から)子が1歳になるまで、父母ともに保険料が免除。所得の要件なし
- 産前産後の国民年金保険料免除出産月の前月から4か月(多胎は6か月)
- 産前産後の国民健康保険料免除同じ期間の、出産する本人の保険料が免除
- 出産育児一時金原則50万円。出産費用に充てられます
- 妊婦のための支援給付妊娠の届出で5万円、出産後に子ども1人につき5万円
- 児童手当3歳未満は月1万5,000円。所得制限なし
年金の免除期間は、保険料を納めたものとして将来の年金額に反映されます。免除を受けても年金は減りません。
一方で、会社員の出産手当金や育児休業給付金のような「休んでいる間の収入を補う給付」はありません。休む期間の生活費は、事前に計算して準備しておくことが、フリーランスの出産・育児でいちばん大切な備えです。
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なぜフリーランスは育児休業給付金をもらえない?
育児休業給付金は雇用保険の制度で、雇われて働く人のための給付だからです。フリーランスは雇用保険に加入していないため対象外です。産後パパ育休の出生時育児休業給付金、2025年4月に始まった出生後休業支援給付金や育児時短就業給付金も、同じく雇用保険の制度なので使えません。
| 制度 | 会社員 | フリーランス |
|---|---|---|
| 産休・育休を取る権利 | 法律上の権利としてある | ない(取引先との調整) |
| 出産手当金 | あり(給与の約3分の2) | 国民健康保険では実質的にない |
| 育児休業給付金 | あり | ない |
| 年金保険料の免除 | 産休・育休中は厚生年金が免除 | 産前産後4か月+2026年10月から子が1歳まで |
| 健康保険料の免除 | 産休・育休中は免除 | 産前産後4か月の本人分のみ |
| 出産育児一時金・児童手当 | あり | あり(同じ金額) |
2026年10月開始|育児期間の国民年金保険料免除
2026年10月1日から、1歳未満の子を育てる国民年金第1号被保険者は、届出をすれば保険料が免除されます。フリーランスの育児支援として最も大きな前進です。
| 対象 | 1歳未満の子を育てる国民年金第1号被保険者の実父母・養父母(父母ともに対象) |
|---|---|
| 要件 | 子との親子関係が続いていること、子と同じ住所であること。所得の要件や休業の要件はない |
| 免除される期間 | 2026年10月分以降のうち、子が1歳になる日の前月まで |
| 年金への影響 | 保険料を納めたものとして老齢基礎年金の額に反映される |
| 付加保険料 | 届出により、免除期間中も納めることができる |
| 手続き | 市区町村の国民年金窓口・年金事務所などに届出 |
2026年度の国民年金保険料は月1万7,920円です。夫婦ともに第1号被保険者なら、子が1歳になるまで月3万5,840円の保険料がかかりません。2026年10月時点で1歳未満の子がいる人も、10月分以降が対象になります。
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産前産後の国民年金・国民健康保険料の免除
| 項目 | 国民年金保険料(2019年4月から) | 国民健康保険料(2024年1月から) |
|---|---|---|
| 対象 | 出産する第1号被保険者本人 | 出産する国保の被保険者本人 |
| 期間 | 出産(予定)月の前月から4か月。多胎は3か月前から6か月 | 同じ期間に相当する分 |
| 免除される額 | 保険料の全額 | 本人の所得割と均等割 |
| 出産の範囲 | 妊娠85日以上。死産・流産・早産を含む | 妊娠85日以上。死産・流産・早産・人工妊娠中絶を含む |
| 届出 | 市区町村の年金窓口。出産予定日の6か月前から可 | 市区町村の国保窓口。出産予定日の6か月前から可 |
国民健康保険料の免除は出産する本人の分だけで、世帯のほかの人の保険料は変わりません。世帯の保険料がすでに上限額に達している場合は、免除しても保険料が変わらないことがあります。父親側は産前産後免除の対象外ですが、2026年10月からの育児期間の免除は対象です。
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出産・子育てでもらえるお金
| 制度 | 金額 | ポイント |
|---|---|---|
| 出産育児一時金 | 原則50万円 | 産科医療補償制度に未加入の施設などでは48.8万円。直接支払制度で施設に支払われるのが一般的 |
| 妊婦のための支援給付 | 妊娠の届出時5万円+出産後に子1人につき5万円 | 市区町村に申請。2025年4月から制度化 |
| 児童手当 | 3歳未満は月1万5,000円、3歳から高校生年代は月1万円、第3子以降は月3万円 | 所得制限なし。偶数月に2か月分ずつ支給。出生後15日以内の申請が目安 |
| 医療費控除 | 出産費用のうち一時金を超えた自己負担分など | 妊婦健診や通院の交通費も対象になる。確定申告で申告 |
出産費用の無償化はいつから?
2026年5月に改正健康保険法が成立し、正常分娩の標準的な費用を公的保険で賄う新制度が決まりましたが、まだ始まっていません。施行は公布から2年以内(2028年6月まで)に政令で定める日で、当分の間は施設の選択で現在の出産育児一時金の方式も続く見込みです。新制度では、全ての妊婦への定額の現金給付も設けられる予定ですが、金額は未定です。2026年中の出産は、これまでどおり出産育児一時金50万円が支給されます。
休む期間に必要なお金の計算方法と準備
休む期間の生活費は、次の式で必要額を逆算します。
| 計算式 | (月の生活費×休む月数)+出産費用の自己負担分+休む間も払う固定費-受け取れる給付 |
|---|---|
| 例|生活費 | 月25万円×8か月(休業6か月+復帰後の入金待ち2か月)=200万円 |
| 例|出産費用の自己負担 | 15万円(一時金を超えた分) |
| 例|固定費 | 国民健康保険料・住民税など20万円 |
| 例|給付 | 妊婦のための支援給付10万円、児童手当(8か月分)12万円 |
| 必要額 | 約213万円 |
仕事を再開しても、案件を決めて稼働し、請求して入金されるまでには時間がかかります。月末締め・翌月末払いなら、再開から最初の入金まで2か月程度は収入がないと考えておきましょう。6か月休むなら、資金は8か月分を目安に準備します。
収入をゼロにしない工夫は?
- 稼働を減らして一部の仕事だけ続ける月数万円でも収入がある状態を保つと、復帰がはるかに楽になります
- 納期に余裕のある仕事に組み替える即時の対応が求められる運用系より、成果物の納品型が向いています
- 週3日やリモートの案件を探しておく子育てと両立しやすい条件の案件は、エージェントで探すと効率的です
- 所得控除で税金を減らしておく収入が減る年は、配偶者控除の対象になるかも確認しましょう
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取引先との調整と、フリーランス新法の配慮義務
フリーランス新法では、6か月以上の業務委託を受けているフリーランスから申出があれば、発注者は育児や介護と両立できるよう配慮しなければなりません。6か月未満の業務委託でも、配慮に努める義務があります。
- 伝える時期安定期に入ったころに、休む時期と期間の見込みを伝えます
- 伝える内容休む期間、その間に対応できること・できないこと、復帰の見込み、代わりの担当の提案
- 記録を残す合意した内容はメールなど文字で残します
取引先に休業を伝えるメール(例文)
件名:【ご相談】2027年春の稼働調整について
〇〇様
いつもお世話になっております。〇〇です。
私事で恐縮ですが、2027年3月に出産を予定しており、2月から7月まで稼働を減らしたいと考えております。
この期間は、週1回の定例と軽微な修正対応のみ可能です。新規の制作は8月以降に再開できる見込みです。必要でしたら、この期間を補える協力者のご紹介もいたします。
ご迷惑をおかけしますが、進め方についてご相談させてください。
保育園に入るときの注意は?
フリーランスも保育園の申込みはできますが、働いていることを書類で示す必要があります。自営業用の就労証明書に加えて、開業届の控えや確定申告書の写し、業務委託契約書などの提出を求められることが多いため、市区町村の案内を早めに確認しておきましょう。
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よくある質問(FAQ)
本記事は2026年9月時点の制度にもとづく一般的な情報です。制度の詳細や手続きは、市区町村や加入している健康保険によって異なる場合があります。届出の前に、市区町村の窓口や年金事務所で最新の内容を確認してください。
● 育児休業給付金はないが、年金・国保の免除、一時金50万円、支援給付、児童手当の6制度が使える
● 2026年10月から子が1歳まで国民年金保険料が免除。父母ともに対象で年金額も減らない
● 休む間の収入を補う給付はないため、復帰後の入金待ちまで含めて資金を逆算して準備する

