
退職金がなく、公的年金も国民年金だけのフリーランスにとって、NISAは自由に使える資産をつくる有力な手段です。ただし収入が不安定なぶん、「積み立てたら生活が回らない」「相場が下がったときに取り崩してしまう」という失敗も起きやすい働き方です。結論から言えば、フリーランスがNISAを使う順番は「生活防衛資金 → 掛金が所得控除になる制度 → NISA」で、NISAに回すのは余剰資金だけです。新NISAの仕組み、iDeCoや小規模企業共済との使い分け、積立額の決め方と止め方、始め方までまとめました。
【結論】生活防衛資金、所得控除の制度、NISAの順に使う
フリーランスのNISAは、次の順番で考えると失敗しません。
- 生活費の6か月〜1年分を現金で確保する案件終了や入金遅れ、病気で収入が止まっても、投資を取り崩さずに済む状態をつくります
- 掛金が所得控除になる制度で今年の税金を減らす小規模企業共済やiDeCoは掛金の全額が所得控除。NISAの掛金は所得控除になりません
- それでも余るお金をNISAで運用するNISAはいつでも引き出せるため、老後以外の目的にも使える資産になります
NISAは職業に関係なく、その年の1月1日時点で18歳以上の国内居住者なら誰でも使えます。フリーランスだから不利ということはなく、使う順番が大切なだけです。
NISAは始めるのが早いほど、非課税で運用できる期間が長くなります。一方で、現金の備えがないまま始めると、収入の落ち込みと相場の下落が重なったときに損を確定させて生活費に回すことになりかねません。
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新NISAの仕組み
| 年間の投資枠 | つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=年360万円 |
|---|---|
| 生涯の非課税枠 | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) |
| 非課税の期間 | 無期限 |
| 売却したとき | 売った商品の購入額分の枠が翌年に復活する |
| 対象者 | その年の1月1日時点で18歳以上の国内居住者。1人1口座 |
| つみたて投資枠の対象 | 金融庁の基準を満たした長期・積立・分散向けの投資信託など |
NISAが効くこと・効かないことは?
| 場面 | NISAの効果 | 補足 |
|---|---|---|
| 運用で得た利益 | 非課税 | 通常は約20%かかる税金がかからない |
| 今年の所得税・住民税 | 減らない | 掛金は所得控除にならない。国民健康保険料も変わらない |
| 損失が出たとき | 救済なし | ほかの口座の利益との損益通算や、損失の繰越控除ができない |
| 急にお金が必要なとき | いつでも引き出せる | ただし相場が下がっていると損を確定させることになる |
NISAは非課税で投資できる「器」で、利益を保証する制度ではありません。景気が悪くなると、案件が減るのと同じ時期に運用資産も目減りすることがあります。現金の備えを先に持つのは、この同時に起きるリスクに備えるためです。
2027年から変わること
- iDeCoの上限が月7万5,000円に2026年12月分(2027年1月引き落とし分)から、国民年金基金・付加保険料と合わせた上限が月6万8,000円から月7万5,000円に上がります。加入できる年齢も70歳未満までに広がります
- こどもNISAが2027年1月に始まる0〜17歳が対象で、年間60万円・非課税保有限度額600万円。つみたて投資枠の対象商品だけを積み立てで買え、12歳以降は教育費などの目的で引き出せます。18歳になると大人のNISAに移ります
制度の変更はどれも枠が広がる方向なので、始めるのを待つ必要はありません。子どもの教育資金をNISAで準備したい人は、2026年中は自分の枠で積み立て、2027年からこどもNISAも使う形が現実的です。
NISA・iDeCo・小規模企業共済・付加年金の使い分け
| 制度 | 掛金の所得控除 | 引き出し | 掛金の上限 |
|---|---|---|---|
| NISA | なし(運用益は非課税) | いつでも可 | 年360万円・生涯1,800万円 |
| iDeCo | 全額(運用益も非課税) | 原則60歳まで不可 | 月6万8,000円(2026年12月分から月7万5,000円) |
| 小規模企業共済 | 全額 | 廃業時など。任意解約や貸付もある | 月7万円 |
| 付加年金 | 全額(社会保険料控除) | 老齢基礎年金に上乗せして一生涯 | 月400円 |
どの順番で使えばいい?
付加年金に入る
月400円で2年で元が取れる、最も手軽な上乗せです。
小規模企業共済で税金を減らす
掛金の全額が所得控除になり、いざというときの貸付制度もあります。
iDeCoで老後資金を運用する
60歳まで使わないお金を、所得控除を受けながら運用します。
NISAで自由に使える資産をつくる
住宅や教育、仕事の転換期など、老後以外にも使えるお金を育てます。
所得が低く税金がほとんどかからない年は、所得控除の効果が小さくなります。その場合は、引き出しやすいNISAを小規模企業共済やiDeCoより先に使うのも合理的です。
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NISAを始める前にやる3つの準備
- 生活防衛資金を現金で確保する生活費の6か月〜1年分が目安。収入の波が大きい人ほど多めに持ちます
- 納税用のお金を取り分ける所得税・住民税・国民健康保険料・消費税の支払い分を別口座に分け、投資に回さないようにします
- 毎月の手取りを把握する売上ではなく、税金と社会保険料を払ったあとに残るお金から積立額を決めます
運転資金、納税用のお金、融資で借りたお金をNISAに入れるのは避けてください。値下がりしたときに納税や支払いができなくなり、事業そのものが揺らぎます。赤字の年に無理な積立を続けるのも危険です。
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収入が不安定な人の積立額の決め方と止め方
積立額はどう決める?
| 基本の考え方 | 収入の少ない月でも続けられる額を毎月の積立額にする |
|---|---|
| 計算の目安 | 直近1年で最も手取りが少なかった月の手取り-生活費-納税の積立=積立に回せる上限 |
| 収入が多い月 | 毎月の積立は増やさず、余った分を年に数回の追加投資(スポット購入)に回す |
| 引落日 | 報酬が入金される日の直後に設定し、資金不足を防ぐ |
収入が減ったらどうする?
- まず積立額を下げる多くの金融機関で、積立額の変更はオンラインですぐにできます。月100円や1,000円まで下げて続ける方法もあります
- それでも厳しければ積立を止める止めても持っている資産はそのまま非課税で運用が続きます。収入が戻ったら再開します
- 売るのは最後の手段にする生活防衛資金で足りない場合に限り、必要な分だけを売却します。売った分の枠は翌年に復活します
あわせて読みたい(収入が減ったとき)
NISAの始め方
金融機関を選ぶ
積立の最低額と変更のしやすさ、取扱商品の本数と信託報酬、事業用口座からの引き落としに対応しているかを比べます。NISA口座は1人1口座で、変更は年単位です。
証券総合口座とNISA口座を申し込む
本人確認書類とマイナンバーが分かる書類を用意し、スマートフォンから申し込みます。
税務署の確認を待つ
1人1口座を確かめるため、使えるようになるまで2〜3週間ほどかかることがあります。
商品と積立額を決めて自動化する
迷う場合は、広く分散された低コストの投資信託1本から始めるのが一般的です。積立を設定したら、基本は触らずに続けます。
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よくある質問(FAQ)
本記事は2026年9月時点の制度にもとづく情報提供を目的としたもので、特定の金融商品や投資手法を勧めるものではありません。元本は保証されず、価格が下がることがあります。商品の内容やリスクは金融機関の交付書面で確認し、税務や資金計画の判断に迷う場合は専門家に相談してください。
● 順番は生活防衛資金、小規模企業共済・iDeCo、NISA。NISAの掛金は所得控除にならない
● 新NISAは年360万円・生涯1,800万円・無期限。2027年からはiDeCo拡充とこどもNISAが始まる
● 積立額は収入の少ない月でも続けられる額に。収入が減ったら下げる、止める、売るの順で対応する

