
- 業務で作った成果物は、著作権と守秘義務の両方を確認してから載せます。片方をクリアしても、もう片方は別に残ります
- 会社員時代の制作物は勤務先(著作権法15条の職務著作)、業務委託は契約の譲渡条項次第で権利者が変わります
- 載せられない場合も、抽象化・自主制作・プロセス提示の3つで実力は示せます
- 提出時は成果物だけでなく、担当範囲と「なぜそうしたか」を必ず添えます
エージェントに登録すると、職種によってはポートフォリオの提出を求められます。このとき多くの人がつまずくのが「業務で作ったものを載せていいのか」という問題です。結論から言うと、許可を得ずに掲載すると、著作権の侵害や守秘義務の違反になるおそれがあります。しかも著作権と守秘義務は別の制約で、片方をクリアしてももう片方が残ることがあります。この記事では、提出が求められる場面と形式、権利関係の判断のしかた、掲載可否を3ステップで判断する手順、許可の取り方と依頼メールの例文、掲載できないときの代替手段、添えるべき情報、職種別の注意点、提出前のチェックリストまでを、フリーランス歴10年以上の運営者の視点で1ページにまとめました。
📋 この記事でわかること
ポートフォリオはどんな場面で求められる?
結論:すべての職種で必須というわけではありません。スキルシートだけでは説明しきれない部分を補う書類という位置づけで、視覚的・具体的な成果物がある職種ほど重視されます。エンジニアのようにスキルシートが中心の職種では、あくまで加点材料です。
| 職種 | 重要度 | 主に見られるもの |
|---|---|---|
| デザイナー・クリエイター | 必須に近い | 制作物そのものと、その意図 |
| ライター・編集 | 重視される | 執筆記事、担当した企画 |
| エンジニア | 補助的 | スキルシートが中心。公開コードは加点材料 |
| マーケター・ディレクター | 案件による | 施策の内容と、担った役割 |
| 動画編集・映像制作 | 必須に近い | 編集した映像そのものと、担当した工程 |
スキルシートとはどう役割が違う?
結論:スキルシートが「経歴と技術の一覧」だとすれば、ポートフォリオはその結果として何を生み出せるのかを示す資料です。読み手が確認したい点も、判断のしかたも異なります。
| 項目 | スキルシート | ポートフォリオ |
|---|---|---|
| 示すもの | 経歴・工程・使用技術の一覧 | 成果物と、そこに至る判断 |
| 読み手が見る点 | 案件の要件を満たしているか | 任せたときの品質と考え方 |
| 形式 | 表形式が中心 | ウェブサイト、資料、ファイル |
| 提出先 | エージェント経由でクライアントへ | 同左(案件により省略されることもある) |
両方を提出する場合は、担当した工程や時期が両者で食い違わないように整合を取っておくことが大切です。書類の間に矛盾があると、面談で説明を求められたときに信頼を損ないます。
提出書類の話の前に、エージェントがどう案件を紹介し、どこで収益を得ているのかを知っておくと、担当者への相談も具体的になります。仕組みからまとめて押さえたい人は、フリーランスエージェントの基礎知識|仕組みと使い方を解説を先に読んでおくとスムーズです。
提出のタイミングと形式はどうする?
結論:求められる場面は主に3つあり、それぞれ読み手も目的も違います。同じものをそのまま出すより、場面に応じて構成を調整できるのが理想です。
| 場面 | 読み手 | 目的 | 意識すること |
|---|---|---|---|
| エージェント登録・初回面談 | 担当者 | どんな案件を紹介できるかの判断 | 得意領域と対応できる工程がひと目で分かること |
| 案件への提案・書類選考 | クライアントの担当者 | 他の候補者との比較 | その案件に近い実績を前半に置くこと |
| クライアントとの面談 | 現場の責任者 | 会話しながら考え方を確認 | 1点ずつ短く説明できるように準備すること |
形式は何を用意すればいい?
結論:指定がある場合はそれに従うのが原則で、指定がなければウェブサイトのURLとファイルの両方を用意しておくと対応しやすくなります。企業によっては外部サイトへのアクセスが制限されていることもあるため、ファイルでも渡せる状態にしておくと安心です。
- ウェブサイト(URL):更新しやすく、最新の状態を共有しやすい。限定公開やパスワードで閲覧範囲を絞れる
- ファイル(資料形式):社内で回覧・印刷しやすい。閲覧環境に左右されにくい
- スライド形式:面談で画面を共有しながら説明する場面に向いている
容量や見せ方で気をつけることは?
結論:読み手は短時間で目を通すため、冒頭に代表作を数点置き、詳細は後半に回す構成にします。画像を大量に入れたファイルは送信や閲覧に支障が出ることがあるので、画像は圧縮し、ファイル名にも氏名と職種を入れておきましょう。
ウェブ上で公開する場合、限定公開やパスワード設定を使うと、見せる相手を絞れます。取引先への配慮が必要な内容を含むときは、検索エンジンに登録されない設定にしたうえで、閲覧用のURLとパスワードを個別に伝える方法が有効です。許可を得る際も、この形なら相手が承諾しやすくなります。
なお、一般公開できる作品だけでまとめたポートフォリオサイトを持っておくと、エージェントへの提出以外にも使えます。公開しているページのURLを登録情報に添えておくと、企業側から声がかかる逆オファーにつながることもあります(逆オファーの仕組みとオファーを増やす方法)。
業務で作ったものは載せていい?権利の考え方
結論:最も注意が必要な論点で、業務で制作した成果物を無断で掲載することは避けるべきです。確認すべき制約は「著作権が誰にあるか」と「守秘義務に触れないか」の2つで、この2つは別々に判断する必要があります。
| 確認すること | 何が問題になるか | クリアする方法 |
|---|---|---|
| 著作権(誰が権利を持つか) | 権利者に無断で公開すると、著作権の侵害になるおそれがある | 権利者を確認し、掲載の許諾を得る |
| 守秘義務(公開してよい情報か) | 公開前の情報や非公開の数値を出すと、契約違反になるおそれがある | 公開済みの範囲に限る、または開示の許可を得る |
| 素材の利用規約 | 画像・フォント・音源が、掲載時の使い方を想定していないことがある | 規約で用途と範囲を確認する |
| クライアント名の表示 | 権利や情報が問題なくても、社名の公表を望まない企業がある | 「業界+規模」の表記に置き換える、または明示的に許可を得る |
会社員時代に作ったものは誰の権利?
結論:多くの場合、著作権は勤務先にあります。著作権法15条の「職務著作(法人著作)」にあたると、作った本人ではなく法人が著作者になるためです。職務著作が成立するのは、次の要件を満たす場合とされています。
- 法人等の発意に基づいて作られたこと:会社の指示や企画から始まった制作であること
- その法人等の業務に従事する者が職務上作成したこと:担当業務として作ったものであること
- その法人等の著作名義で公表するものであること:会社の名前で世に出る成果物であること
- 作成時の契約・勤務規則その他に別段の定めがないこと:本人を著作者とする取り決めが、作成の時点で存在しないこと
つまり、会社員として担当業務で作ったウェブサイトや広告物は、原則として会社が著作者です。「自分が作ったのだから自由に使える」という理解は、多くの場合あてはまりません。退職していても権利関係は消えないため、掲載したい場合は元の勤務先に確認するのが基本です。
業務委託で作ったものはどうなる?
結論:業務委託の場合、職務著作は原則として成立せず、著作権はまず制作したフリーランス本人に発生します。ただし多くの契約には著作権の譲渡条項が入っており、その場合は納品時や報酬の支払時に権利がクライアントへ移ります。したがって、結論は契約書の中身次第です。次の4点を確認しましょう。
- 著作権の譲渡条項があるか:「著作権を譲渡する」と書かれていれば、権利者はクライアントです
- 27条・28条の権利が「特掲」されているか:翻案権(27条)と二次的著作物の利用に関する権利(28条)は、譲渡契約で特掲されていないと譲渡した側に留保されたものと推定されます(著作権法61条2項)。「(著作権法27条および28条に定める権利を含む)」の一文があるかを確認します
- 著作者人格権の不行使条項があるか:著作者人格権は譲渡できないため、「行使しない」という条項で処理されるのが一般的です。氏名表示や改変の扱いに関わります
- 実績としての公表を認める条項があるか:「受託者は本件成果物を実績として公表できる」といった条項があれば、その範囲で掲載できます
権利で毎回悩まないための根本的な対策は、契約を結ぶ段階で実績公開の可否を決めておくことです。「受託者は、本件成果物および委託者の名称を、自己の実績として公表することができる。ただし、公表の範囲は別途協議する」といった一文があるだけで、後から許可を取り直す手間がなくなります。難しい場合でも、「発注者名を伏せた形での実績公表は可能とする」といった限定的な形なら受け入れられることがあります。
守秘義務は著作権と何が違う?
結論:著作権が「誰が権利を持つか」の問題であるのに対し、守秘義務は「その情報を外に出してよいか」の問題です。著作権の許諾を得ても、守秘義務の対象になる情報は別に確認が必要です。次のようなものは、典型的に注意すべき対象です。
- 公開前の制作物:まだリリースされていないデザイン、開発中の画面、公開前のロゴなど
- 未発表の企画・提案資料:採用されなかった案や、社内で検討中の内容
- 非公開の数値:売上、会員数、広告費、改善率などの実数
- 社内資料や管理画面:一般には見られない画面のスクリーンショットなど
- 関係者の氏名や連絡先:資料に写り込んだ個人情報
すでに一般公開されているものと、公開前のものとでは扱いが根本的に違います。公開済みのウェブサイトであっても、制作の経緯や社内でのやり取りは非公開情報にあたることがある点にも注意してください。
掲載できるかを3ステップで判断する
結論:迷ったときは「公開済みか → 権利者は誰か → 許可があるか」の順に3つだけ確認します。この順序で見れば、たいていのケースは数分で判断できます。
- その成果物はすでに一般公開されているか|公開前ならこの時点で掲載不可。守秘義務の対象です
- 著作権の権利者は誰か|会社員時代の制作物は原則として勤務先。業務委託は契約書の譲渡条項を確認します
- 権利者から掲載の許可を得ているか|自分に権利が残っている場合でも、守秘義務とクライアント名の表示は別に確認が必要です
ケース別の早見表
| ケース | 掲載の可否 | 取るべき行動 |
|---|---|---|
| 自主制作・学習用の作品 | そのまま掲載可 | 実務作品でないことを明記する |
| 会社員時代に担当した公開済みの制作物 | 要確認 | 元の勤務先に掲載許可を依頼する |
| 会社員時代の非公開・社内向け制作物 | 原則として不可 | 抽象化して文章で説明する形に切り替える |
| 業務委託で著作権を譲渡した公開済み成果物 | 要確認 | クライアントに掲載許可を依頼する |
| 業務委託で著作権が自分に残る公開済み成果物 | 条件つきで可 | 守秘義務と社名表示の可否だけ確認する |
| 契約に「実績公表可」の条項がある成果物 | 条項の範囲で可 | 範囲(社名・数値)を条文どおりに守る |
| 公開前・開発中のもの、非公開の数値を含むもの | 不可 | 公開後に改めて許可を取るか、別の手段を使う |
許可はどうやって取ればいい?
結論:掲載したい成果物があるなら、権限を持つ担当者に確認するのが最も確実です。依頼するときに条件を具体的に示すほど、相手は判断しやすくなり、許可も得られやすくなります。次の4点を明確にして依頼しましょう。
- どの成果物を掲載したいのか:対象を具体的に特定します
- どこに、どの範囲の相手に見せるのか:「エージェントとクライアント企業への提出のみ」「限定公開のページ」など
- 企業名や詳細をどこまで記載してよいか:社名を出す・伏せる、数値を載せる・載せないを確認します
- 閲覧制限をかけるかどうか:パスワード設定や検索エンジンに登録しない設定にする旨を伝えます
件名:制作物の実績掲載についてのご相談
「お世話になっております。〇〇です。
現在、案件提案用のポートフォリオを整えており、貴社で担当させていただいた〇〇(制作物名)を実績として掲載させていただけないかご相談です。
・掲載先:エージェントおよび提案先企業のみに共有する資料(一般公開はいたしません)
・掲載内容:公開済みの画面3点と、担当工程・使用ツールの説明
・貴社名:記載可・不可のいずれでも対応いたします(不可の場合は「〇〇業界の企業様」と表記します)
・非公開の数値や公開前の情報は一切掲載いたしません
ご都合の悪い点があれば、掲載範囲を調整いたします。お手数ですが、可否をご返信いただけますと幸いです。」
やり取りはメールなど記録の残る形で行い、返信を保存しておきましょう。口頭の了解だけでは、後から範囲の認識が食い違うことがあります。
著作権の帰属や守秘義務の範囲は、締結した契約の内容によって結論が変わります。この記事は一般的な考え方を示すものであり、法的な助言ではありません。判断に迷う場合は、掲載前に契約書の原文を確認し、必要に応じて弁護士などの専門家や、厚生労働省から委託を受けた第二東京弁護士会が運営する「フリーランス・トラブル110番」(無料の弁護士相談窓口。匿名での相談も可能)に相談してください。
無断掲載は契約違反や権利侵害として、契約解除や損害賠償の問題に発展する可能性があります。
掲載できないときはどうすればいい?
結論:許可が取れない、あるいは確認が難しい場合でも、実力を示す方法は3つあります。「載せられないから何も出せない」ではなく、出せる形に変えて示すのが実務的な対応です。
| 代替手段 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 情報を抽象化して記述する | 成果物は見せられないが、経験は豊富にある | どこまで書けるかは契約次第。業界名や規模の記載も確認が必要 |
| 自主制作で置き換える | 実務作品がすべて非公開、または職種を変えたい | 実務作品でないことを明記する |
| プロセスを再構成して見せる | 考え方や設計力を評価してほしい | 実際の案件をそのまま使わない |
情報を抽象化するとはどう書くこと?
結論:成果物そのものを見せられなくても、業界・規模感・課題・自分の担当範囲を文章で説明することは可能な場合があります。「大手小売業の会員向けサイトのリニューアルで、情報設計と画面設計を担当」といった書き方であれば、具体名を出さずに経験を伝えられます。ただし、業界と規模を組み合わせると企業が特定できてしまうこともあるため、どこまで書けるかは契約内容とあわせて確認しましょう。
自主制作で置き換える方法は?
結論:実務で培ったスキルを使って、公開できる制作物を新たに作る方法です。狙う案件の領域に合わせて作れば、実務作品より的確なアピールになることもあります。架空のサービスを設定し、課題・要件・制約を自分で定義したうえで制作すると、判断の過程まで示せます。制約を逆手に取った現実的な選択肢です。
プロセスを見せるとは何をすること?
結論:完成物が出せなくても、課題の捉え方や検討の過程を再構成した資料は作れます。実際の案件そのままではなく、考え方を示す教材として組み直す形なら、守秘義務に触れずに思考の質を伝えられます。「どんな課題があり、どの選択肢を検討し、何を基準に決めたか」という流れで1〜2ページにまとめると、面談での説明にも使えます。
提出時に添えるべき情報は?
結論:成果物だけを渡しても、読み手はそれが自分ひとりの成果なのか、チームの一部を担当したのかを判断できません。次の5つの情報を必ず添えましょう。
- 担当範囲:どこからどこまでを自分が担ったか。チーム制作なら人数と自分の役割
- 与えられた条件:目的、想定した相手、制約となった要件
- 判断したこと:なぜその形にしたのか。ここが実力の伝わる部分
- 使用した技術やツール:案件要件との照合に使われる
- 制作時期と期間:いつの実力なのか、どのくらいの速さで作れるのかを示す
とくに「なぜそうしたのか」の説明があるかどうかで、印象は大きく変わります。見た目の完成度だけでは、他の候補者との差がつきにくいためです。
どう書けば伝わりやすい?
結論:抽象的な形容より、条件と判断をセットで書くほうが伝わります。書き方の違いを比べてみてください。
| 伝わりにくい書き方 | 伝わりやすい書き方 |
|---|---|
| 「使いやすさを重視してデザインしました」 | 「利用者の多くが小さい画面から閲覧する想定だったため、申し込み動線を1画面に集約し、入力項目を9つから5つに絞りました」 |
| 「サイト制作を担当しました」 | 「4名のチームで、情報設計と全ページの画面設計を担当(実装は別のメンバー)」 |
| 「集客に貢献しました」 | 「検索経由の流入を増やす目的で、記事構成の設計と月8本の編集を担当(数値は非公開のため記載を控えます)」 |
数値を出せない場合でも、「非公開のため記載を控える」と書き添えることで、成果がなかったわけではないと伝わります。
職種別に気をつけることは?
結論:職種によって、読み手が見る点も権利上の注意点も変わります。自分の職種の項目を確認してください。
デザイナーは何を意識する?
結論:点数を絞り、狙う領域に近い作品を前に置きます。完成形だけでなく、課題をどう解いたかの説明を添えると評価されやすくなります。幅広さを見せたい気持ちで詰め込むと、かえって専門性がぼやけます。使用したフォントや写真素材のライセンスが、掲載時の使い方を認めているかも確認しましょう。
エンジニアは何を意識する?
結論:スキルシートが中心となるため必須ではないことが多いものの、公開できるコードや個人開発があれば加点材料になります。業務コードの持ち出しは契約違反や情報漏えいになる可能性が高いため、絶対に避けてください。公開する場合も、接続情報・鍵・社内の識別子などが履歴に残っていないかを確認し、読み手が短時間で概要をつかめる説明書きを添えます。
ライター・編集は何を意識する?
結論:記名記事はそのまま提出しやすい一方、無記名や代筆の記事は、執筆者だと明かすこと自体が契約で禁じられている場合があります。掲載可否を確認できない場合は、媒体の性質とテーマ、担当した工程(構成・取材・執筆・編集のどこか)を文章で説明する形に切り替えます。
マーケター・ディレクターは何を意識する?
結論:成果を示す数値は守秘義務に触れやすい領域です。実数を出せない場合は、施策の設計意図と自分の判断を中心に構成するほうが安全で、かつ再現性のある能力として伝わります。どうしても規模感を示したい場合は、実数の代わりに「前年同期比で改善」といった相対的な表現が使えるかを、権限のある担当者に確認しましょう。
動画編集・映像制作は何を意識する?
結論:使用した音源・効果音・素材映像のライセンスが、ポートフォリオへの掲載を認めているかを確認します。出演者が写っている場合は、肖像の使用について本人やクライアントの了解が必要になることがあります。長尺の作品は、冒頭に30秒程度のまとめを置くと最後まで見てもらいやすくなります。
提出前に確認するチェックリスト
結論:送る直前に、権利・情報・内容の3方向から確認します。一度提出したものは取り消せないため、10項目を機械的に確認する習慣をつけておくと安全です。
- 掲載する成果物の権利者を確認したか:会社員時代のものは勤務先、業務委託のものは契約書で確認
- 掲載の許可を記録の残る形で得たか:メールの返信を保存し、許可の範囲も控えておく
- 公開前の情報が含まれていないか:未公開のデザイン、開発中の画面、未発表の企画
- 非公開の数値が残っていないか:売上、会員数、広告費、社内の指標
- 個人情報が写り込んでいないか:氏名、メールアドレス、電話番号、顔写真
- 素材のライセンスを確認したか:フォント、写真、音源、素材映像
- クライアント名の表記が許可の範囲か:社名を出す場合は明示的な許可があるか
- 担当範囲を正確に書いたか:チームの成果を自分ひとりの成果に見せていないか
- スキルシートと内容が食い違っていないか:時期・工程・役割の整合
- ファイルが開ける形式・容量か:リンク切れ、権限設定、画像の重さを確認
ポートフォリオは、エージェントを通じて複数の企業に渡ります。同じ業界であれば、掲載した成果物の関係者の目に触れる可能性は十分にあります。無断掲載が発覚した場合、その案件を落とすだけでなく、元の取引先との契約にも影響します。判断に迷うものは載せない、という基準を持っておきましょう。
ポートフォリオ提出のよくある質問
結論:提出時に迷いやすい10の疑問に、判断の基準が分かる形で回答します。
まとめ:権利を確認したうえで、判断の理由まで見せる
結論:ポートフォリオで問われるのは、作品の見栄えだけではありません。権利と守秘義務を確認したうえで、担当範囲と判断の理由まで説明できているかが、そのまま仕事の任せやすさの評価につながります。載せられないものがあっても、抽象化・自主制作・プロセスの提示という代替手段で実力は示せます。
● ポートフォリオはデザイナー・動画編集で重視され、エンジニアではスキルシートが中心。職種によって位置づけが変わる
● 確認すべき制約は「著作権」と「守秘義務」の2つ。片方をクリアしても、もう片方は別に残る
● 会社員時代の制作物は、職務著作(著作権法15条)にあたると会社が著作者になる。退職後も権利関係は消えない
● 業務委託の成果物は原則として本人に著作権が発生するが、譲渡条項があればクライアントに移る。27条・28条は特掲がなければ留保と推定(61条2項)
● 迷ったら「公開済みか → 権利者は誰か → 許可があるか」の3ステップで判断する
● 掲載したい成果物は、対象・掲載先・社名の可否・閲覧制限の4点を示して、記録の残る形で許可を得る
● 載せられない場合は、情報の抽象化・自主制作での置き換え・プロセスの再構成という3つの代替手段がある
● 提出時は、担当範囲・条件・判断した理由・使用技術・制作時期の5点を必ず添える
● 送る前に、権利・非公開情報・個人情報・素材ライセンスなど10項目をチェックする
書類の見せ方に迷ったら、エージェントの担当者に相談するのが近道です。スキルシートやポートフォリオの添削に対応している会社なら、案件の選考基準を踏まえた指摘をもらえます。エージェントの仕組みから確認したい場合はエージェントの基礎知識、利用前の注意点は時期別の注意点もあわせてご覧ください。

