
「カスタマージャーニーマップを作ってほしいと言われたけれど、何をどこまで書けばいいの?」「作っても使われない」と迷っていませんか。結論から言えば、カスタマージャーニーは「目的と人物を決め、段階ごとの行動・気持ち・接点・課題・打ち手を、データで裏づけながら書き、提案と改善に使う」ことで、案件で役立つ成果物になります。ペルソナとの違い、マップの項目、作り方の手順、そのまま使える記入例、使うデータ、案件での使い方と進め方まで、このページで整理しました。
【結論】カスタマージャーニーはどう作り、案件でどう使えばいい?
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを知ってから、比べ、申し込み、使い続けるまでの体験の流れのことで、それを段階ごとに表にまとめたものをカスタマージャーニーマップと呼びます。案件で使うには、次の3つを押さえてください。
- 目的と人物を先に決める何を改善するためのマップか、誰の体験を描くかを決めてから作る
- 課題と打ち手まで書く段階ごとの行動・気持ち・接点に加え、つまずく場所と、それを解消する施策まで落とし込む
- データで裏づけ、更新し続ける顧客の声やアクセス解析で確かめ、わからない部分は仮説と明記し、施策の結果を反映して直す
マップは完成させることより、関係者の顧客理解をそろえ、次の打ち手を決めるための道具として使うことが大切です。
顧客体験を設計できるスキルは、マーケティングやUXの案件で上流から関わる力になります。このスキルを活かせる案件を探すなら、エージェントで比べる方法もあります。
カスタマージャーニーとは?案件で求められる理由
カスタマージャーニーマップは、ある人が目的を果たすまでにたどる過程を、段階ごとに見える形にしたものです。UXの調査で知られるNielsen Norman Groupは、ジャーニーマップを「人が目的を達成するためにたどるプロセスを視覚化したもの」と説明し、構成要素として「人物」「状況と期待」「段階」「行動・考え・感情」「改善の機会」を挙げています。
マーケティングやUXの案件でよく使われるのは、施策を顧客の視点で1本の流れにつなげられるからです。
- 施策に一貫性が出る広告・LP・メールなどが、段階ごとの役割を持ってつながる
- つまずきが見つかる離脱や不満が起きる場所と理由が見える
- 関係者の認識がそろうクライアントやチームと共通の言葉で議論できる
- 提案に根拠が生まれる「なぜこの施策か」を段階と課題で説明できる
フリーランスにとっては、言われた作業をこなすだけでなく、顧客体験の全体を考えた提案ができる人材として、上流の工程から任されるきっかけにもなります。
ペルソナやファネルとは何が違う?
ペルソナは「誰か(人物像)」、カスタマージャーニーは「その人がたどる体験の流れ」、ファネルは「各段階に残る人の数」を表します。別のものですが、組み合わせて使います。
| 比べる点 | ペルソナ | カスタマージャーニー | ファネル |
|---|---|---|---|
| 表すもの | 対象となる人物の具体的な像 | その人物がたどる体験の流れ | 段階ごとに進む人の数と割合 |
| わかること | 誰に届けるか | どう体験し、どこでなぜつまずくか | どの段階で何人減っているか |
| 時間の流れ | 基本的になし | あり(知る段階から継続まで) | あり(段階の順) |
| 主な使い方 | 対象の認識をそろえる | 体験を設計し、課題を見つける | 数字で改善の優先順位を決める |
実務では、ペルソナを決めてから、その人のジャーニーを描き、ファネルの数字で課題の大きさを確かめる順番が基本です。誰の体験かがあいまいなまま描くと、行動や気持ちがぼやけて使えないマップになります。
カスタマージャーニーマップはどう作る?6つの手順
マップは「目的、人物、段階、中身、課題と打ち手、検証」の順に作ります。専用のツールがなくても、スプレッドシートやオンラインホワイトボード(付箋を貼れるツール)で始められます。
目的とゴールを決める
「問い合わせを増やす」「申し込み後の解約を減らす」など、何を改善するためのマップかを決めます。目的によって、描く範囲と細かさが変わります。
人物(ペルソナ)と状況を決める
誰が、どんな状況で、何を期待して行動するのかを具体的にします。法人向けでは、担当者と決裁者など関わる人が複数いる点にも注意します。
段階(フェーズ)を並べる
知る、興味を持つ、比べる、申し込む、使い続けるなど、対象のサービスに合う段階を横に並べます。
行動・気持ち・接点を書き出す
段階ごとに、顧客が取る行動、考えていることや感情、触れる接点(検索、SNS、LP、営業、サポートなど)を埋めます。
課題を見つけ、打ち手に落とす
つまずきや不満が起きる場所を見つけ、それを解消する施策やコンテンツを書きます。影響の大きいものから優先順位を付けます。
データで確かめ、更新する
裏づけのない部分は「仮説」と明記し、顧客の声や数字で確かめます。施策の結果を反映して、定期的に見直します。
この記事では、縦軸に次の6項目を置く形をおすすめします。Nielsen Norman Groupの構成要素に、案件で使う「打ち手」と「見る指標」を加えたものです。
| 行動 | その段階で顧客が実際に取る行動(検索する、比較サイトを見る、問い合わせるなど) |
|---|---|
| 考え・感情 | 何を考え、どう感じているか(期待、不安、迷いなど) |
| 接点(タッチポイント) | 顧客が触れる場所(検索結果、SNS、広告、LP、営業、サポートなど) |
| 課題(ペイン) | つまずき、不満、離脱が起きる場所と理由 |
| 打ち手 | 課題を解消するための施策やコンテンツ |
| 見る指標 | 打ち手の効果を確かめる数字(クリック率、問い合わせ数など) |
記入例は?ホームページ制作を依頼するまでのマップ
記入例として、小さな飲食店の店主が、ホームページ制作をフリーランスに依頼するまでのマップを示します。人物は「予約をもっと増やしたいが、ホームページの知識がない店主」です。
| 段階 | 行動 | 考え・感情 | 接点 | 課題 | 打ち手 |
|---|---|---|---|---|---|
| 知る | 予約が伸びず、原因を検索する | 何が悪いのかわからない | 検索結果、SNS | 自分の悩みに合う情報が見つからない | 「予約が増えないお店のよくある原因」の記事 |
| 興味を持つ | 改善方法の記事や事例を読む | 自分でもできるのか、頼むべきか迷う | 記事、事例ページ | 専門用語が多く、判断できない | 専門用語を使わない解説と、同業種の事例 |
| 比べる | 制作会社やフリーランスを比べる | 費用がいくらか、失敗しないか不安 | サービス紹介ページ、料金ページ | 料金の目安や進め方がわからない | 料金の目安、制作の流れ、よくある質問を載せる |
| 申し込む | 問い合わせフォームから相談する | しつこく営業されないか心配 | 問い合わせフォーム | 入力項目が多く、途中でやめる | 項目を減らし、「相談だけでも大丈夫」と添える |
| 使い続ける | 公開後に更新や相談をする | 自分で更新できるか不安 | メール、打ち合わせ | 更新方法がわからず放置する | 更新マニュアルと、月額の保守の案内 |
マップの精度を上げるには?使うデータと調べ方
精度を上げる基本は、作り手の想像ではなく、顧客の声と行動のデータで裏づけることです。次の情報源を組み合わせます。
| 情報源 | わかること | 使う段階 |
|---|---|---|
| 顧客インタビュー | 行動の理由、迷い、決め手 | すべての段階 |
| アンケート | 多くの顧客に共通する傾向 | 比べる、使い続ける |
| 問い合わせや営業の記録 | 申し込み前によく出る質問や不安 | 比べる、申し込む |
| Search Console | どんな言葉で検索して訪れているか | 知る、興味を持つ |
| GA4(経路データ探索、目標到達プロセスデータ探索) | どのページからどこへ進み、どこで離脱しているか | 興味を持つ〜申し込む |
| ヒートマップツール | ページのどこまで読まれ、どこが押されているか | 比べる、申し込む |
データがない部分は「仮説」と明記して進め、後から検証して更新する前提にすると、信頼されやすいマップになります。インタビューで顧客の個人情報を扱う場合は、利用目的を伝え、取り扱いのルールをクライアントと確認しておきましょう。
あわせて読みたい(データの読み方と改善)
案件ではどう使う?活用場面と提案の進め方
カスタマージャーニーは、マーケティング戦略、コンテンツ企画、サイトやLPの改善、広告、メールなど、幅広い案件で「上流の設計図」として使えます。
| 案件 | マップの使い方 |
|---|---|
| マーケティング戦略 | 施策を段階ごとに整理し、抜けている段階を見つける |
| コンテンツ企画 | 段階ごとの悩みに合わせて、記事や資料のテーマを決める |
| サイト・LPの改善 | 離脱が起きる接点を特定し、導線や訴求を直す |
| 広告・SNS | 段階に合ったメッセージと媒体を選ぶ |
| メール・顧客管理 | 検討中・申し込み後など、段階ごとの連絡を設計する |
提案では、マップを「見せる」だけでなく「そこから次の一手を提案する」ことが大切です。たとえば「比べる段階で料金への不安が残って離脱している。だから料金の目安とよくある質問を追加する」のように、課題と打ち手をセットで伝えます。コンテンツ制作の案件でも、「この記事は比べる段階の不安を解消するもの」と位置づけて提案すると、単なる記事の納品との違いが伝わります。
- マップの目的と、対象にする人物をクライアントと合意した
- 顧客の声や数字の裏づけがある部分と、仮説の部分を分けて示した
- 課題ごとに打ち手と、効果を見る指標を書いた
- 打ち手に優先順位を付け、最初に取り組むものを提案した
- 見直しの時期と、更新の担当を決めた
あわせて読みたい(企画と提案に活かす)
よくある失敗は?作ったのに使われないマップの直し方
よくある失敗は「作って満足する」「作り手の想像で埋める」「細かさが目的に合っていない」「感情を書いて終わる」の4つです。
| よくある失敗 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 作って満足する | 資料として保存されるだけで、施策に使われない | 打ち手と指標までつなげ、見直しの時期を決める |
| 作り手の想像で埋める | 実際の顧客とずれ、施策が外れる | 顧客の声や行動データで裏づけ、仮説は明記する |
| 細かさが目的に合わない | 粗すぎて使えない、細かすぎて更新できない | 目的に合わせて段階の数と書く量を調整する |
| 感情を書いて終わる | 共感はできても、次に何をするかが決まらない | 課題と打ち手まで必ず書く |
マップは一度作って終わりの作品ではなく、施策の結果を反映して育てていく道具です。更新し続ける姿勢が、クライアントからの信頼につながります。
よくある質問(FAQ)
カスタマージャーニーは、顧客が知ってから使い続けるまでの体験の流れ。ペルソナ(誰か)を決めてから描き、ファネルの数字で課題の大きさを確かめる
作り方は目的・人物・段階・行動と気持ちと接点・課題と打ち手・検証の6つの手順。縦軸は行動・考えと感情・接点・課題・打ち手・見る指標の6項目で、顧客の声やGA4・Search Consoleなどで裏づける
案件ではマップを見せるだけでなく、課題と打ち手をセットで提案し、優先順位と見直しの時期を決める。作って満足せず、施策の結果を反映して更新し続ける
顧客体験を設計できるスキルは、そのまま上流から関われるフリーランスとしての強みになります。この強みを活かせるマーケティングやUXの案件を、複数のエージェントで比べてみましょう。

