フリーランスの案件がなくなったときの対処法|立て直しと予防策

フリーランスの案件がなくなったときの対処法|立て直しと予防策

参画していた案件が終わったのに、次が決まらないまま時間が過ぎていく。「来月から収入がゼロになるかもしれない」という不安は、フリーランスなら一度は経験しうるものです。結論から言えば、案件がなくなったときは「現状を数字で把握する」「複数の窓口で一斉に動く」「お金を守る制度を確認する」の3つを並行して進めれば、立て直しに向けて落ち着いて動きやすくなります。この記事では、最初の48時間でやること、2週間の行動計画、使える公的制度、条件を下げてよいかの判断、再発を防ぐ習慣までを、落ち着いて取り組める順番でまとめました。

目次

【結論】フリーランスの案件がなくなったら、最初に何をする?

案件がなくなったときは、焦って条件の悪い案件に飛びつく前に、次の3つを期限を決めて並行して進めてください。

  1. 最初の48時間で、現状を数字にする貯蓄で何か月暮らせるか、支払いの予定、案件がなくなった原因の3つを確認する
  2. 最初の1週間で、複数の窓口に一斉に動く過去の取引先への連絡、エージェント2〜3社への登録、スキルシートの更新を同時に進める
  3. 並行して、お金を守る制度と支出を見直す国民年金保険料の免除・猶予、国民健康保険料の減免、予定納税の減額申請などを確認する

期限と目標が数字で見えると、漠然とした不安は具体的な行動計画に変わります。一人で抱え込まず、使える窓口と制度を頼ってください。

順番が大事なのは、焦りから条件の悪い案件を受けると、その単価が次の基準になり、立て直しが長引きやすいからです。まず「いつまでに、いくら必要か」を決めてから動くと、受けてよい案件と見送る案件を落ち着いて判断できます。

まず何を確認する?現状を把握する3つの数字

最初に確認するのは「何か月暮らせるか」「いつ何を払うか」「いつまでに次を決めるか」の3つです。次の計算で、自分の期限を出してください。

1. すぐに使えるお金生活用・事業用の口座の残高から、今後数か月に払う税金や保険料を差し引いた額。入金が確実な未入金の報酬は加えてよい。例:180万円
2. 毎月の最低限の支出家賃、食費、通信費、国民健康保険料、国民年金保険料など。例:30万円
3. 暮らせる月数1 ÷ 2。例:6か月
4. 未入金の報酬終わった案件の報酬で、まだ入金されていないもの。最終の請求書をすぐに送り、入金予定日を確認する
5. 次の案件を決める期限暮らせる月数から、入金までのずれ(1〜2か月)を引いた時期。例:6か月 − 2か月 = 遅くとも4か月以内(余裕を見て3か月以内が目安)
数値は説明用の例です。新しい案件が決まっても、最初の入金は働き始めてから1〜2か月後になることが多いため、その分を差し引いて期限を考えます。
終わった案件の報酬は、まず確実に回収する

契約が終わったら、最終の請求書をすぐに送り、支払期日を確認してください。フリーランス法では、従業員を使う発注者は、成果物などを受け取った日から60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を決めて支払うことが原則です。期日を過ぎても入金がなければ早めに催促し、解決しない場合はフリーランス・トラブル110番に相談できます。

あわせて、これから数か月の支払いの予定を書き出してください。住民税(原則6月・8月・10月・翌年1月)、個人事業税(原則8月・11月)、所得税の予定納税(7月・11月、対象の人のみ)など、フリーランスは年に数回まとまった支払いがあります(個人事業税は課税される業種・所得の人のみ)。支払いが難しそうなものは、期限の前に窓口に相談しておくと安心です。

なぜ案件がなくなった?原因と見直すポイント

案件がなくなる原因は、取引先の偏り、参画中の営業の中断、条件や単価のずれのいずれかに当てはまることが多いです。原因によって次の打ち手が変わるので、当てはまるものを確認してください。

主な原因よくある状況次の打ち手
1社への依存売上のほとんどを1社に頼っていて、その契約が終わった窓口を複数に増やし、今後は取引先を分散する
参画中に営業を止めていた目の前の案件に集中し、終わってから探し始めた過去の取引先とエージェントに一斉に連絡する
条件や単価のずれ単価、リモート、稼働日数の条件が厳しい、または希望単価が相場とずれている譲れる条件と譲れない条件を分け、1つだけ広げる
契約を途中で切られたときは、フリーランス法のルールを確認

2024年11月に施行されたフリーランス法では、従業員を使う発注者が6か月以上続く業務委託を途中で解除したり更新しなかったりする場合、原則として30日前までに予告し、求められれば理由を示すことが定められています(例外あり)。

予告がなかった、報酬が支払われていないといったトラブルは、フリーランス・トラブル110番に無料・匿名で相談できます。個別のケースが法律の対象になるかは、同窓口や弁護士に確認してください。

出典:公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット、厚生労働省「フリーランス・トラブル110番」(2026年9月確認)

原因をさらに細かく切り分けたい場合や、タイプ別の対処法を知りたい場合は、下の関連記事を参考にしてください。

次の案件はどう探す?最初の2週間の行動計画

案件探しは、1つの手段に絞らず、複数の窓口を同時に動かすほど早く決まりやすくなります。最初の2週間は、次の順番で進めてください。

1

1〜3日目:過去の取引先と人脈に連絡する

仕事ぶりを知っている相手は、最も早く案件につながりやすい窓口です。「◯月から稼働できます」と具体的に伝えます。

2

1〜3日目:スキルシートとポートフォリオを更新する

終わった案件の担当内容と成果を追加します。公開してよい範囲は、契約や秘密保持の約束に従います。

3

1週目:エージェントに2〜3社登録し、面談を受ける

稼働できる開始日、日数、希望単価、譲れない条件を伝えます。扱う案件の傾向が違う会社を組み合わせると、紹介の幅が広がります。

4

1〜2週目:短期の案件やクラウドソーシングも並行する

本命の案件が決まるまでのつなぎとして、短期の案件や小さな仕事を受けると、収入と実績の空白を短くできます。

5

2週目:反応を振り返り、条件や伝え方を調整する

紹介や返事が少なければ、条件の幅、スキルシートの書き方、希望単価を見直します。

過去の取引先に稼働できることを伝える文例

ご無沙汰しております。◯◯です。以前は◯◯の件で大変お世話になりました。
このたび参画していた案件が区切りを迎え、◯月から週◯日ほど稼働できる状況になりました。◯◯や◯◯の分野であればお手伝いできますので、社内でご相談の機会があれば、お気軽にお声がけください。
突然のご連絡失礼いたしました。今後ともよろしくお願いいたします。

文例は編集部の作成です。「仕事がなくて困っている」ではなく「稼働できる時期と、できること」を伝えると、相手も声をかけやすくなります。
案件がないときのSNSの発信には注意

「仕事がない」「つらい」といった投稿は、本来取引先になりえた人の目に触れ、不安を持たれるおそれがあります。発信するなら、できることや実績、稼働できる時期など、前向きな情報を中心にしましょう。

収入が途絶えたとき、お金をどう守る?使える制度と支出の見直し

収入が大きく減ったら、まず「国民年金の免除・猶予」「国民健康保険料の減免」「予定納税の減額申請」の3つを、支払いの期限の前に窓口に相談するのが基本です。家賃の支払いが難しい場合は、住まいの支援もあります。

制度内容相談先と注意点
国民年金保険料の免除・納付猶予所得が少ないときに、申請して承認されると保険料の全額または一部が免除、または納付が猶予される(納付猶予は50歳未満が対象)。廃業や事業の休止の届出をしている場合は、本人の前年所得を除いて審査される特例がある市区町村の国民年金の窓口、年金事務所。原則として前年の所得で審査され、本人だけでなく配偶者や世帯主の所得も対象になる(納付猶予は本人と配偶者のみ)。申請時点から2年1か月前までの期間について申請できる
国民健康保険料の減免所得が大きく減った場合などに、保険料が減額されることがある市区町村の国民健康保険の窓口。基準は自治体ごとに異なる
予定納税の減額申請予定納税とは、前年の所得税額などをもとにした予定納税基準額が15万円以上の人が、その年の所得税の一部を7月と11月に前払いする制度。6月30日(第2期分のみは10月31日)時点の見積額が基準額を下回りそうなら、減額を申請できる税務署。第1期・第2期分は7月15日まで、第2期分のみは11月15日までに申請する。期限が土日祝日のときは翌日(2026年は11月16日)
住民税の納付の相談一度に納めるのが難しい場合、分割や徴収の猶予を相談できることがある市区町村の税の窓口。期限を過ぎる前に相談する
住居確保給付金住まいを失うおそれのある人への家賃の支援。離職・廃業から2年以内、または本人の責任や都合によらず仕事の機会が減り、収入が離職・廃業と同じ程度まで落ちた場合に、家賃(自治体ごとの上限あり)が原則3か月、延長すると最長9か月まで、家主に直接支給される市区町村の自立相談支援機関。収入や資産などの要件がある
小規模企業共済の契約者貸付加入していて、掛金を12か月以上納めている場合、払い込んだ掛金の7〜9割の範囲で事業資金などを借りられる中小機構。返済が必要な借り入れである点に注意
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」、国税庁「予定納税」、厚生労働省「住居確保給付金」、中小機構「契約者貸付制度」、国民健康保険・住民税は各市区町村の案内(2026年9月確認)。
制度を使う前に、窓口や専門家に確認を

税金や社会保険の扱いは、所得や家族構成、自治体によって変わります。申請できるか、どの制度を優先するかは、市区町村・年金事務所・税務署の窓口や、税理士などの専門家に確認してください。

廃業届を出すべき?家族の扶養に入れる?

案件がないだけで事業を続けるなら、廃業届を出す必要はありません。国民年金の特例免除や住居確保給付金は、廃業や休業の扱いで条件が変わります。案件が終わっただけで事業を続けている場合は、国民年金の特例の対象にならないことがあります。一方で、廃業すると青色申告の扱いなどにも影響します。制度を使うために廃業を考えるときは、先に税務署や市区町村に相談してください。

また、しばらく収入が大きく下がる見込みなら、配偶者などの健康保険の被扶養者になれる場合があります。基準や判定方法は健康保険組合ごとに異なるため、加入先に確認してください。

支出を見直して、暮らせる期間を延ばす

  • 使っていないサブスクや固定費を止める毎月の支出を少しでも下げると、暮らせる月数がそのまま延びる
  • 事業用の支出を一時的に絞る使っていないツールや広告費など、今すぐ必要ないものを止める
  • つなぎの仕事を検討する短期の案件のほか、派遣やアルバイトで最低限の収入を確保する選択肢もある
  • 家族や身近な人に相談する住まいや生活費の助けを得られると、焦らずに案件を選べる期間を確保できる

大切なのは、「収入を増やす」と「支出を減らす」を同時に進めることです。支出を見直して暮らせる期間を延ばせば、条件の悪い案件に飛びつかずに済みます。

条件はどこまで下げていい?受ける案件の判断基準

条件を下げるなら、単価よりも稼働日数やリモートなどの働き方の条件から広げるのが基本です。単価は一度下げると戻しにくいためです。

広げてもよい条件できるだけ守りたい条件
稼働日数(週5日を週4日、週3日も含める)時間あたりの単価(相場を大きく下回らない)
働く場所(リモートのみから、一部出社も含める)契約書や取引条件の書面での明示
契約期間(短期の案件も含める)支払期日(発注者が成果物などを受け取ってから60日以内が原則)
担当する工程や業界の幅体調を崩さずに続けられる稼働量

相場より大きく低い単価の案件を受ける場合は、「次の実績になる」「期間が短い」など、受ける理由を自分で言葉にしておくと、その単価が標準になるのを防ぎやすくなります。

気持ちが沈むときはどうする?焦らないための4つのこと

案件の増減には、景気や時期など自分以外の要因も大きく関わります。焦りや不安は判断を鈍らせるため、気持ちを保つことも立て直しの一部です。

  • 自分を責めすぎない案件が終わるのは、予算や体制の変更など発注者側の事情であることも多い
  • 生活リズムを保つ始業と終業の時刻を決め、案件探しや学習の時間を予定に入れる
  • 一人で抱え込まない同業の仲間や信頼できる人に話すと、気持ちが軽くなり、案件の情報も得られることがある
  • 小さな前進を記録する連絡した人数、面談の数など、自分で動かせる数字を毎日残す
つらさが続くときは、相談窓口を頼ってください

眠れない、気分の落ち込みが2週間以上続くといったときは、医療機関や相談窓口に早めに相談してください。厚生労働省の「こころの耳」は働く人のメンタルヘルスのポータルサイトで、無料の電話・SNS・メールの相談窓口があります。死にたいほどつらいときは、24時間対応の「#いのちSOS」(0120-061-338)に相談してください。

出典:厚生労働省「こころの耳」、特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク「#いのちSOS」(2026年9月確認)

もう繰り返さないためには?次の契約で押さえる3つの習慣

最大の予防策は、次の案件が決まった時点から「その契約が終わる前の準備」を始めておくことです。次の3つを習慣にしてください。

  1. 契約終了の1〜2か月前に、更新の見込みを確認する更新がなさそうなら、その時点で次の案件を探し始める。案件が終わるたびにスキルシートも更新しておく
  2. 取引先と窓口を分散する1社に売上の大半を頼らず、人脈・エージェント・直接の取引など複数の経路を持つ。参画中も過去の取引先との連絡を止めない
  3. 生活防衛資金を確保しておく収入が途切れても数か月暮らせる蓄えがあれば、焦らず案件を選べる

よくある質問(FAQ)

Qフリーランスの案件がなくなったら、最初に何をすればいいですか?
Aまず、貯蓄で何か月暮らせるか、これからの支払いの予定、案件がなくなった原因の3つを確認し、次の案件を決める期限を出します。そのうえで、過去の取引先への連絡とエージェントへの登録を同時に進め、並行して国民年金保険料の免除や予定納税の減額申請など、お金を守る制度を確認してください。
Q次の案件が決まるまで、どのくらいかかりますか?
A職種、実務経験、希望条件、時期によって大きく変わります。エージェント経由の場合は、面談や条件のすり合わせを経て参画が決まるまでに、数週間から1か月以上かかることがあります。新しい案件が決まっても、最初の入金は働き始めてから1〜2か月後になることが多いため、その期間も含めて資金の計画を立ててください。
Q収入がなくなったら、国民年金保険料は払わなくてもいいですか?
A払えないまま放置せず、免除や納付猶予を申請してください。所得が少ない場合は、申請して承認されると保険料の全額または一部が免除・猶予されます。審査は原則として前年の所得で行われ、本人・配偶者・世帯主(納付猶予は本人・配偶者)の前年の所得が基準を超えると対象外になる点に注意が必要です。廃業や事業の休止の届出をしている場合は、特例で認められることもあります。窓口は市区町村の国民年金の担当か年金事務所です。
Qフリーランスでも使える公的な支援はありますか?
Aあります。国民年金保険料の免除や納付猶予、国民健康保険料の減免、所得税の予定納税の減額申請のほか、廃業や、本人の責任・都合によらない収入の減少などで家賃の支払いが難しい場合は、住居確保給付金を利用できることがあります。要件は制度や自治体によって違うため、それぞれの窓口で確認してください。
Q案件がないときは、単価を下げてでも受けたほうがいいですか?
A単価は一度下げると戻しにくいため、先に稼働日数、働く場所、契約期間、担当する工程などの条件を広げるのがおすすめです。相場より大きく低い単価の案件を受ける場合は、次の実績になる、期間が短いなど、受ける理由をはっきりさせておくと、その単価が標準になるのを防ぎやすくなります。
Q契約を急に打ち切られました。何かできることはありますか?
A2024年11月に施行されたフリーランス法では、従業員を使う発注者が6か月以上続く業務委託を途中で解除したり更新しなかったりする場合、原則として30日前までに予告し、求められれば理由を示すことが定められています(例外あり)。予告がなかった、報酬が支払われていないといったトラブルは、フリーランス・トラブル110番に無料・匿名で相談できます。
Q案件がない期間は、アルバイトなどをしてもいいですか?
A基本的には問題ありません。ただし、今の契約に副業の制限がないかを確認し、給与収入は確定申告で合算して申告します。短期の案件やクラウドソーシングのほか、派遣やアルバイトで最低限の収入を確保するのも現実的な選択肢です。暮らせる期間が延びるほど、条件の悪い案件に飛びつかずに済みます。本命の案件探しに使う時間は、あらかじめ確保しておきましょう。
Qフリーランスは失業保険(雇用保険の基本手当)をもらえますか?
A雇用保険は雇われて働く人の制度のため、フリーランスとしての契約が終わっても、原則として対象になりません。会社を辞めて事業を始めた人は、事業をしている期間を基本手当の受給期間に算入しない特例を申請できる場合があります。個別の事情で扱いが異なるため、ハローワークで確認してください。
Q案件がなくなることを繰り返さないためには、どうすればいいですか?
A最大の予防策は、案件があるうちに次の準備をしておくことです。契約終了の1〜2か月前に更新の見込みを確認し、更新がなさそうならすぐ次を探し始めます。取引先と案件の窓口を分散し、生活防衛資金を確保しておくと、途切れたときも落ち着いて動けます。
この記事のまとめ

最初の48時間で、暮らせる月数と支払いの予定、原因を数字で確認し、次を決める期限を出す

過去の取引先への連絡とエージェントへの登録を同時に進め、短期の案件でつなぐ

保険料の免除・減免や予定納税の減額など使える制度を、支払いの期限の前に相談する

「今すぐ次の案件を見つけたい」「収入が途切れる不安を減らしたい」という人は、希望に合う案件を担当者が紹介してくれるエージェントを活用してください。複数社を比較して、自分に合うサービスを選ぶのがおすすめです。

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