フリーランスの単価が下がる原因とは?対策まで徹底解説

フリーランスの単価が下がる原因とは?対策まで徹底解説

「更新のたびに単価を下げられる」「同じ金額なのに作業ばかり増えている」と不安になっていませんか。結論から言えば、単価が下がったときは「名目か実質かを切り分け、外部要因か自分側の要因かを見極め、原因に合った手を打つ」のが基本です。原因の見分け方、下落のサイン、値下げを打診されたときの返し方と例文、法律で守られる範囲まで、このページで次の一手を決められるように整理しました。

目次

【結論】フリーランスの単価が下がったらどうすればいい?

フリーランスの単価が下がるとは、提示される報酬額そのものが下がる「名目の下落」と、金額は同じでも作業量やコストの増加で時間あたりの価値が目減りする「実質の下落」の両方を指します。対処は次の3つの順で進めてください。

  1. 名目か実質かを切り分ける報酬額の推移に加え、稼働時間と経費から実質の時間単価を計算して比べる
  2. 外部要因か自分側の要因かを見極める同じ職種の相場と比べ、自分だけが下がっているなら、スキル・見せ方・取引先の偏りなど自分側の要因を疑う
  3. 原因に合った手を打つ範囲の整理と単価交渉、スキルの更新、取引先の分散、単価の水準が高めの経路への切り替えを組み合わせる

一方的で著しく低い単価の押し付けは、フリーランス法などで禁止される場合もあります。

今の単価が相場より低いかを手早く確かめたい場合は、エージェントで同じスキルの案件の単価を比べてみる方法があります。条件の交渉を担当者に任せられるのも利点です。

「単価が下がる」とは?名目の下落と実質の下落の違い

単価の下落には、報酬額そのものが下がる「名目の下落」と、報酬額は同じでも時間あたりの価値が下がる「実質の下落」の2種類があります。見落とされやすいのは実質の下落です。

種類起きていること主な打ち手
名目の下落契約更新で単価を下げられる、以前より安い案件しか決まらない相場の確認、単価交渉、取引先や案件を探す経路の見直し
実質の下落報酬は同じでも、作業範囲や稼働時間が増える、ツール代などの経費が上がる担当範囲の整理と再契約、追加作業の別料金化、値上げの相談

実質の下落は、月の報酬を実際に働いた時間で割った「実質の時間単価」で確かめます。

以前月60万円 ÷ 140時間 = 約4,286円
現在月60万円 ÷ 170時間 = 約3,529円(打ち合わせや追加対応で稼働が増えた)
結果報酬額は同じでも、実質の時間単価は約18%下がっている
計算例は編集部の作成です。経費が増えた場合は、報酬から経費を引いた金額で計算すると、より実態に近くなります。

単価が下がる外部要因は?市場・生成AI・予算・制度の4つ

外部要因は、同じ職種・同じスキルの人の単価が全体として下がる原因です。自分だけの問題ではないと知るだけでも、必要以上に自信をなくさずに済みます。

需要と供給の変化参入者が増えてスキルが一般的になると、供給が増えて単価が下がりやすい。学びやすい領域ほど価格競争になりやすい
生成AIによる効率化定型的な作業ほど生成AIやツールで効率化され、その作業の単価には下げる圧力がかかりやすい。一方で、AIを使って成果の質や量を上げる側に回れば、価値を高める機会にもなる
景気と発注者の予算業績が悪化すると、企業は外注の予算を見直しやすい。プロジェクトの縮小や発注単価の見直しとして表れる
インボイス制度の経過措置免税事業者に発注した企業が控除できる仕入税額の割合は、2026年9月30日までは80%、2026年10月1日以降は70%に縮小される。免税事業者は、この切り替えの前後で取引条件の見直しを打診されることがある
出典:国税庁「適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに係る経過措置」(2026年10月1日から2028年9月30日までは仕入税額相当額の70%。その後も段階的に縮小)(2026年9月確認)。

なお、市場全体では単価が下がっていない職種も多くあります。たとえばITフリーランス向け案件の平均単価は、フリーランスボードの調査で2025年9月の月75.2万円に対し、2026年9月は月75.4万円とほぼ横ばいでした。相場が横ばいなのに自分の単価だけが下がっている場合は、次の自分側の要因を疑いましょう。

出典:フリーランスボード「フリーランス案件の平均単価」調査(2025年9月5日時点・2026年9月7日時点の集計。2025年9月10日・2026年9月14日発表)。掲載案件数は各時点で異なり、掲載データにもとづく平均で、個人の単価を示すものではありません。

単価が下がる自分側の要因は?よくある5つの原因

自分側の要因は、相場が保たれているのに自分の単価だけが下がる原因です。改善できる余地が大きいため、心当たりがないか確認してください。

  1. スキルや実績が需要とずれている数年前のスキルのまま更新していないと、需要の高い領域の単価の上昇から取り残される
  2. 提供価値を言葉にできていない成果や得意分野を伝えられないと、価格だけで比べられ、安い人に置き換えられやすい
  3. 単価の交渉をしていない更新のたびに据え置きを受け入れると、担当範囲が広がるほど実質の単価が下がる
  4. 単価の低い経路だけで探している応募が集まりやすい場だけで案件を探すと、発注者が有利な条件から抜け出しにくい
  5. 1社・少数の取引先に頼っている収入の大半を1社に頼ると、値下げを求められても断りにくくなる
1社への依存がいちばん危ない

収入の大半を1社に頼っていると、相手の都合で単価を下げられても受け入れるしかなくなります。ほかの取引先や収入源があるほど、落ち着いて交渉できます。取引先の分散は、単価を守るための大きな備えです。

単価が下がった原因はどう見分ける?サイン別の診断表

原因は「同じ職種の相場と比べて自分だけが下がっているか」「報酬額と稼働時間のどちらが変わったか」の2点で見分けられます。起きていることから、原因と最初の一手を確認してください。

起きていること考えられる原因最初の一手
報酬は同じだが、作業量や稼働時間が増えた実質の下落(範囲の広がり)実質の時間単価を計算し、範囲の整理か単価の見直しを相談する
同じ職種の相場も下がっている外部要因(需給・生成AI)需要が伸びている領域へスキルを少しずつ広げる
相場は横ばいなのに、自分の提示額だけ下がる自分側の要因(スキル・見せ方)実績を数字で示し、プロフィールと提案内容を見直す
取引先から「予算が厳しい」と値下げを打診された発注者の予算削減、依存による交渉力の低下範囲を減らす代案を示し、並行して取引先を増やす
問い合わせの予算感が全体に低くなった単価の低い経路への偏りエージェントや紹介など、単価の水準が高めの経路を増やす
免税事業者で、取引条件の見直しを打診されたインボイス制度の経過措置の縮小登録するかどうかを試算し、条件を話し合う

単価が下がる前に出るサインは?早めに気づくためのチェックリスト

単価の下落は突然ではなく、多くの場合じわじわ進みます。次のサインが2つ以上当てはまるなら、早めに手を打ちましょう。

  • 契約更新のたびに「予算が厳しくて」と相談される
  • 同じ報酬なのに、求められる作業量や責任の範囲が増えている
  • 新しい問い合わせの予算感が、以前より低いものばかりになった
  • 得意分野で、自分より安く請け負う人の話を聞くようになった
  • 任される作業が、生成AIやツールで代わりやすい定型作業に偏ってきた
  • 収入の半分以上を1社に頼っている

単価の下落を食い止めるには?5つの対策

外部要因は変えられなくても、スキル・見せ方・交渉・取引先・経路の5つは自分で変えられます。原因に合うものから取り組んでください。

  • スキルを需要に合わせて更新する需要が伸びている領域や、生成AIを使いこなして成果の質を上げる方向へ、少しずつ軸足を移す
  • 提供価値を実績つきで言葉にする数字や事例で「任せる理由」を示し、価格以外で選ばれる状態をつくる
  • 更新の時期に単価を相談する担当範囲の変化や成果を根拠に、契約更新の前に見直しを申し入れる
  • 取引先を分散させる1社への依存を下げ、条件が合わない依頼を断れる状態をつくる
  • 単価の水準が高めの経路を増やすエージェント経由や紹介など、相場を確かめながら取引できる経路を持つ

値下げを打診されたらどうする?返し方の手順と例文

値下げを打診されたら、その場で受け入れず、理由を確認したうえで「範囲を減らして金額を合わせる」代案を示すのが基本です。単価だけを下げると、次の更新でもさらに下げられやすくなります。

1

その場で答えず、理由と希望額を聞く

「持ち帰って検討します」と伝え、値下げの理由、希望の金額、いつからの適用かを確認します。やり取りはメールなど記録に残る形にします。

2

自分の下限と相場を確かめる

実質の時間単価、同じ条件の相場、これを下回るなら続けない下限を確認します。ほかの取引先で埋められる見込みがあるかも考えます。

3

範囲を減らす代案を示す

単価は保ったまま、作業範囲・稼働時間・納品物を減らして予算に合わせる案を出します。期間を区切った一時的な調整にする方法もあります。

4

下限を下回るなら、離れる判断もする

代案が通らず下限を下回る場合は、次の更新で終了することも選択肢です。空いた時間で単価の高い案件を探すほうが、長い目で収入を守れることがあります。

値下げの打診に範囲の調整で返す(例文)

件名:次回契約の条件についてのご相談

◯◯様

いつもお世話になっております。◯◯です。
先日は、次回契約の単価についてご相談いただきありがとうございました。

ご予算のご事情は承知いたしました。一方で、現在の業務内容を保ったまま単価を下げると、品質を維持するのが難しくなります。
そこで、単価は据え置いたまま、月の稼働を◯時間から◯時間に減らし、◯◯の作業を対象外とする形で、ご予算に合わせる案はいかがでしょうか。

内容を詰めるため、短いお打ち合わせのお時間をいただけますと幸いです。
引き続きよろしくお願いいたします。

例文は編集部の作成です。相手や状況に合わせて調整してください。

単価の引き下げは違法にならない?法律で守られる範囲

話し合いのうえで合意した単価の見直しは、それだけで違法にはなりません。ただし、一方的で著しく低い単価の押し付けや、決めた報酬を後から減らすことは、法律で禁止される場合があります。

法律対象になる発注者単価に関わる主なルール
フリーランス法(2024年11月1日施行)すべての発注事業者(明示義務)。禁止行為は、従業員を使う発注者など(特定業務委託事業者)が1か月以上の業務を委託する場合報酬額などの取引条件の明示を義務づけ。フリーランスに責任がないのに決めた報酬を後から減らす「減額」、通常の対価より著しく低い報酬を不当に定める「買いたたき」を禁止
取適法(2026年1月1日施行)取引の内容に応じて、資本金や従業員数の基準を満たす発注者(個人のフリーランスへの発注も対象)受注側から価格の協議を求められたのに協議に応じない、または必要な説明をしないまま、一方的に代金を決めることを禁止
出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット、政府広報オンライン「2026年1月から下請法が『取適法』に!委託取引のルールが大きく変わります」(2026年9月確認)。同じ行為が両方の法律に違反する場合は、原則としてフリーランス法が適用されます。

フリーランス法の減額と買いたたきの禁止は、フリーランス本人が同意していても違反になり得ます。また、取適法の協議のルールは、受注側が協議を求めたことが前提になるため、コストの上昇などを理由に見直しを求めるときは、メールなど記録に残る形で申し入れましょう。

インボイス制度に関しては、公正取引委員会などが、免税事業者との取引で、十分に協議せずに一方的に価格を引き下げることは、独占禁止法(優越的地位の濫用)や取適法(買いたたき)などの問題になり得るとの考え方を示しています。

出典:財務省・公正取引委員会・経済産業省・中小企業庁・国土交通省「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」(令和8年1月30日改正版、2026年9月確認)。
  • フリーランス・トラブル110番厚生労働省の委託で第二東京弁護士会が運営。弁護士に無料で相談でき、和解のあっせんも利用できる
  • 取引かけこみ寺中小企業庁の相談窓口。2026年1月1日に「下請かけこみ寺」から名前が変わった
法律の適用は個別に確認を

法律が適用されるかどうかは、契約の期間や内容、発注者の規模などによって異なります。個別の事案は、フリーランス・トラブル110番や公正取引委員会の窓口、弁護士などの専門家に確認してください。

よくある質問(FAQ)

Qフリーランスの単価が下がる原因は何ですか?
A大きく外部要因と自分側の要因があります。外部要因は、参入者の増加による供給過多、生成AIによる定型作業の効率化、景気悪化による発注者の予算削減、インボイス制度の経過措置の縮小などです。自分側の要因は、スキルが需要とずれている、提供価値を言葉にできていない、単価交渉をしていない、単価の低い経路だけで探している、1社に頼っているの5つがよくあります。
Q単価が下がった原因が自分にあるかどうかは、どう見分ければいいですか?
A同じ職種・同じ条件の相場と比べます。相場も下がっているなら外部要因、相場は横ばいなのに自分の単価だけが下がっているなら、スキルや見せ方、取引先の偏りなど自分側の要因を疑います。あわせて、報酬額と稼働時間のどちらが変わったかを確認すると、名目の下落か実質の下落かも切り分けられます。
Q報酬額は変わっていないのに、単価が下がったと感じるのはなぜですか?
A作業範囲や稼働時間、経費が増えて、時間あたりの価値が目減りする「実質の下落」が起きている可能性があります。月の報酬を実際に働いた時間で割って実質の時間単価を計算し、以前と比べてください。下がっていれば、範囲の整理や追加作業の別料金化、単価の見直しを相談します。
Q取引先から値下げを打診されたら、どう返せばいいですか?
Aその場で受け入れず、理由・希望額・適用時期を確認したうえで、単価は保ったまま作業範囲や稼働時間を減らして予算に合わせる代案を示すのが基本です。自分の下限を下回る場合は、次の更新で終了する判断も選択肢になります。やり取りはメールなど記録に残る形で進めます。
Q契約更新で単価を下げられるのは違法ですか?
A話し合いのうえで合意した単価の見直しは、それだけで違法にはなりません。ただし、フリーランス法では、従業員を使う発注者など(特定業務委託事業者)が1か月以上の業務を委託する場合に、通常の対価より著しく低い報酬を不当に定める「買いたたき」や、決めた報酬を後から減らす「減額」を禁止しています。取適法でも、一定の規模の発注者が、受注側から価格の協議を求められたのに協議に応じず、または必要な説明をせずに、一方的に代金を決めることが禁止されています。
Q免税事業者だと単価を下げられやすいのですか?
A免税事業者に発注した企業が控除できる仕入税額の割合は、2026年9月30日までは80%、2026年10月1日以降は70%に縮小されるため、取引条件の見直しを打診されることがあります。ただし、十分に協議せず一方的に価格を引き下げることは、独占禁止法(優越的地位の濫用)や取適法(買いたたき)などの問題になり得るとされています。インボイスに登録するかどうかを試算したうえで、条件を話し合いましょう。
Q不当な値下げで困ったときは、どこに相談できますか?
A厚生労働省の委託で第二東京弁護士会が運営する「フリーランス・トラブル110番」では、弁護士に無料で相談でき、和解のあっせんも利用できます。中小企業庁の「取引かけこみ寺」や、公正取引委員会の窓口にも相談できます。
この記事のまとめ

単価の下落には名目と実質の2種類がある。報酬額が同じでも、実質の時間単価を計算し、同じ職種の相場と比べて外部要因か自分側の要因かを見分ける

値下げを打診されたらその場で受けず、理由を聞き、下限と相場を確かめ、単価を保って範囲を減らす代案を示す。下限を下回るなら離れる判断もする

合意した見直しは違法ではないが、一方的で著しく低い単価や決めた報酬の減額は、フリーランス法や取適法で禁止される場合がある。困ったら無料の相談窓口を使う

単価の下落を食い止める手堅い一歩は、エージェントで同じスキルの案件の単価を確かめ、自分の単価と比べることです。複数の案件を比べて、今の単価が市場とずれていないかを把握しましょう。

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