
退職金がなく、年金も会社員より少なめになりがちなフリーランスにとって、将来に向けた資産形成は重要なテーマです。その有力な選択肢が、運用益が非課税になるNISA。2024年からは制度が大きく拡充され、より使いやすくなりました。この記事では、フリーランスもNISAを使えるのか、新NISAの仕組み、iDeCoや小規模企業共済との違い、始めるときの注意点までを整理します。※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の投資を勧めるものではありません。
フリーランスもNISAを使える?
結論から言うと、NISAは職業を問わず、18歳以上の日本国内に住む人なら誰でも利用できます。フリーランス・個人事業主はもちろん、会社員でも主婦でも同じ条件で使えます。証券会社や銀行でNISA口座を開設すれば、すぐに始められます。
NISAは、本来かかる運用益への約20%の税金が非課税になる制度です。将来に向けた資産形成を、税金の負担なく進められるのが大きな魅力です。
新NISAの仕組み|2つの投資枠と非課税限度額
2024年1月から始まった新NISAでは、非課税で投資できる枠が大きく拡大し、非課税期間も無期限になりました。投資枠は「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあり、併用できます。
| 投資枠 | 年間投資枠 | 主な対象 |
|---|---|---|
| つみたて投資枠 | 120万円 | 一定の基準を満たす投資信託など |
| 成長投資枠 | 240万円 | 上場株式・投資信託など(一部除外あり) |
| 合計(併用時) | 360万円 | — |
生涯で非課税にできる非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。保有商品を売却すると、その買付価格分の枠を翌年以降に再利用できます。なお、年間投資枠の未使用分は翌年に持ち越せず、NISA口座の損失は他の口座と損益通算できない点には注意しましょう。
フリーランスにNISAが特に役立つ理由
NISAは誰でも使える制度ですが、フリーランスにとっては特に意味があります。
- 会社の退職金制度がないため、将来資金を自分で準備する必要がある
- 国民年金のみで厚生年金がなく、将来受け取る年金が会社員より少なめになりやすい
- いつでも引き出せるため、収入が不安定なフリーランスでも柔軟に使える
- 運用益が非課税なので、長期の資産形成と相性が良い
特に「いつでも引き出せる」点は、収入の波があるフリーランスにとって安心材料です。後述のiDeCoのように60歳まで引き出せない制約がないため、急な出費にも対応できます。
NISA・iDeCo・小規模企業共済の違い
フリーランスの資産形成・将来の備えには、NISAのほかにiDeCoや小規模企業共済もあります。混同されがちですが、税制メリットと引き出しの自由度が異なります。
| 制度 | 掛金の所得控除 | 運用益 | 引き出し |
|---|---|---|---|
| NISA | なし | 非課税 | いつでも可能 |
| iDeCo | 全額所得控除 | 非課税 | 原則60歳まで不可 |
| 小規模企業共済 | 全額所得控除 | 共済金として受取 | 廃業・退職時など |
大きな違いは「掛金が所得控除になるか」です。NISAは掛金(投資額)が所得控除にはならず、節税効果は運用益の非課税のみ。一方でiDeCoや小規模企業共済は掛金が全額所得控除になり、その年の所得税・住民税を直接減らせます。引き出しの自由度はNISAが最も高く、老後資金に的を絞るならiDeCoや共済が向いています。目的に応じて使い分け・併用を検討しましょう。
フリーランスがNISAを始めるときの注意点
NISAは非課税で投資できる制度ですが、投資である以上、元本は保証されず価格変動で損失が出る可能性があります。NISA口座の損失は他口座と損益通算できない点にも注意が必要です。投資の判断は自己責任で行い、不安な場合は金融機関や専門家に相談しましょう。
- まず生活防衛資金(数か月分の生活費)を確保し、余剰資金で始める
- 収入が不安定な時期は、無理のない少額から積み立てる
- 短期の値動きに一喜一憂せず、長期・分散・積立を基本に考える
- NISA口座は1人1口座。金融機関は年単位で変更できるが、商品ラインナップを比較して選ぶ
NISAの始め方
- 金融機関を選ぶ|証券会社・銀行など。取扱商品や手数料、使いやすさを比較する
- NISA口座を開設する|本人確認書類とマイナンバーを用意して申し込む
- 投資する商品を決める|つみたて投資枠・成長投資枠から、目的に合った商品を選ぶ
- 積立設定または購入をする|毎月の積立額を決めれば、あとは自動で続けられる
口座開設には審査や手続きの時間がかかる場合があります。商品選びや配分に迷う場合は、無理に急がず、金融機関の情報や専門家の意見も参考にしましょう。
まとめ|まず生活防衛資金、次に余剰資金で
NISAは職業を問わず使え、フリーランスにとっては退職金・年金を補う資産形成の有力な選択肢です。新NISAは年間360万円・生涯1,800万円まで、運用益が無期限で非課税。ただし掛金は所得控除にならず(その点はiDeCo・小規模企業共済が有利)、投資なので元本割れのリスクもあります。まずは生活防衛資金を確保し、余剰資金で長期・分散・積立を基本に。目的に応じて各制度を使い分け・併用しましょう。判断に迷うときは専門家に相談を。
資産形成の前提になるのは、安定した収入です。投資に回せる余剰資金を作るには、まず収入の柱を安定させることから。継続的に案件を確保したい方は、自分のスキルや希望に合うサービスを比較してみてください。

