フリーランスの実績の作り方|ゼロから始める5つの手段とコツ

フリーランスの実績の作り方|ゼロから始める5つの手段とコツ

実績がないと案件が取れない。案件がないと実績が作れない。独立したばかりの人が、最初にぶつかる壁です。結論から言えば、最初の実績は、案件を待たずに自分で作れます。「すでにある経験を実績として書き直す、自主制作で見せる材料を作る、小さな受注で実際の取引の実績を積む」の順で進めます。5つの手段の選び方、伝わる書き方、やってはいけないことまで、この1ページで整理します。

目次

【結論】実績は3つの順番で作る

フリーランスの実績は、発注者から与えられるのを待つものではなく、自分で用意できるものです。発注者が実績を見るのは、任せて大丈夫かを判断するためです。その判断材料になるものは、受注した案件だけではありません。次の順番で作ります。

  1. すでにある経験を、実績として書き直す会社員時代の仕事も、担当範囲と結果を書けば実績になる
  2. 自主制作で、見せる材料を作る相手と課題を設定し、狙いと工夫を添えて作る
  3. 小さな受注で、取引の実績を積む知人の依頼、クラウドソーシング、副業などで、実際の取引を1件終える

今日できることは、これまでに担当した仕事を3つ選び、相手、課題、自分がやったこと、結果を書き出すことです。

実務の経験がすでに数年ある人は、ゼロから実績を作る必要はありません。経験をスキルシートにまとめれば、エージェントを通じた案件に応募できる場合があります。

発注者は、実績で何を確かめているのか

実績の作り方を考える前に、発注者が実績から何を読み取ろうとしているかを押さえます。ここが分かると、何を用意すればよいかが決まります。

確かめたいこと見る材料
求める水準のものを作れるか成果物そのもの。自主制作でも示せる
自社の課題を理解できるか近い業界や課題の経験。狙いと工夫の説明
最後まで任せられるか実際の取引を終えた経験。取引先からの評価

上の2つは、受注の経験がなくても示せます。3つ目だけが、実際の取引を必要とします。つまり、実績ゼロに見える状態でも、3つのうち2つは今から用意できるということです。

会社員時代の仕事も、実績になる

フリーランスとして受けた仕事だけが実績ではありません。会社員として担当した仕事も、発注者にとっては判断材料です。社名や数値を出せない場合は、業界、規模、担当した範囲、期間で示します。

書き方の例従業員300名規模の製造業で、採用サイトの更新と求人原稿の作成を3年間担当
避けたい書き方採用業務全般を経験
※ 記入例です。自分の経験に置き換えて書いてください。

実績ゼロから作る5つの手段

実績を作る手段は、大きく5つあります。示せるものと、かかる時間が違うため、状況に合わせて選びます。

手段内容示せるもの注意点
自主制作相手と課題を想定して、成果物を作る作れる水準、考え方取引を終えた経験は示せない
知人からの依頼身近な人の困りごとを、小さく受ける実際の取引、相手の評価範囲と報酬をあいまいにしない
クラウドソーシング仕事の仲介サービスで、小さな案件に応募する実際の取引、評価の記録単価は低めになりやすい
副業在職中から、少しずつ受注する独立前からの取引の実績勤務先の就業規則を確認する
コンペや公募募集に対して作品を出し、選ばれれば採用される採用された事実選ばれなければ報酬は出ない

状況別の選び方

見せられる成果物が何もない自主制作から始める
成果物はあるが、取引の経験がない知人からの依頼か、クラウドソーシングで1件終える
会社員で、独立を考えている就業規則を確認したうえで、副業で実績を作る
実務の経験が数年ある経験を書き直し、スキルシートにまとめる

手段は1つに絞る必要はありません。自主制作で見せる材料を作りながら、小さな受注を並行するのが、早く進む組み合わせです。

自主制作で、見せる材料を作る

自主制作は、受注を待たずに今日から始められます。ただし、好きなものを作るだけでは、実績としては弱くなります。実際の仕事と同じ条件を、自分で設定して作ることが大切です。

作る前に決める4つのこと

  • 相手どんな業種の、どんな規模の事業者か
  • 課題その相手が、何に困っているか
  • 狙い成果物で、何を達成しようとするか
  • 期限何日で仕上げるか。実際の仕事と同じように区切る

職種別の例

職種作るもの添える説明
デザイナー架空の店舗の紹介ページ想定した客層と、配色や構成の理由
ライター読者を決めた見本の記事想定した読者と、構成で工夫した点
エンジニア特定の業務を助ける小さなアプリ解決する課題と、設計で判断したこと
動画編集架空の商品の紹介動画想定した視聴者と、構成の意図
POINT|自主制作であることを明記する

自主制作は、自主制作と分かるように書きます。実際に受注した仕事のように見せると、後で説明が合わなくなり、信頼を失います。「想定した課題に対する制作」と書いたうえで、狙いと工夫を説明すれば、考えて作れる人だと十分に伝わります。

実在する企業の名前やロゴを使わない

実在する企業のサイトを作り直した案や、実在のロゴを使った制作物は、商標や著作権の問題になるおそれがあります。その企業と取引があるかのような誤解も生みます。架空の名前で作るのが安全です。

小さな受注で、取引の実績を積む

見せる材料ができたら、実際の取引に進みます。ここで得たいのは、依頼を受け、納品し、相手に評価されたという事実です。

知人からの依頼を受ける

身近な事業者や、前の職場の関係者に、独立したことと、できることを伝えます。知人が相手でも、作業の範囲、納期、報酬は先に決めてください。あいまいにすると、作業が際限なく増え、関係にも影響します。

クラウドソーシングで受ける

仕事の仲介サービスには、実績を問わない小さな案件があります。応募者が多いため、次の点で差がつきます。

  • プロフィールに、自主制作へのリンクを載せる判断材料がないプロフィールは、選ばれにくい
  • 提案文を、募集内容に合わせて書く相手の課題に触れ、近い制作物を示す
  • 納期と連絡を守る評価の記録が、次の応募の材料になる
  • 件数の区切りを決めておく低い単価の案件を続けすぎない

副業で受ける

会社員のうちに実績を作っておくと、独立したときにゼロから始めずに済みます。始める前に、勤務先の就業規則で、副業が認められているか、届出が必要かを確認してください。勤務先と競合する仕事や、業務で知った情報を使う仕事は避けます。

受ける前に、実績として載せてよいかを聞く

実績を作る目的で受ける仕事は、公開できなければ目的を果たせません。契約の前に、実績として紹介してよいか、どこまで出してよいかを確かめます。

掲載の許可を尋ねる文例

納品後、今回の制作物を私の実績として紹介させていただくことは可能でしょうか。社名を出さず、業種と制作物の概要のみを載せる形でも構いません。掲載できる範囲を教えていただけますと幸いです。

2024年11月1日に施行されたフリーランス法では、発注する事業者は、業務の内容、報酬の額、支払いの期日などの取引条件を、書面またはメールなどで明示することが義務づけられています。小さな案件でも、条件は文面で受け取ってください。

出典:公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」(2026年10月確認)

実績を、受注につながる形で書く

実績は、作るだけでは伝わりません。発注者が短い時間で判断できるよう、1件ごとに同じ項目で書くと読みやすくなります。

項目書くこと
相手と課題どんな相手の、どんな課題だったか
担当した範囲全体のうち、自分が何をしたか
狙いと工夫何を考えて、どう作ったか
結果数字、相手の反応、その後の継続の有無
使った技術使った道具や技術、作業にかけた期間

1件の記入例

相手と課題地域で教室を運営する事業者。問い合わせの方法が電話のみで、受付の時間外に取りこぼしがあった
担当した範囲紹介ページの構成、文章、デザイン、問い合わせフォームの設置
狙いと工夫料金と体験の流れを最初の画面に置き、フォームの入力項目を必要なものだけに絞った
結果公開後、フォームからの問い合わせが届くようになり、続けて案内用の資料の制作を依頼された
使った技術サイト作成サービスを使用。制作期間は2週間
※ 記入例です。実際の実績に置き換えて書いてください。

数字が出せないときの書き方

結果は、数字で書けると伝わりやすくなります。ただし、数字を把握できない仕事も多くあります。その場合は、次のいずれかで具体性を出します。

  • 変える前と、変えた後を並べる何がどう変わったかを見せる
  • 相手の言葉を載せる許可を得たうえで、感想を引用する
  • その後の継続を書く続けて依頼された事実は、評価の表れになる
  • 作業の量や期間を書く何を、どれだけの期間で仕上げたか
数字や成果を、大きく見せない

根拠のない数字や、自分が関わっていない成果を書くと、面談や取引の中で説明がつかなくなります。チームの成果は、自分の担当範囲を分けて書いてください。確かめられる事実だけを載せることが、長く続く信頼につながります。

置く場所は、まず1ページでよい

実績をまとめる場所は、職種に合ったもので構いません。自分のサイト、作品を公開できるサービス、資料のファイルなどです。最初から作り込む必要はありません。1ページにまとめて公開し、応募のたびに添えることから始め、実績が増えたら入れ替えていきます。

実績作りで、やってはいけないこと

実績を急ぐあまり、後で困る選択をしてしまうことがあります。実績を作ることと、消耗することは別です。

やりがちなこと起きること代わりに
無償や極端に低い単価で、受け続けるその金額が基準になり、後から上げにくくなる件数か期間を区切り、次の案件から上げる
許可を取らずに、実績として公開する秘密保持の約束に反し、トラブルになる契約の前に、公開できる範囲を確かめる
会社員時代の成果物を、そのまま載せる権利が会社にあり、無断の利用になる内容が特定できない形で、経験として書く
数だけを増やす何が得意な人なのかが伝わらない取りたい仕事に近いものを選んで載せる

会社で作ったものの権利

会社の業務として作った成果物は、著作権法の「職務著作」の定めにより、原則として会社が著作者になります。自分が作ったものでも、自由に公開できるとは限りません。受注した仕事も、契約で権利が発注者に移っていたり、秘密保持の約束があったりします。判断に迷うものは、相手に確認してください。

契約や権利で迷ったら、専門家に相談する

権利の帰属や秘密保持の範囲は、契約の内容によって変わります。この記事は一般的な考え方をまとめたものです。個別の判断が必要な場合は、弁護士などの専門家に相談してください。報酬の未払いなどの取引上のトラブルは、厚生労働省の委託で第二東京弁護士会が運営する「フリーランス・トラブル110番」で、弁護士に無料で相談できます。

実績ができたら、次にやること

実績が数件たまったら、実績を増やす段階から、実績を選んで育てる段階へ移ります。

1

取りたい仕事に合わせて、載せる実績を選ぶ

すべてを並べるのではなく、今後受けたい仕事に近いものを前に出します。

2

単価と経路を見直す

新しい案件から単価を上げます。実績を示して、条件のよい経路にも応募します。

3

得意な分野を決め、発信する

実績が同じ分野に集まると、「この分野ならこの人」と覚えてもらいやすくなります。

3つ目は、実績を個人のブランドに育てる段階です。同じ分野の実績を重ね、プロフィールや発信の内容をそろえていくと、相手から指名で相談が来る状態に近づきます。

よくある質問(FAQ)

Qフリーランスの実績は、どうやって作ればよいですか?
A3つの順番で作ります。まず、会社員時代を含むこれまでの経験を、担当範囲と結果が分かる形で書き直します。次に、相手と課題を想定した自主制作で、見せる材料を作ります。最後に、知人の依頼やクラウドソーシングなどの小さな受注で、実際の取引の実績を積みます。
Q実績がゼロでも、案件は取れますか?
A取れます。発注者が実績で確かめたいのは、求める水準のものを作れるか、課題を理解できるか、最後まで任せられるかの3つです。前の2つは、自主制作と、その狙いの説明で示せます。実績を問わない小さな案件から始めれば、取引の実績も作れます。
Q会社員時代の仕事は、実績として使えますか?
A使えます。業界、規模、担当した範囲、期間を書けば、判断材料になります。ただし、会社の業務で作った成果物は、原則として会社に権利があります。成果物そのものを公開するのではなく、内容が特定できない形で、経験として書いてください。
Q自主制作は、実績として認められますか?
A作れる水準と考え方を示す材料として、十分に役立ちます。相手、課題、狙い、期限を設定して作り、その説明を添えてください。自主制作であることは明記します。実際に受注した仕事のように見せると、後で説明が合わなくなり、信頼を失います。
Q実績作りのために、無償で仕事を受けてもよいですか?
A受ける場合は、件数か期間を区切ってください。区切りなく続けると、その条件が基準になり、後から報酬を上げにくくなります。無償でも、作業の範囲と、実績として公開できることは、先に確認します。公開できなければ、実績作りの目的を果たせません。
Q受けた仕事を、実績として公開してもよいですか?
A相手の許可が必要です。契約で秘密保持が定められていたり、成果物の権利が発注者に移っていたりするためです。契約の前に、公開できる範囲を確かめてください。社名を出せない場合は、業種と課題、担当した範囲だけを書く方法があります。
Q数字で示せる成果がありません。どう書けばよいですか?
A変える前と後を並べる、許可を得て相手の言葉を載せる、続けて依頼された事実を書く、作業の量や期間を書く、といった方法で具体性を出せます。根拠のない数字を書くと、面談で説明がつかなくなります。確かめられる事実だけを載せてください。
Q実績は、何件くらいあればよいですか?
A件数の決まった目安はありません。数より、取りたい仕事に近い実績があるかどうかが重要です。相手の業界や課題に近いものが1件あれば、関係の薄いものを多く並べるより伝わります。実績が増えたら、載せるものを選んで入れ替えてください。
Q副業で実績を作るときの注意点は?
A始める前に、勤務先の就業規則で、副業が認められているか、届出が必要かを確認してください。勤務先と競合する仕事や、業務で知った情報を使う仕事は避けます。本業に支障が出ない作業量にとどめることも大切です。
この記事のまとめ

実績は待つものではなく、自分で用意できる。すでにある経験を書き直し、自主制作で材料を作り、小さな受注で取引の実績を積む

実績は、相手と課題、担当した範囲、狙いと工夫、結果、使った技術の5項目で書く。数字が出せなければ、変化や相手の言葉で示す

無償や低い単価は区切りを決め、公開の許可は契約の前に取る。会社で作ったものは、権利を確認してから扱う

実績がたまってきたら、単価の低い案件を続けるより、実績を示して条件のよい案件に応募する段階です。エージェントは、対応する職種や案件の種類がサービスごとに違うため、自分の経験に合うものを確かめておくと動きやすくなります。

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