
スキルも実績も上がったのに、単価は据え置きのまま。値上げを切り出したいけれど、嫌われないか、契約を切られないかと迷っていませんか。結論から言えば、値上げは「相場・実績・下限を準備し、契約更新の1〜2か月前に、感謝・根拠・具体額・相談の順で伝える」のが基本です。準備の中身、場面別のメール例文、断られたときの返し方、交渉を後押しする法律まで、このページで値上げの連絡を完成できるように整理しました。
【結論】フリーランスは値上げをどう伝えればいい?
フリーランスの値上げの伝え方とは、これまでの感謝を伝えたうえで、単価を上げる根拠と具体的な金額を示し、「相談」の形で合意を目指す進め方です。次の3つを押さえてください。
- 先に準備する相場、担当範囲の変化や成果などの根拠、これを下回るなら続けない下限を決める
- 区切りのタイミングで伝える契約更新の1〜2か月前や新しい案件の開始前など、相手が予算を調整できる時期に切り出す
- 感謝・根拠・具体額・相談の順で伝える一方的な通知ではなく相談の形にし、適用時期や段階的な値上げなどの選択肢も添える
値上げは、提供する価値に見合う報酬を求める対等な取引先としての自然な相談です。
自分で値上げを切り出すのがどうしても苦手な場合は、単価の交渉を担当者が代わりに行うエージェント経由の案件を選ぶ方法もあります。
なぜ値上げを言い出せない?関係を壊さないための考え方
値上げを言い出せない理由の多くは、「断られて関係が悪くなるのが怖い」という不安です。しかし、何も言わなければ単価は上がらず、担当範囲が広がっても報酬は据え置きのままになります。
値上げで関係がこじれるのは、多くの場合、伝え方が一方的だったり、根拠がなかったりしたケースです。感謝と根拠をセットにし、相手の予算の事情にも配慮して相談の形で伝えれば、前向きに検討してもらえる可能性は高まります。
- 値上げの理由になること担当範囲の広がり、成果や実績の積み上がり、スキルの向上、相場の上昇、作業にかかるコストの上昇
- 理由になりにくいこと「生活が苦しい」など自分の事情だけの理由。相手にとっての価値の変化として説明する
値上げを切り出す前に何を準備する?根拠と希望額・下限の決め方
値上げを伝える前に、相場・実績の根拠・希望額・下限の4つを決めておきます。準備がないと、相手のペースで中途半端に妥協したり、根拠が弱く断られたりしやすくなります。
| 相場 | 同じ職種・スキル・稼働条件の単価の目安。今の単価が相場のどのあたりかを把握する |
|---|---|
| 実績の根拠 | 契約当初からの担当範囲の変化、成果の数字、任されるようになった業務を具体的に書き出す |
| 希望額 | 相場と実績から、提示する金額を決める。一度に大きく上げると断られやすいため、相手が受け入れやすい幅にとどめ、大きく上げたい場合は2回の更新に分けて提案する |
| 下限(撤退ライン) | これを下回るなら範囲を減らすか、更新しないと判断する金額。ほかの収入源があるほど落ち着いて交渉できる |
相場を根拠に使うときは、稼働日数や商流、担当範囲などの条件をそろえた数字で比べると、説得力が増します。
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値上げはいつ、どう伝える?タイミングと基本の型
値上げは、契約更新の1〜2か月前や新しい案件の開始前など、相手が予算を調整できる時期に、「感謝・根拠・具体額・相談」の順で伝えます。プロジェクトの途中や、更新の直前に急に持ち出すと、相手が対応できずに断られやすくなります。
| 順番 | 伝えること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 感謝 | これまでの取引への感謝を最初に伝える |
| 2 | 根拠 | 担当範囲の変化、成果、相場など、客観的な事実で説明する |
| 3 | 具体額と適用時期 | 「◯◯円から◯◯円へ、◯月の更新分から」と、金額と時期をはっきり示す |
| 4 | 相談の姿勢 | 一方的な通知ではなく相談の形にし、段階的な値上げなどの選択肢も添える |
口頭で相談した場合も、合意した金額と適用時期は、メールや発注書で必ず記録に残します。
値上げを伝えるメールの例文は?状況別の4パターン
値上げのメールは、値上げの理由に合わせて「実績・範囲の拡大」「コストの上昇」「関係を重視したやわらかい相談」の3つの型を使い分け、チャットでは短く切り出します。◯◯の部分を自分の状況に置き換えてください。
実績や担当範囲の広がりを根拠に伝える(例文)
件名:次回契約更新時の単価についてのご相談
◯◯株式会社 ◯◯様
いつも大変お世話になっております。◯◯です。日頃よりご依頼をいただき、心より感謝申し上げます。
次回の契約更新にあたり、単価についてご相談させていただきたくご連絡いたしました。契約当初から担当範囲が広がり、現在は◯◯や◯◯もご対応させていただいております。こうした業務内容の変化と現在の相場を踏まえ、◯月の更新分から単価を◯◯円から◯◯円へ見直していただけないかと考えております。
ご事情もあるかと存じますので、一度お打ち合わせでご相談させていただけますと幸いです。
作業にかかるコストの上昇を根拠に伝える(例文)
件名:報酬単価についてのご相談
◯◯様
いつもお世話になっております。◯◯です。
業務に使うツールや機材などの費用が上がっており、現在の単価では品質を保った対応を続けることが難しくなってまいりました。つきましては、◯月のご依頼分から単価を◯%ほど見直させていただけないでしょうか。
ご予算の都合もあるかと存じますので、段階的な見直しなども含め、価格について一度ご協議の機会をいただけますと幸いです。
関係を重視して、やわらかく相談する(例文)
件名:報酬についてのご相談
◯◯様
お世話になっております。◯◯です。いつもご一緒させていただき、ありがとうございます。
ご相談しづらいお話で恐縮なのですが、報酬の単価について一度ご検討いただけないかと思い、ご連絡しました。おかげさまで対応できる範囲も増えてまいりましたので、現在の◯◯円から◯◯円ほどでご調整いただけると大変ありがたく存じます。
難しい場合は、遠慮なくお聞かせください。引き続きしっかりご対応してまいります。
チャットで短く切り出す(例文)
◯◯さん、いつもありがとうございます。次回の契約更新にあたり、単価について一度ご相談させていただきたいのですが、今週か来週で15分ほどお時間をいただけますか。
値上げを受け入れてもらいやすくするコツは?
値上げを受け入れてもらいやすくするコツは、相手が選べる選択肢を用意しておくことです。「受けるか断るか」の二択にしないことで、話し合いが前に進みやすくなります。
- 「すぐに難しければ次の更新から」など、適用時期の選択肢を用意する
- 一度に大きく上げず、段階的に上げる案を示す
- 「この金額が難しければ、担当範囲を◯◯に絞る形でも」と範囲の調整案を添える
- 具体的な実績や成果を、数字で根拠として示す
- 今後も貢献していく前向きな姿勢をあわせて伝える
新しい取引先には、最初から見直した単価で提案するのも有効です。既存の取引先の単価を一度に上げるより、新しい案件で適正な単価を積み上げ、全体の単価を上げていくほうが現実的な場合もあります。
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値上げを断られたらどうする?返し方と次の一手
値上げを断られても、感情的にならずに再相談の余地を残して引き、次の区切りで改めて相談します。断られたからといって、関係が終わるわけではありません。
値上げを断られたときの返信(例文)
ご検討いただき、ありがとうございました。ご事情、承知いたしました。
今回は現在の条件で引き続きご対応いたします。◯か月後の更新の際に、あらためてご相談させていただけますと幸いです。
それまでに、◯◯の成果を数字でご報告できるよう努めてまいります。
- 次の区切りで再相談する断られた理由(予算の時期、根拠の不足など)を確かめ、次の更新までに成果を積み上げる
- 範囲を調整する単価が変えられないなら、担当範囲や稼働を減らして、時間あたりの報酬を保つ
- 離れる判断をする下限を下回り、作業量に見合わない状態が続くなら、条件の良い案件に切り替えることも選択肢になる
契約の条件を変えるには、双方の合意が前提です。契約書の更新時期や解約の条件もあわせて確認しておきましょう。
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値上げの相談を後押しする法律はある?取適法の価格協議のルール
あります。2026年1月1日に施行された取適法(下請法を改正した法律)では、受注者から価格の協議を求められたのに応じない、または必要な説明をしないまま、一方的に代金を決めることが禁止されました。個人事業主も守られる側に含まれますが、発注者の資本金が一定以上、または従業員数が一定以上(業務の種類により100人超・300人超など)の取引に限られます。
- 協議を求めて初めて働くコストや作業量が増えたときは、メールなど記録に残る形で「価格について協議したい」と申し入れる
- フリーランス法の禁止行為従業員を使っているなどの発注者が1か月以上の業務委託をする場合、通常の対価より著しく低い報酬を不当に決める「買いたたき」は禁止されている。資本金の大きさは問われないため、取適法の対象外の小さな取引先でも使える
- 困ったときの相談先厚生労働省の委託を受けた「フリーランス・トラブル110番」で、弁護士に無料で相談できる
法律が適用されるかどうかは、取引の内容や発注者の規模によって異なります。個別の事案は、フリーランス・トラブル110番や公正取引委員会の窓口、弁護士などの専門家に確認してください。
よくある質問(FAQ)
値上げの前に、相場・実績の根拠・希望額・下限を準備し、契約更新の1〜2か月前など予算を調整できる時期に伝える
メールは「感謝・根拠・具体額と適用時期・相談」の順で書き、理由に合わせて実績型・コスト型・やわらかい相談型を使い分ける。チャットでは短く切り出し、詳細は打ち合わせで伝える
断られても再相談の余地を残して引き、範囲の調整や離れる判断も検討する。取適法の価格協議のルールも知っておく
自分で値上げを切り出すのが苦手な人や、交渉しても適正な単価に届かない人は、最初から相場に見合った単価の案件を探すのも一つの方法です。

