
「常駐案件はリモートより稼げるのか」「偽装請負にならないか不安」——常駐を検討するフリーランスが必ずぶつかる2つの疑問です。結論から言えば、単価を決めるのは働く場所ではなく、スキル・工程・商流です。一方で、交通費・移動時間という実コストと、常駐特有の法的リスクは確実に存在します。
この記事でわかること
【結論】常駐案件を選ぶべきかの判断軸
「常駐だから高単価」とは限りません。常駐を選ぶかどうかは、次の3つで判断します。
- 単価は「場所」ではなく「領域」で決まる単価を決めるのはスキル・担当工程・商流の深さです。常駐が高く見えるのは、大手SIerや金融など、もともと単価の高い領域に常駐前提の案件が集中しているからです
- 常駐の価値は案件の質と学習と継続大手の大型プロジェクトに入りやすいこと、現場での学習速度が速いこと、長期継続しやすいことの3点が、常駐を選ぶ理由になります
- 実コストと法的リスクは常駐特有交通費・移動時間という実コストと、偽装請負のリスクは常駐ならではのものです。契約前の確認で、ほとんどは防げます
最も避けるべきは、常駐先で指揮命令を受ける状態を放置することです。契約は業務委託なのに実態が労働に近づくと、労働者としての保護もないまま裁量だけを失います。エージェントは、案件の母数が大きいレバテックフリーランスと、マージンを公開し全国に拠点があるPE-BANKの組み合わせが基本形です。
案件の数で見ると、出社を伴う案件は今も市場の大半です。一部リモートを含めると、多くの案件で何らかの出社が発生します。「出社できる」ことは、選択肢を大きく広げる条件です。
常駐案件とは?契約形態から理解する
常駐案件とは、クライアント企業のオフィスや開発拠点に一定期間出向いて業務を行う案件のことです。週3〜5日の出社が求められるケースが多く、SIer・大手メーカー・金融機関などのシステム開発プロジェクトで広く採用されています。
準委任契約と請負契約の違い
フリーランスの常駐案件は、主に次の2つの契約形態で結ばれます。どちらであるかによって、責任の範囲とリスクが大きく変わります。
| 項目 | 準委任契約 | 請負契約 |
|---|---|---|
| 報酬の対象 | 業務の遂行(稼働時間など) | 成果物の完成 |
| 完成の義務 | 負わない | 負う |
| 不具合への責任 | 原則として契約不適合責任は生じない(善管注意義務は負う) | 契約不適合責任を負う |
| よくある形 | 月額固定+精算幅(例:140〜180時間) | 納品物ごとの一括請け |
| 常駐での比率 | こちらが主流 | 少ない |
フリーランスの常駐案件では準委任契約が主流です。ただし、準委任契約であっても現場で指揮命令を受けると偽装請負の問題が生じます。契約の性質は名称ではなく実態で判断される点を押さえておいてください。
精算幅の確認を忘れずに
月額固定の常駐案件には「精算幅」(例:140〜180時間)が設定されているのが一般的です。この範囲を下回れば控除、超えれば追加支給となります。常駐は現場の空気で残業しがちなため、稼働時間を記録しておかないと、支払われない稼働が積み上がります。
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常駐とリモートをデータで比較
出社を伴う案件が多数派
「リモートが当たり前になった」と言われますが、掲載案件の実態は違います。
「リモート可」と書かれた案件の多くは一部リモートで、週1〜2回の出社が発生します。エージェントが公表する「リモート可」の比率にも、一部リモートの案件が含まれることがあります。
| 比較項目 | 常駐案件 | リモート案件 |
|---|---|---|
| 多い領域 | SIer・金融・通信・製造・コンサル | Web系・SaaS・スタートアップ |
| 単価 | 高単価領域に集中しやすい | スキル次第で常駐並みも可能 |
| 実コスト | 交通費(契約による)・移動時間 | 通信費・作業環境の整備 |
| 学習環境 | 現場で質問しやすく習得が速い | 自走力と文章での報告が前提になる |
| 居住地の制約 | 通勤圏に住む必要がある | ほぼ制約なし |
| 選考のハードル | 経験が浅めでも現場で育ててもらえることがある | 自律して進められる経験を求められやすい |
単価差は「場所」ではなく「領域」の差
常駐が高単価に見えるのは、もともと単価の高い領域に常駐前提の案件が集中しているからです。
つまり「単価の高い領域に常駐案件が多い」という順序であり、「常駐にすれば単価が上がる」わけではありません。同じ職種・同じ工程なら、働く場所で単価が大きく変わることはありません。
単価だけを理由に常駐を選ぶと、交通費と移動時間で実質の時間単価が下がることがあります。常駐の価値は「大手の大型プロジェクトに入れること」「現場で学習速度が上がること」「チームに馴染むほど継続しやすいこと」にあると考えてください。
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常駐案件が多い5大業界と単価の目安
常駐案件が集中するのは、セキュリティ要件が厳しい領域と、対面での調整が多い上流工程です。
| 業界 | 案件の内容 | 主な職種 |
|---|---|---|
| 大手SIer・基幹系 | 基幹システムの刷新・保守。大型プロジェクトが長期で動く | SAP/ERPコンサル・PM・SE |
| 金融・証券・保険 | 勘定系の改修・バッチ処理。セキュリティ要件が厳しく常駐が前提になりやすい | Javaエンジニア・データエンジニア |
| 通信・インフラ | ネットワーク構築・クラウド移行。設備作業が発生すると出社が必須 | インフラ・ネットワークエンジニア |
| コンサル・PMO | 要件定義・進捗管理。関係者との対面調整が多い | PMO・コンサルタント・上流SE |
| 製造業DX・組込み | 生産管理・制御。実機に触れる必要があり出社前提の案件が多い | 組込みエンジニア・生産管理SE |
常駐と関係の深い職種の単価(2026年9月)
常駐案件が集中する上流・調整系の職種は、単価も高くなります。
職種と工程を上げるほうが、場所を変えるより効果が大きいことが数字からも読み取れます。
常駐案件のメリット・デメリット
常駐案件の強み
- 大手の大型プロジェクトに参画しやすいSIer・金融・通信は常駐前提の案件が多い
- 習得スピードが上がる現場で質問できるため、技術・業務知識を早く身につけられる
- 長期の安定収入につながるチームに馴染むほど継続発注されやすい
- 単価の高い領域にアクセスしやすい上流工程・業務パッケージ系などの案件に入りやすい
- 次の案件に結びつく人脈ができる現場の正社員や他のフリーランスとのつながりが生まれる
常駐案件のデメリットと対策
| デメリット | 何が起きるか | 対策 |
|---|---|---|
| 交通費・移動時間の負担 | 実質の時間単価が下がる | 交通費の負担者を契約前に確認。経費計上の準備も |
| 居住地の制約 | 通勤圏に住む必要がある | 片道の上限時間を先に伝えておく |
| 掛け持ちがしにくい | 週5常駐だと副業の余地が少ない | 週3〜4日の常駐案件や一部リモートの案件を探す |
| 残業しやすい | 精算幅の上限超過分を請求し損ねる | 稼働時間を毎日記録する |
| 偽装請負のリスク | 指揮命令下に置かれ、裁量だけを失う | 指示系統を契約書に明記してもらう |
提示単価に交通費が含まれているのか、別途支給なのかで手取りは変わります。通勤距離によっては、交通費だけで月数万円になることも珍しくありません。移動時間を含めた実質の時間単価で判断してください。
「交通費は誰の負担ですか」「単価に含まれていますか」は、面談で必ず聞くべき質問です。
常駐案件の面談で確認すべきこと
- 出社の頻度と場所週何日か、勤務地は1か所か、将来リモートに切り替わる可能性はあるか
- 勤務時間とコアタイム何時から何時まで現場にいる必要があるか。残業の見込みと精算幅
- 交通費の扱い単価に含まれるか、別途支給か、上限はあるか
- 指示系統作業の依頼は誰から、どのような形で来るのか
- 機材と入館の手続きパソコンの貸与、入館証、セキュリティ研修の有無
- 体制チームの人数、他のフリーランスの有無、正社員との役割分担
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常駐案件に強いエージェント6社
常駐案件を安定して受注するには、案件数・マージンの透明性・拠点網の3点で選ぶのが実務的です。
1. レバテックフリーランス(案件数が最大級)
ITフリーランス向けの最大手です。公開案件10万件以上・取引社数10,000社以上という母数を背景に、SIer・金融・大手メーカーの常駐案件から一部リモートの案件まで幅広く扱います。常駐案件の母数を確保するなら、まず押さえるべき1社です。
- 公開案件10万件以上。常駐・リモートの両方に対応
- 平均年収881万円(首都圏のWeb系案件・週5稼働/2023年5月実績)
- 参画後も約2人に1人が単価アップ(週5稼働・参画1年以上などの条件つき)
- 支払いサイト15日(月末締め翌月15日払い)で入金が早い
| 向いている人 | 常駐案件を幅広く見たい人、高単価を狙いたい人 |
|---|---|
| 注意点 | 首都圏の案件が中心で、一定の実務経験を求める案件が多い。経験が浅い方は他社との併用を |
2. PE-BANK(マージン8〜12%・全国12拠点)
マージン率を公開している数少ないエージェントで、マージンは8〜12%です(報酬の受取回数1〜12回目は12%、13〜24回目は10%、25回目以降は8%)。常駐案件は交通費という実コストが乗ることがあるぶん、手取りを計算できることの価値が大きくなります。全国12拠点を持ち、週5日の常駐案件が中心とされるため、地方在住でも地元の常駐案件を相談しやすい会社です。
- マージン率8〜12%を公開。継続するほど手取りが増える設計
- 全国12拠点(札幌・仙台・名古屋・京都・大阪・神戸・広島・福岡など)
- 業務系の案件が多く、週5日の常駐案件が中心とされる
- 確定申告のサポートなど独立後の支援あり
| 向いている人 | 手取りを最大化したい人、地方で常駐案件を探す人 |
|---|---|
| 注意点 | 支払いサイトは40日(月末締め翌々月10日払い)からと長め。交通費を立て替える場合は、入金までの資金繰りを確認する |
3. Midworks(給与保障・エンド直70%)
正社員に近い保障を用意しているのが特徴です。案件が途切れたときに契約単価の60%を保障する制度(審査あり)や保険料の補助などの福利厚生があり、収入の谷への備えになります。エンド企業またはSIerから直接受注した案件が約70%と商流が浅い点も、常駐案件では手取りに直結します。
- 給与保障(契約単価の60%・審査あり)で収入の谷を緩和
- 非公開案件が約80%、エンド直・SIer直の案件が約70%
- 保険料の補助などの福利厚生あり
- 平均年収840万円以上(2022年5月実績・12か月稼働・週5換算)/支払いサイト20日が基本
| 向いている人 | 独立直後で収入の安定を重視する人、商流の浅い案件を狙う人 |
|---|---|
| 注意点 | マージン率は非公開。保障には審査があるため、面談で条件を必ず確認する |
4. ギークスジョブ(取引社数3,810社)
上場企業のギークス株式会社が運営し、20年以上の支援実績を持つエージェントです。取引社数3,810社、公開案件7,000件以上、リモート可の案件が8割以上と公表しています。「リモート可」には一部出社の案件も含まれるため、「週2〜3日出社+残りはリモート」のような組み方を相談しやすいのが特徴です。
- 取引社数3,810社・公開案件7,000件以上
- リモート可の案件が8割以上(一部出社を含む)
- 福利厚生プログラム「フリノベ」あり
- 支払いサイト25日(月末締め翌月25日払い)とされる
| 向いている人 | 出社とリモートを組み合わせたい人 |
|---|---|
| 注意点 | リモート対応の案件が多いため、週5日の常駐一本で探すなら他社との併用が前提になる |
5. クラウドワークス テック(継続率90%・リモート中心)
上場企業の株式会社クラウドワークスが運営しています。リモートワーク比率90%(2025年1月末時点)とリモートが主力で、案件継続率90%を公表しています。「常駐は避けたいが、条件次第では検討したい」という人が、常駐案件と比べるための1社として持っておく価値があります。
- リモートワーク比率90%(2025年1月末時点)
- 案件継続率90%。長期安定を狙いやすい
- 直請け中心でクライアントと直接やり取りしやすい
- 週3〜4日など柔軟な稼働の相談もしやすい。支払いサイトは15日
| 向いている人 | 常駐とリモートを比較検討したい人 |
|---|---|
| 注意点 | 常駐案件は少数。常駐狙いなら主軸には向かない |
6. coconalaテック(直請け・先払い対応)
旧フリエンです。2021年から直請け100%を継続していると公表しており、報酬の先払い・即日払い(手数料あり)に対応しています。交通費を立て替える常駐案件では、入金を早められる仕組みに実務的な価値があります。月80万円以上の案件を2,000件以上保有しているとしています。
- 先払い・即日払いに対応(手数料あり)で資金繰りを支えやすい
- 直請け100%(2021年から継続と公表)
- 商流が浅く、中間コストを抑えやすい
- 月80万円以上の案件を2,000件以上保有と公表
| 向いている人 | 直請けの高単価を狙う人、入金を早めたい人 |
|---|---|
| 注意点 | 先払い・即日払いには手数料がかかる。標準の支払いサイトとあわせて条件を事前に確認する |
6社の比較表
| エージェント | 使いどころ | マージン | 支払いサイト |
|---|---|---|---|
| レバテックフリーランス | 公開案件10万件以上。母数の確保に | 非公開 | 15日 |
| PE-BANK | 全国12拠点。地方の常駐案件にも対応 | 8〜12% | 40日〜 |
| Midworks | エンド直70%・給与保障で商流と安定を両立 | 非公開 | 20日が基本 |
| ギークスジョブ | 出社とリモートの組み合わせ | 非公開 | 25日 |
| クラウドワークス テック | リモート案件との比較対象 | 非公開 | 15日 |
| coconalaテック | 直請け+先払いで交通費の立て替えに備える | 非公開 | 先払い・即日払いあり(手数料あり) |
エージェント選び5つのポイント
- 常駐案件の保有数を直接聞くエージェントによって「リモート中心」「常駐にも強い」と傾向が分かれます。案件票の総数ではなく、「私の条件で、いま常駐案件は何件くらいありますか」と具体的に聞くのが確実です
- マージンと手取りを確認する常駐は交通費という実コストが乗ることがあるため、手取りの把握が特に重要です。マージンを公開していない会社も多いですが、「この案件の手取りはいくらですか」と聞けば確認できます
- 通勤可能エリアを具体的に伝える「◯◯駅から片道45分以内」のように数字で伝えると、無理のない案件が紹介されます。地方在住なら拠点網のある会社を選びましょう
- 指示系統の整理のしかたを確認する偽装請負を避けるうえで最も重要な点です。「指示は誰から受けるのか」「業務範囲は契約書に明記されるか」に明確に答えられる会社を選んでください
- 支払いサイトを確認する交通費を立て替える場合は、入金の速さが資金繰りに直結します。レバテックフリーランス15日、Midworks20日、ギークスジョブ25日、PE-BANK40日〜と会社ごとに差があります
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偽装請負を避けるための3つの対策
偽装請負とは何か
偽装請負とは、契約の形式は業務委託でありながら、実態としてクライアント企業の指揮命令を受けて働いている状態を指します。契約書の名称がどうであれ、判断されるのは実態です。
フリーランスの場合、押さえておくべき法律の構造が少し違います。労働者派遣は「自己の雇用する労働者」を他人の指揮命令下で働かせることを指すため(労働者派遣法2条1号)、エージェントに雇用されていないフリーランスはこの定義に直接あてはまらないと考えられています。代わりに問題となりうるのが、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令下で労働させる「労働者供給」(職業安定法4条8項)で、同法44条により原則禁止されています。また、実態によってはフリーランス本人が労働者と判断される可能性もあります。
偽装請負になりやすいケース
- クライアントの社員から直接、作業手順や優先順位の細かな指示を受けている
- 出退勤の時刻や休憩をクライアント企業が管理している
- 休暇の取得にクライアントの承認が必要になっている
- 朝礼や社内会議への参加が義務づけられている
- 契約書に書かれていない業務を、断れない形で継続的に任されている
判断の決め手は、「何を作るか」ではなく「どう働くか」まで指示されているかです。1項目に該当するだけで直ちに違法と決まるわけではなく、実態を総合して判断されます。
避けるための3つの対策
- 契約書に業務範囲と指示系統を明記してもらう誰から指示を受けるのか(エージェント経由か、現場の窓口か)を書面に残します。口頭で説明された条件が契約書に反映されているか、署名前に照合してください
- 日常の業務記録を残す作業内容、指示を受けた相手、実際の稼働時間を日付とともに保存します。記憶ではなく記録で示せるかどうかが判断を左右します
- 違和感があればエージェントに相談する一般的なエージェント経由の案件では、契約の相手はエージェントです。間に立って調整するのが担当者の役割なので、現場で直接ぶつかる前に相談してください
罰則の対象は事業者側
相談をためらう理由として「自分も違法状態に加担していることになるのでは」という不安がありますが、罰則は事業者に向けられたものです。労働者供給の禁止に違反した場合、供給する側と供給を受ける側の事業者に、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(職業安定法44条・64条)。これらの規制は、そもそも働く側を保護するためのものです。
報酬の未払いや一方的な条件変更などのトラブルに遭った場合は、厚生労働省から委託を受けた第二東京弁護士会が運営する「フリーランス・トラブル110番」(電話0120-532-110・平日9時30分〜16時30分)で弁護士に無料相談ができます。匿名での相談も可能です。労働者派遣や労働者供給に関する問題は、都道府県労働局にも相談窓口があります。
本記事は一般的な情報であり法的助言ではありません。偽装請負にあたるかどうかは契約内容と就業の実態を総合して個別に判断されるため、不安がある場合は弁護士などの専門家にご相談ください。
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フリーランス新法と取適法で変わったこと
フリーランス新法(2024年11月施行)
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」により、発注者には次の義務が課されています。常駐案件にも同じく適用されます。
- 取引条件の明示業務内容・報酬額・支払期日などを書面または電磁的方法で明示する義務があります。口約束のまま進む常駐案件は、この観点から問題があります
- 報酬の支払期日原則として、給付を受けた日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に設定する必要があります
- 中途解除・不更新の予告6か月以上の業務委託(更新で6か月以上になる場合を含む)を途中で解除する場合や更新しない場合、原則として30日前までの予告が必要です。予告から契約終了までの間に、理由の開示を求めることもできます
- 育児・介護への配慮6か月以上の業務委託では申出に応じた配慮が義務です(6か月未満は努力義務)。オンラインでの業務遂行を認めることなども配慮の例として示されており、常駐から一部リモートへの変更を相談する根拠になり得ます
- ハラスメント対策相談体制の整備など、必要な措置を講じる義務があります
取適法(2026年1月施行)
2026年1月1日、下請法が改正され「中小受託取引適正化法(取適法)」として施行されました。「親事業者/下請事業者」という用語も「委託事業者/中小受託事業者」に改められ、中小受託事業者には個人事業主も含まれます。常駐フリーランスに関係が深いのは次の2点です。
- 協議に応じない一方的な代金決定の禁止価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じない、必要な説明をしないなどして一方的に代金を決める行為が禁止されました。協議の義務は受託側が求めたときに生じるため、自分から協議を求め、やり取りを記録に残すことが大切です
- 手形払いの禁止支払手段としての手形払いが認められなくなりました
取適法が適用されるかは、発注者の資本金や従業員数、取引の内容によって決まります。また、取適法とフリーランス新法のいずれにも違反する行為については、原則としてフリーランス新法が優先して適用されるとされています。
実務上の意味はシンプルです。単価の据え置きを一方的に告げられたら、協議を求めることを検討する価値があります。常駐案件で長年同じ単価のまま更新されてきたなら、次の更新時は交渉を申し出てみましょう。
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交通費・経費・手取りの実務
マージンで手取りはこれだけ変わる
同じ案件単価でも、マージン率によって手取りは変わります。月100万円の案件でマージン10%と25%を比べると、月15万円・年間180万円の差です。
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| 支払額(月) | 10% | 15% | 20% | 25% |
|---|---|---|---|---|
| 70万円 | 63万円 | 59.5万円 | 56万円 | 52.5万円 |
| 80万円 | 72万円 | 68万円 | 64万円 | 60万円 |
| 100万円 | 90万円 | 85万円 | 80万円 | 75万円 |
| 120万円 | 108万円 | 102万円 | 96万円 | 90万円 |
移動時間と交通費を含めた実質の時間単価
移動時間と自己負担の交通費を含めると、見かけの時間単価より2割前後下がることがあります。月単価80万円・稼働160時間の場合で計算しました。
| 条件 | 計算 | 実質の時間単価 |
|---|---|---|
| リモート(移動なし) | 80万円÷160時間 | 5,000円 |
| 常駐・片道1時間(移動を時間に含める) | 80万円÷(160時間+移動40時間) | 4,000円 |
| 上記+交通費月2万円を自己負担 | 78万円÷200時間 | 3,900円 |
交通費は経費にできるが、確認が必要
常駐先への移動にかかる費用は、事業に必要な支出であれば「旅費交通費」として経費に計上できます。領収書やIC乗車履歴、定期券の購入記録を保存しておきましょう。クライアントやエージェントから交通費が別途支給される場合は、その扱い(売上に含めるかなど)も確認が必要です。
ただし、どこまで認められるかは事業の実態によって変わります。単一のクライアントに長期常駐している場合など、判断が難しいケースもあります。
青色申告と基礎控除のライン
開業届と青色申告承認申請書を出しておくと、最大65万円の青色申告特別控除が使えます。65万円の適用には複式簿記に加えて電子申告(e-Tax)または電子帳簿保存が必要で、それ以外は55万円(簡易簿記なら10万円)です。2027年分からは要件が見直されるため、申告前に最新の条件を確認してください。
また、令和8年分の基礎控除は、合計所得金額489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円、655万円超2,350万円以下で62万円です。令和7年分(原則58万円)からさらに引き上げられました。「所得48万円を超えたら申告」という以前の目安はそのまま使えません。
経費計上の可否や範囲、控除の適用は、個々の事業の実態によって結論が変わります。判断に迷う場合は、申告の前に税理士などの専門家にご相談ください。
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よくある質問(FAQ)
「常駐だから高単価」は成り立たない。単価を決めるのはスキル・工程・商流で、交通費と移動時間を含めた実質の時間単価で判断する
エージェントは2〜3社。案件数の多いレバテックフリーランスと、マージン公開・全国拠点のPE-BANKの組み合わせが基本形
偽装請負の対策は、契約書に指示系統を明記する、業務記録を残す、違和感があればエージェントに相談する、の3つ

