フリーランスの確定申告|初めてでも分かるやり方を5ステップで解説

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独立して初めて迎える確定申告は、「何から手をつければいいのか分からない」という人がほとんどです。会社員時代は会社が年末調整でやってくれていた税金の手続きを、フリーランスは自分で行う必要があります。この記事では、初めてのフリーランスでも迷わず確定申告を終えられるよう、申告が必要な人の条件・青色申告と白色申告の違い・必要書類・実際の進め方の5ステップまでを、順を追ってわかりやすく解説します。

フリーランスの確定申告とは?まず知っておきたい基本

確定申告とは、1年間(1月1日〜12月31日)の所得と税額を自分で計算し、税務署に申告・納税する手続きのことです。会社員のときは勤務先が「年末調整」で代わりに行ってくれていましたが、フリーランスや個人事業主には年末調整がありません。そのため、自分で1年分の売上と経費を集計し、申告する必要があります。

申告するのは「前年分」の所得です。たとえば2025年(令和7年)1月〜12月の所得は、翌年の2026年2月16日〜3月16日に申告しました。例年の期限は3月15日ですが、その日が土日にあたる年は翌平日にずれます。次回(2026年分)の申告は2027年の同じ時期に行うことになります。

📌 POINT

確定申告は「所得税」だけの手続きではありません。申告した内容は、住民税・国民健康保険料・各種給付の判定にもそのまま使われます。つまり確定申告を正しく行うことは、その後1年間のあらゆる負担額に直結する大切な手続きです。

そもそも「所得」とは?売上とは違う

初めての人がまず混乱しやすいのが「売上」と「所得」の違いです。税金は売上そのものではなく、売上から経費を引いた「所得」に対してかかります。

  • 売上(収入):取引先から受け取った報酬の合計
  • 経費:仕事のために使ったお金(通信費・交通費・機材など)
  • 所得:売上 − 経費(ここに税金がかかる)

たとえば年間の売上が400万円でも、経費が100万円かかっていれば、所得は300万円です。経費をきちんと記録しておくほど、課税される所得が下がり、納める税金も少なくなります。

確定申告が必要なフリーランス・不要なフリーランス

フリーランスでも、所得が一定額以下なら確定申告(所得税)が不要になる場合があります。判定の基準になるのが「基礎控除」です。この基礎控除は令和7年度の税制改正で大きく引き上げられたため、以前の「48万円」という基準を覚えていた人は注意が必要です。

⚠️ 注意

従来「所得が48万円を超えたら申告が必要」と言われてきましたが、令和7年度税制改正で基礎控除が引き上げられ、合計所得金額に応じて最大95万円まで控除されるようになりました(令和7・8年分は段階的な上乗せ措置あり)。基準が変わっているため、自分のケースは必ず国税庁の最新情報で確認してください。
※出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」/適用は令和7年分(2026年2〜3月申告)以降。

具体的な目安としては、合計所得金額が132万円以下の場合、基礎控除は95万円になります。つまり事業所得が95万円以下で、ほかに所得控除がなければ課税所得は0円となり、所得税はかかりません。実際にはフリーランスが支払う国民年金・国民健康保険料も控除できるため、所得税が発生しないラインはさらに上がります。

確定申告が「必要」な主なケース

  • フリーランス・個人事業主としての所得(売上−経費)が、基礎控除などの所得控除の合計を超え、納める税金が発生する
  • 会社員をしながら副業をしており、副業の所得が年間20万円を超える
  • 年の途中で退職し、年末調整を受けていない

申告しても「得」になるケースもある

納税義務がなくても、申告した方が有利な場合があります。報酬から源泉徴収(天引き)されている人は、確定申告で払いすぎた税金が戻ってくる(還付される)可能性があります。また、青色申告のメリット(後述)を受けるには、そもそも確定申告をすることが前提です。

📌 POINT

所得税の申告が不要でも、「住民税の申告」は別途必要になるケースが多くあります。所得が少ないからと何もしないでいると、自治体が所得を把握できず、国民健康保険料の軽減が受けられないなどの不利益が出ることも。判断に迷ったら、まずは申告しておくのが無難です。

青色申告と白色申告はどっちがいい?初めてなら知っておくべき違い

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。初めての人が最初に決めるべき、最も重要なポイントです。結論から言うと、節税メリットが大きいのは青色申告です。

項目 青色申告 白色申告
特別控除 最大65万円 なし
記帳方法 複式簿記(65・55万円控除の場合) 簡易な記帳
事前申請 必要 不要
赤字の繰越 最大3年間できる できない
手間 やや多い 少ない

青色申告特別控除は「65万・55万・10万」の3段階

青色申告の最大の魅力が「青色申告特別控除」です。所得から無条件で差し引けるため、節税効果が大きくなります。控除額は申告方法によって3段階に分かれます。

  1. 65万円控除:複式簿記+貸借対照表の添付+期限内申告に加え、e-Taxでの電子申告(または優良な電子帳簿の保存)が必要
  2. 55万円控除:複式簿記+貸借対照表の添付+期限内申告(紙で提出した場合)
  3. 10万円控除:簡易な記帳(単式簿記)の場合
⚠️ 注意

同じ複式簿記で帳簿をつけても、紙で提出すると控除は55万円にとどまります。最大の65万円控除を受けるには、e-Taxでの電子申告が事実上の条件です。会計ソフトを使えば複式簿記もe-Tax送信も自動化できるため、初めてでも65万円控除を狙いやすくなります。

青色申告でどれくらい節税できる?簡単シミュレーション

青色申告特別控除の節税効果を、具体的な数字で見てみましょう。たとえば売上400万円・経費100万円のフリーランスの場合、所得の計算は次のように進みます。

  1. 事業所得を出す:売上400万円 − 経費100万円 = 事業所得300万円
  2. 青色申告特別控除を引く:300万円 − 65万円 = 235万円
  3. 所得控除を引く:ここから社会保険料控除・基礎控除などを差し引いた金額が「課税所得」
  4. 税率をかける:課税所得に応じて所得税率5〜45%がかかる

ポイントは、青色申告にするだけで課税所得が65万円分も小さくなること。仮に所得税率10%+住民税10%(合計20%)が適用される人なら、65万円 × 20% = 年間およそ13万円の節税になる計算です。白色申告との差は決して小さくありません。

📌 POINT

所得税は「課税所得 × 税率 − 控除額」で計算され、税率は課税所得が大きいほど上がる累進方式です(課税所得195万円以下なら5%)。この税率は今回の改正では変わっていません。変わったのは基礎控除などの「控除額」の方です。
※上記は概算例であり、実際の税額は所得控除の内容によって変動します。住民税は別途かかります。

青色申告には「事前の申請」が必須

青色申告をするには、あらかじめ税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しておく必要があります。提出期限は、青色申告をしたい年の3月15日まで。ただし、その年の1月16日以降に新規開業した場合は、開業日から2か月以内が期限です。開業届とセットで早めに出しておくのがおすすめです。

初めての確定申告で準備する必要書類

申告期間に入ってから慌てないよう、必要なものは年内のうちから集めておきましょう。初めてのフリーランスが用意すべき書類は、大きく分けて次のとおりです。

本人確認・申告に必須のもの

  • マイナンバーカード(e-Tax利用時に必須)
  • 確定申告書(青色申告の場合は青色申告決算書も)
  • 1年分の売上がわかる資料(請求書・通帳・取引先からの支払調書など)
  • 経費の領収書・レシート
  • 振込先の銀行口座情報(還付がある場合)

控除を受けるために用意する書類

  • 国民年金・国民健康保険の支払額がわかる書類(社会保険料控除)
  • 生命保険料控除証明書
  • iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)の払込証明書
  • 医療費の領収書(医療費控除を受ける場合)
  • ふるさと納税の寄附金受領証明書(寄附金控除を受ける場合)
⚠️ 注意

e-Taxの「ID・パスワード方式」は、令和7年(2025年)10月以降に順次廃止される方針が示されています。今後はマイナンバーカードを使った方式が基本になるため、初めての人はマイナンバーカードと、それを読み取れるスマートフォン(またはICカードリーダー)を早めに準備しておくと安心です。
※出典:国税庁の方針に基づく(2025年12月時点)。具体的な運用は国税庁の最新案内を確認してください。

確定申告の進め方5ステップ

必要書類がそろったら、実際の申告作業に入ります。初めてでも、この5ステップの流れを押さえておけば迷いません。

  1. 1年分の売上と経費を集計する:請求書や領収書をもとに、収入と経費を月ごとに整理します。会計ソフトに日々入力していれば、この作業はほぼ自動で終わります。
  2. 帳簿を作成する:青色申告(65・55万円控除)なら複式簿記、白色申告なら簡易な記帳で帳簿を整えます。
  3. 確定申告書・決算書を作成する:国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを使えば、画面の案内に沿って入力するだけで書類が完成します。
  4. 税務署に提出する:e-Tax(オンライン)・郵送・税務署へ持参の3つから選びます。65万円控除を狙うならe-Tax一択です。
  5. 納税または還付を受ける:納める税金があれば期限までに納付。払いすぎていた場合は、登録口座に還付金が振り込まれます。
📌 POINT

初めての確定申告では、会計ソフトの利用が圧倒的に楽です。日々の取引を入力しておけば、複式簿記の帳簿も、確定申告書も、e-Tax送信用データも自動で作成できます。簿記の知識がなくても65万円控除を狙えるのが最大のメリットです。

経費にできるもの・できないもの

経費を正しく計上することは、節税の基本です。フリーランスの経費は「事業に関係する支出かどうか」が判断基準になります。プライベートの支出は経費にできません。

経費にできる例 具体例
通信費 仕事で使うネット回線・スマホ料金
消耗品費 PC周辺機器・文房具・ソフト
旅費交通費 打ち合わせの交通費・出張費
地代家賃 事務所家賃・自宅兼事務所の按分
新聞図書費 仕事に必要な書籍・資料

自宅で働く人は「家事按分」を活用

自宅で仕事をしているフリーランスは、家賃や光熱費・通信費のうち仕事で使っている割合だけを経費にできます。これを「家事按分」といいます。たとえば家の面積のうち4割を仕事部屋として使っているなら、家賃の4割を経費に計上できます。按分の根拠(面積比・使用時間比など)は、後から説明できるようにしておきましょう。

⚠️ 注意

プライベートと事業の区別があいまいな支出を全額経費にすると、税務調査で否認されるリスクがあります。「これは本当に仕事のための支出か」を基準に、合理的な範囲で計上しましょう。判断に迷う支出は、税理士に相談するのが確実です。

インボイス・消費税の確定申告はどうなる?

初めてのフリーランスが見落としがちなのが、所得税とは別にある「消費税」の確定申告です。消費税を申告・納税する義務があるのは、原則として「課税事業者」に該当する人だけです。インボイス制度に関係して、自分がどちらに当たるかを必ず確認しておきましょう。

消費税の申告が必要になる人

  • 基準期間(原則2年前)の課税売上高が1,000万円を超えている
  • インボイス(適格請求書)を発行するために、自ら課税事業者になることを選んだ

取引先がインボイスを求めるため登録した人は、売上が1,000万円以下でも課税事業者となり、消費税の申告が必要です。逆に、登録しておらず売上も1,000万円以下なら「免税事業者」のままで、消費税の申告は不要です。

⚠️ 注意

消費税の確定申告は、所得税とは申告書も納付も別物です。インボイス登録を機に課税事業者になった人には、納税額を売上にかかる消費税の2割に抑えられる「2割特例」がありますが、この特例は個人事業主は令和8年分(2026年分)の申告が適用の最後です。その後継として令和9・10年分を対象とする「3割特例」が新設される見込みのため、最新の適用要件は必ず国税庁の情報で確認してください。
※2割特例の対象は2026年9月30日を含む課税期間まで(個人事業主は令和8年分まで)。3割特例は令和8年度税制改正大綱に基づく見込みで、詳細要件は今後確定。2026年6月時点の情報です。

初めてでやりがちな失敗と注意点

初めての確定申告では、知らないことが原因の小さなミスが起こりがちです。あらかじめ知っておけば防げるものばかりなので、ここで押さえておきましょう。

① 領収書をためてから慌てて集計する

1年分の領収書を申告直前にまとめて処理しようとすると、膨大な作業になり、紛失や記帳漏れの原因になります。月1回でも記帳する習慣をつけるか、会計ソフトでこまめに入力しておきましょう。

② 期限を過ぎてしまう

申告期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税といったペナルティが発生します。さらに、期限内申告が条件の青色申告65万円控除が10万円に減額されるなど、金銭的に大きな不利益があります。

③ 国民年金・健康保険の控除を忘れる

フリーランスが支払う国民年金・国民健康保険料は、全額が「社会保険料控除」の対象です。これを申告し忘れると、本来より多く税金を払うことになります。支払額がわかる書類は必ず手元に用意しましょう。

④ 消費税の申告を忘れる

課税事業者にもかかわらず、所得税の申告だけで終わらせてしまうケースです。インボイス登録者は特に注意。消費税の申告・納税も必要なことを忘れないようにしましょう。

フリーランスの確定申告に関するよくある質問

初めての確定申告で特に質問が多いポイントを、Q&A形式でまとめました。

Q. 確定申告をしないとどうなりますか?

納税義務があるのに申告しないと、無申告加算税や延滞税が課されます。悪質と判断されればさらに重いペナルティ(重加算税)の対象になることも。期限内の申告が原則です。

Q. いくら稼いだら確定申告が必要ですか?

事業所得から各種所得控除を引いた課税所得が生じ、所得税がかかる場合に必要です。令和7年度改正で基礎控除が引き上げられたため、目安となる金額も変わっています。少額でも、源泉徴収された税金の還付を受けたい場合は申告した方が得になることがあります。

Q. スマホだけで確定申告はできますか?

できます。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトはスマホに対応しており、マイナンバーカードをスマホで読み取ればe-Tax送信まで完結します。青色申告の65万円控除もスマホからのe-Taxで要件を満たせます。

Q. 会社員の副業でも確定申告は必要ですか?

給与以外の副業所得が年間20万円を超える場合は、所得税の確定申告が必要です。なお、20万円以下で所得税の申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になる点に注意してください。

Q. 確定申告は自分でやるべき?税理士に頼むべき?

売上規模が小さいうちは、会計ソフトを使えば自分でも十分対応できます。売上や取引が増えて記帳が負担になってきたら、税理士への依頼を検討するタイミングです。

まとめ:初めての確定申告は早めの準備がすべて

初めての確定申告は不安に感じるかもしれませんが、流れを理解して早めに準備すれば、決して難しいものではありません。最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。

✅ この記事のまとめ

① 確定申告は前年1年分の所得を翌年2〜3月に申告する手続き
② 基礎控除は令和7年度改正で引き上げ(最大95万円)。申告要否の基準は最新情報で確認を
③ 節税重視なら青色申告。65万円控除にはe-Taxでの電子申告が必須
④ 青色申告は事前に「承認申請書」の提出が必要
⑤ インボイス登録などで課税事業者になった人は消費税の申告も必要
⑥ 経費・社会保険料控除を漏らさず、期限内申告でペナルティを回避する

初めての人ほど、会計ソフトを使って早めに記帳を始めておくことが、ミスなく確定申告を終える一番の近道です。年内のうちから少しずつ準備を進め、余裕を持って申告期限を迎えましょう。

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