
フリーランス(個人事業主)になると、「会社がやってくれていた手続き」が一気に“自分の管理”になります。
その中でも開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)は、フリーランスとしてのスタートを整えるための土台です。
ただ、安心してください。
開業届でやることは、実はシンプルです。
- ① 開業日と事業の内容を決める
- ② 書類を作る(開業届+必要なら青色申告の申請)
- ③ 税務署に提出する(窓口/郵送/e-Tax)
この記事では「制度の暗記」ではなく、結局なにをどうすればいいかに絞って、開業届まわりをこのページで完結できるようにまとめました。
開業届で損しない「3ステップ」

ステップ1:開業日は悩みすぎないでOK
開業届は「開業の日から1か月以内」に提出する扱いです。
なので、完璧な日付を探すより、自分が事業を始めた日(始める日)を自分で決めて前に進むのが大事。
ステップ2:青色申告を狙うなら「青色申告承認申請書」を最優先
フリーランスで節税・事務負担の軽減を考えるなら、多くの人は青色申告を視野に入れます。
青色申告の申請期限は原則「その年の3月15日まで」または「開業日から2か月以内」など条件があります(開業時期で変わります)。
開業届とセットで準備すると、あとで後悔しにくいです。
ステップ3:提出方法は3つ。おすすめは「e-Tax」か「郵送」
提出は「窓口」「郵送」「e-Tax(オンライン)」の3つ。
2025年(令和7年)1月から、紙提出の控えに収受印を押さない運用になったため、提出した証拠の残し方もセットで考えるのがポイントです。
そもそも開業届とは?|提出期限・出さないとどうなる
開業届=「事業を始めました」と税務署に届ける書類
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は、個人で事業を始めたことを税務署に届け出るための書類です。
提出期限は「開業の日から1か月以内」
国税庁の手続き案内では、開業届は「開業の日から1か月以内」が目安として示されています。
出していない人もいる(ただし後で困ることが多い)
実務上、「開業届を出していない=すぐ罰則」という話ではありませんが、
- 事業の証明が必要になった(口座開設、契約、補助金など)
- 青色申告の申請が間に合わず、控除の選択肢が狭まった
- いざ確定申告の段階でバタバタした
という後からの問題が起きやすいです。
結論:出せるなら出した方がラクです。
会社(正社員)を辞める前にやっておくこと|開業届の準備チェックリスト
ここからが本題です。
「退職してから動こう」とすると、独立直後の忙しさで手続きが後回しになりがち。
なので、退職前に決めるものだけ決めておくのが強いです。
1)開業日を決める(迷ったときの決め方)
開業日で悩む人は多いですが、よくある決め方はこの3つです。
- 案件の初稼働日(請求が発生する日)
- 屋号で活動開始する日(名刺・サイト公開など)
- 退職日の翌日(気持ちよく切り替える派)
ポイントは、自分で説明できる日付にすること。
(例:「初回の業務委託契約が始まった日なので開業日としました」など)
2)屋号はあってもなくてもOKだけど、決めておくと便利
屋号は必須ではありません。
ただ、請求書・名刺・サイト表記・口座などで統一したいなら、最初に仮決めしておくとラクです。
- 個人名でやる → そのままでも問題なし
- 屋号でやる → 早めに決めると、事業の見え方が整う
3)「事業内容(職業)」は“相手に伝わる言葉”にする
開業届の職業・事業の概要は、難しく書く必要はありません。
むしろ、税務署の人や第三者が読んで分かる表現が正解です。
例)
- Webディレクター(Webサイト運用・改善支援)
- Web制作(デザイン、コーディング、保守)
- ライティング(SEO記事制作)
- 動画編集・制作
4)マイナンバーカード(or 代替書類)を準備しておく
開業届には個人番号(マイナンバー)の記載欄があり、提出時に本人確認が絡みます。
マイナンバーカードがあると1枚で完結するケースが多く、独立後の確定申告(e-Tax)でも役立ちます。
5)青色申告をやるなら「申請期限」だけ先に押さえる
青色申告の申請期限は、開業のタイミングによって変わります。
独立直後にバタつくほど提出が遅れやすいので、退職前に「出す/出さない」を決めておくのが安全です。
開業届の書き方|迷うポイントだけ例つきで解説
ここでは「全部の欄を細かく解説」ではなく、つまずきやすい箇所だけを押さえます。
① 納税地・住所・氏名
基本は住民票の住所でOK。
事業所(自宅兼事務所など)を書く欄もありますが、実態に合わせれば問題ありません。
② 開業日(=あなたが決めるスタート日)
上で決めた日付を書きます。
迷ったら「初めて仕事として稼働した日」「退職翌日」のどちらかが定番。
③ 職業・事業の概要(“伝わる日本語”が正解)
難しい業界用語より、説明的でOKです。
例)
- 職業:Webディレクター
事業の概要:Webサイト運用支援、アクセス解析、UI/UX改善提案 - 職業:Web制作
事業の概要:Webサイト制作、保守運用、コンテンツ更新
④ 屋号(空欄でもOK)
屋号が未確定なら空欄でも問題ありません。
ただし、名刺や請求書で屋号運用するなら書いておくと統一できます。
提出方法は3つ|窓口・郵送・e-Tax(おすすめと注意点)
開業届の提出方法は大きく3つです。
提出方法
| 提出方法 | メリット | 注意点 |
| e-Tax(オンライン) | 24時間提出できる/履歴が残る | 事前設定が必要(マイナンバーカード等) |
| 窓口持参 | その場で提出できる | 平日の日中のみ/控えの収受印は2025年以降押されない |
| 郵送 | 行く時間がいらない | 必要書類のコピー同封など準備が必要 |
【重要】2025年(令和7年)1月から「控えに収受印が押されない」
国税庁の案内として、令和7年1月から申告書等の控えに収受日付印の押なつを行わない運用が示されています(開業届も対象に含まれます)。
じゃあ「提出した証拠」はどう残す?
現実的には、次のセットで残すのが安全です。
- e-Tax:送信データ+受信通知(メッセージボックス)を保存・印刷
- 郵送:発送記録が残る方法(レターパック等)+送付内容のコピー
- 窓口:提出した書類のコピー+提出日メモ(必要なら税務署に確認)
開業届と一緒に出すべき書類|多くの人はこの2つでOK
国税庁の案内でも、開業時に必要な届出が整理されています。
1)青色申告承認申請書(青色申告をしたい人)
青色申告をするならほぼ必須。
期限を逃すと、その年は白色になる可能性があります。
2)(必要な人だけ)給与支払事務所等の開設届出書
- 家族や従業員に給与を払う
- 外注先ではなく「給与」として支払う
こういう場合に検討が必要です(該当しない人はスルーでOK)。
※このあたりは事業形態で変わるので、迷ったら税務署か税理士に確認が早いです。
退職〜独立の流れで見る|開業届のおすすめタイムライン
退職前(できれば1〜2週間前まで)
- 開業日を決める
- 事業内容(職業・概要)を決める
- 屋号を仮決め(必要なら)
- 青色申告をするか決める(するなら申請書も準備)
退職後〜開業日から1か月以内
- 開業届を提出(e-Tax/郵送/窓口)
- 提出した証拠(受信通知など)を保存
よくある質問(FAQ)
- 開業届は開業前に出せる?
-
基本的には「事業を開始した(する)ことを届け出る」書類なので、実務上は開業日を決めて提出という流れで動く人が多いです。提出時に迷うなら、開業日を「提出日」または「初稼働日」に寄せると運用しやすいです。
- e-Taxで出すと本人確認書類はどうなる?
-
国税庁の案内では、e-Tax提出の場合は本人確認書類の提示・写し添付が不要とされています。
- 郵送で出すときに必要なものは?
-
一般的には、開業届に加えて、本人確認・マイナンバー確認書類のコピー等を同封します(マイナンバーカードがあれば両面コピーなど)。
- 収受印がないと、開業届を出した証明ができない?
-
令和7年1月から控えへの収受印押なつが行われない運用です。
そのため、e-Taxの受信通知など「提出した履歴」を残す運用が現実的です。
まとめ
- 開業日を決めた(初稼働日/退職翌日など、説明できる日)
- 職業・事業の概要を“伝わる日本語”で決めた
- 屋号を使うなら仮決めした(空欄でもOK)
- 青色申告をするなら「青色申告承認申請書」も一緒に準備した
- 提出方法を決めた(e-Tax/郵送/窓口)
- 提出した証拠の残し方を決めた(令和7年1月から収受印なし)
